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3章 ルダマン帝国編
第131話 いざ! ルダマン帝国へ
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トウカとクリューカの顔合わせも終わり、シュライト侯爵家の屋敷からの帰り際、クリューカに琉海は礼を言う。
「本当にありがとうございます」
「別にいいさ。私もそれなりにいいことがあるからね」
クリューカは馬車に揺られながら、窓の外を眺めてそう言う。
「そうですか?」
「シズカだけじゃなく、あの少女も高い魔力を持っているようだからね。私の魔法の研究にもなるのさ」
「あまり無理はさせないようにお願いします」
研究と聞いて、どんな無茶をさせる気なのだろうかと琉海は訝しむ。
「ふっ、私はこれでも理論主義でね。根性論はあまり好きじゃないんだよ」
「それなら、心配なさそうですね」
「まあ、君が留守の間は見ててあげようじゃないか」
クリューカはそう言うと、「ここで止めてくれ」と御者に伝え、馬車から降りた。
去り際にクリューカは言い残す。
「無事に帰ってくることを祈っているよ」
言い終えるとクリューカは町中へと行ってしまった。
「これで少しは心配せずにルダマン帝国領に向かえるかしら」
静華が向かい側の席から言ってくる。
「そうですね。クリューカさんは信用できそうですし」
(何よりも静華先輩が信用できる人だと思ったのなら間違いないだろう)
琉海は頷いて、屋敷に戻るように御者に伝えた。
その夜は、スタント公爵家で琉海の送別会が行われた。
別れを惜しむティニアやメイリ、アンジュからも言葉をもらう。
「戻ってきてね」
「お待ちしています」
「私より強いのですから、無事帰ってくると信じています」
三人の言葉に琉海は頷く。
「必ず。その間、静華先輩をよろしくお願いします」
「任せて」
ティニアは胸を張って言う。
「頼む」
琉海は頷いた。
その後も、エリザから「いつでも帰ってきなさい」と言ってもらえた。
「ありがとうございます」
その後も会話をしつつ、琉海の旅立ちの会食は終了となった。
ゆっくり日が昇り出す頃。
琉海はスタント公爵家の屋敷を出た。
屋敷内にいる従事の者に見つかることはなかった。
夜間の従事者はかなり少ないからだろう。
それに昨日は従事する者たちにも豪勢な料理が出たようだから、休んでいる者が多いと思われる。
そんな風に思いつつも琉海は王都を囲む防壁に向かった。
防壁の上には、外を警戒して巡回する兵士たちがいる。
「門に行かないの?」
エアリスは塀を見上げながら言う。
「早朝だとまだ門は開いてないだろう」
「そういうことね。じゃあ、ここを飛び越えていくの?」
「ああ、その方が手っ取り早いだろ」
琉海とエアリスはそう言うと身体強化を施す。
巡回している兵士が琉海たちのいる場所から離れていく瞬間に琉海は飛ぶように跳躍した。
エアリスも琉海を追って跳ぶ。
塀の上にスタっと着地し、すぐさま塀から飛び降りた。
地面に着地したら、そのまま力を緩めることなく疾走する。
日が昇る前だったからか、兵士に気づかれることなく王都から出ることができた。
「でも、なんで塀から出ることにしたのよ。朝を待てば門から出られたでしょ」
「門から出たら、兵士に見られるだろ。貴族や王族に王都を出たことが報告されて面倒になりそうだろ」
「別に出るなって言われているわけじゃないんでしょ」
「そうだが、面倒に巻き込まれそうな感じがしたんだよ」
(まあ、王が許さないと言っても武力を行使してでも、探しに行くけどな)
琉海は内心思いつつ、駆け続けた。
琉海とエアリスが走り続けた結果、国境付近まであっという間に辿り着いた。
「はあ……はあ……」
さすがに数時間と走り続ければ琉海の息も上がる。
隣と並走していたエアリスはまだまだ余裕があるのか、涼しそうな顔をしていた。
「エアリス、疲れてないか?」
「ええ、私はまだまだ平気よ。でも、琉海は休憩した方がいいかもね」
「ああ、休憩にしよう」
魔力はまだあるのだが、マナの生成がしづらくなってきていた。
その理由は自然力が少なくなってきているせいだ。
ルダマン帝国に近づくにつれ、自然が少なくなり、大気中に溢れていた自然力も密度が薄くなってきているように感じる。
琉海とエアリスは近くの岩を背にして休憩をする。
琉海は、バッグから水袋を取り出し、水を飲む。
「今、どの辺だろうな」
琉海は水袋をバッグに戻し、地図を取り出した。
広げると、エアリスが覗き込む。
「多分、この辺じゃないかしら」
エアリスが指差した場所は、森と砦の境目の近くだった。
「よくわかるな」
琉海も一緒に走っていたとはいえ、常人のスピードを遥かに超えた走力で駆けてきたのだ。
体感で測れる距離ではない。
「前にも言ったけど、あっちの方は良くないモノを感じるのよ。それにどれぐらい近づいたか感じ取っただけよ」
「なるほど……」
さすがにエアリスも走った距離を測っていたわけではないようだ。
「国境付近にある砦がここで、俺たちがいまこの辺りなら、もう少しか……」
方角を確認し、地図をバッグに戻した。
もう少しで砦に着くならもう少し走るか。
「よし、行こう」
琉海とエアリスは立ち上がり、再び走り始めた。
「本当にありがとうございます」
「別にいいさ。私もそれなりにいいことがあるからね」
クリューカは馬車に揺られながら、窓の外を眺めてそう言う。
「そうですか?」
「シズカだけじゃなく、あの少女も高い魔力を持っているようだからね。私の魔法の研究にもなるのさ」
「あまり無理はさせないようにお願いします」
研究と聞いて、どんな無茶をさせる気なのだろうかと琉海は訝しむ。
「ふっ、私はこれでも理論主義でね。根性論はあまり好きじゃないんだよ」
「それなら、心配なさそうですね」
「まあ、君が留守の間は見ててあげようじゃないか」
クリューカはそう言うと、「ここで止めてくれ」と御者に伝え、馬車から降りた。
去り際にクリューカは言い残す。
「無事に帰ってくることを祈っているよ」
言い終えるとクリューカは町中へと行ってしまった。
「これで少しは心配せずにルダマン帝国領に向かえるかしら」
静華が向かい側の席から言ってくる。
「そうですね。クリューカさんは信用できそうですし」
(何よりも静華先輩が信用できる人だと思ったのなら間違いないだろう)
琉海は頷いて、屋敷に戻るように御者に伝えた。
その夜は、スタント公爵家で琉海の送別会が行われた。
別れを惜しむティニアやメイリ、アンジュからも言葉をもらう。
「戻ってきてね」
「お待ちしています」
「私より強いのですから、無事帰ってくると信じています」
三人の言葉に琉海は頷く。
「必ず。その間、静華先輩をよろしくお願いします」
「任せて」
ティニアは胸を張って言う。
「頼む」
琉海は頷いた。
その後も、エリザから「いつでも帰ってきなさい」と言ってもらえた。
「ありがとうございます」
その後も会話をしつつ、琉海の旅立ちの会食は終了となった。
ゆっくり日が昇り出す頃。
琉海はスタント公爵家の屋敷を出た。
屋敷内にいる従事の者に見つかることはなかった。
夜間の従事者はかなり少ないからだろう。
それに昨日は従事する者たちにも豪勢な料理が出たようだから、休んでいる者が多いと思われる。
そんな風に思いつつも琉海は王都を囲む防壁に向かった。
防壁の上には、外を警戒して巡回する兵士たちがいる。
「門に行かないの?」
エアリスは塀を見上げながら言う。
「早朝だとまだ門は開いてないだろう」
「そういうことね。じゃあ、ここを飛び越えていくの?」
「ああ、その方が手っ取り早いだろ」
琉海とエアリスはそう言うと身体強化を施す。
巡回している兵士が琉海たちのいる場所から離れていく瞬間に琉海は飛ぶように跳躍した。
エアリスも琉海を追って跳ぶ。
塀の上にスタっと着地し、すぐさま塀から飛び降りた。
地面に着地したら、そのまま力を緩めることなく疾走する。
日が昇る前だったからか、兵士に気づかれることなく王都から出ることができた。
「でも、なんで塀から出ることにしたのよ。朝を待てば門から出られたでしょ」
「門から出たら、兵士に見られるだろ。貴族や王族に王都を出たことが報告されて面倒になりそうだろ」
「別に出るなって言われているわけじゃないんでしょ」
「そうだが、面倒に巻き込まれそうな感じがしたんだよ」
(まあ、王が許さないと言っても武力を行使してでも、探しに行くけどな)
琉海は内心思いつつ、駆け続けた。
琉海とエアリスが走り続けた結果、国境付近まであっという間に辿り着いた。
「はあ……はあ……」
さすがに数時間と走り続ければ琉海の息も上がる。
隣と並走していたエアリスはまだまだ余裕があるのか、涼しそうな顔をしていた。
「エアリス、疲れてないか?」
「ええ、私はまだまだ平気よ。でも、琉海は休憩した方がいいかもね」
「ああ、休憩にしよう」
魔力はまだあるのだが、マナの生成がしづらくなってきていた。
その理由は自然力が少なくなってきているせいだ。
ルダマン帝国に近づくにつれ、自然が少なくなり、大気中に溢れていた自然力も密度が薄くなってきているように感じる。
琉海とエアリスは近くの岩を背にして休憩をする。
琉海は、バッグから水袋を取り出し、水を飲む。
「今、どの辺だろうな」
琉海は水袋をバッグに戻し、地図を取り出した。
広げると、エアリスが覗き込む。
「多分、この辺じゃないかしら」
エアリスが指差した場所は、森と砦の境目の近くだった。
「よくわかるな」
琉海も一緒に走っていたとはいえ、常人のスピードを遥かに超えた走力で駆けてきたのだ。
体感で測れる距離ではない。
「前にも言ったけど、あっちの方は良くないモノを感じるのよ。それにどれぐらい近づいたか感じ取っただけよ」
「なるほど……」
さすがにエアリスも走った距離を測っていたわけではないようだ。
「国境付近にある砦がここで、俺たちがいまこの辺りなら、もう少しか……」
方角を確認し、地図をバッグに戻した。
もう少しで砦に着くならもう少し走るか。
「よし、行こう」
琉海とエアリスは立ち上がり、再び走り始めた。
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