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2章 スティルド王国編
第125話 ルダマン帝国
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「魔女ですか……」
魔女ってことは人間なのだろう。
でも、この世界では魔法を使うことができる人間は多い。
「魔女ってどんな人なんですか」
「噂にしかならず、外見の情報は少ないのですが、ローブを深く被って杖を持った人のようです」
(ローブに杖か……)
日本での魔女の印象と被る部分しかない。
「その魔女って人間なんですか?」
「わかりません。見た人がほとんどおらず、噂だけしか流れないので」
「そうですか」
話が止まったので、メイリが話しを戻す。
「話を戻します」
「はい。お願いします」
「この男の名はディルクス・アルフォスです。帝国騎士でもかなりの戦闘狂のようです。戦果を多く残し、皇帝の直轄の騎士にまでなっているようです」
「皇帝の直轄の騎士ということは帝都にいる可能性が高いということですか?」
「はい。おそらくは。そして、皇帝の直轄騎士が動いたということは、皇帝直々の命令の可能性が高いです」
「つまり、アンリも帝都にいるかもしれないということですね」
「はい」
メイリは力強く頷いた。
「ここまでが現在、収集することができた情報になります。確信できる情報を掴むことができなくて申し訳ございません」
「いえ、助かりました。ありがとうございます」
「引き続き情報を集めてみます」
「はい。お願いします」
メイリはお辞儀して部屋から退出した。
部屋に琉海とエアリスのみになると、エアリスが瞼を開いた。
「それで、どうするの?」
エアリスが聞いてくる。
「可能性があるなら、行くしかないだろ。あのまま誘拐されたままにしておくわけにもいかない。俺はヤンばあに頼まれたんだ。手掛かりがあるなら行くよ」
「私はどこへでも一緒に行くわよ」
「ああ、助かる」
エアリスの戦闘力は、他の者よりも強い。
下手な助っ人よりエアリスがいてくれるだけで、助かる部分は大きかった。
まあ、契約精霊で琉海の体を維持しているのも、エアリスの《創造》のおかげでもある。
離れれば、効力が消え、琉海は死ぬことになる。
それだけは勘弁してほしい。
エアリスが拒否しても、琉海は頼み込むしかなかったのだ。
その手間が省けただけでもありがたい。
「でも、彼女たちはどうするの?」
「それは……」
エアリスの言っている彼女たちとは静華やトウカのことだろう。
トウカが琉海と同じ世界から来た人間であることは知らないはずなのだが、精霊特有の何かでこの世界の住人でないことを見抜くことができたのだろうか。
「もし、連れていくなら窮地に立ったとき、見捨てる覚悟を持っていたほうがいいかもしれないわよ」
「それはどういうことだ?」
エアリスが不穏なことを言ったせいで、琉海の語気が強くなった。
「ルダマン帝国とかいう国がある方角からは、悪寒を感じるのよ」
「悪寒?」
「そうね、寒気というか……」
エアリスも感覚的なものなのか、言語化に苦慮しているようで、眉間に皺を寄せている。
「それは、危険ってことか?」
「たぶんね。何があるかわからないけど、強大な何かがあると思うわよ」
強大な何か。
エアリスの感じているものを琉海は感じ取ることができない。
これも精霊特有の感覚なのだろう。
エアリスの忠告も理解できる。
しかし、看過できないこともあった。
見捨てる覚悟を持つことなんてできるわけがない。
アンリを助けるために、他の何かを切り捨てては本末転倒だ。
琉海はが黙っていると、エアリスが話しを続ける。
「だから、あの娘(こ)たちを連れて行って危険な状況に陥ったら、見捨てることを選ぶ覚悟が必要なのよ。その時になったら、彼女たちを守ってあげている余裕はないと思うから」
エアリスの表情は真剣で、琉海の心配をしていることもよくわかる。
「それでも――」
琉海が反論を述べようと思ったとき、扉が開いた。
魔女ってことは人間なのだろう。
でも、この世界では魔法を使うことができる人間は多い。
「魔女ってどんな人なんですか」
「噂にしかならず、外見の情報は少ないのですが、ローブを深く被って杖を持った人のようです」
(ローブに杖か……)
日本での魔女の印象と被る部分しかない。
「その魔女って人間なんですか?」
「わかりません。見た人がほとんどおらず、噂だけしか流れないので」
「そうですか」
話が止まったので、メイリが話しを戻す。
「話を戻します」
「はい。お願いします」
「この男の名はディルクス・アルフォスです。帝国騎士でもかなりの戦闘狂のようです。戦果を多く残し、皇帝の直轄の騎士にまでなっているようです」
「皇帝の直轄の騎士ということは帝都にいる可能性が高いということですか?」
「はい。おそらくは。そして、皇帝の直轄騎士が動いたということは、皇帝直々の命令の可能性が高いです」
「つまり、アンリも帝都にいるかもしれないということですね」
「はい」
メイリは力強く頷いた。
「ここまでが現在、収集することができた情報になります。確信できる情報を掴むことができなくて申し訳ございません」
「いえ、助かりました。ありがとうございます」
「引き続き情報を集めてみます」
「はい。お願いします」
メイリはお辞儀して部屋から退出した。
部屋に琉海とエアリスのみになると、エアリスが瞼を開いた。
「それで、どうするの?」
エアリスが聞いてくる。
「可能性があるなら、行くしかないだろ。あのまま誘拐されたままにしておくわけにもいかない。俺はヤンばあに頼まれたんだ。手掛かりがあるなら行くよ」
「私はどこへでも一緒に行くわよ」
「ああ、助かる」
エアリスの戦闘力は、他の者よりも強い。
下手な助っ人よりエアリスがいてくれるだけで、助かる部分は大きかった。
まあ、契約精霊で琉海の体を維持しているのも、エアリスの《創造》のおかげでもある。
離れれば、効力が消え、琉海は死ぬことになる。
それだけは勘弁してほしい。
エアリスが拒否しても、琉海は頼み込むしかなかったのだ。
その手間が省けただけでもありがたい。
「でも、彼女たちはどうするの?」
「それは……」
エアリスの言っている彼女たちとは静華やトウカのことだろう。
トウカが琉海と同じ世界から来た人間であることは知らないはずなのだが、精霊特有の何かでこの世界の住人でないことを見抜くことができたのだろうか。
「もし、連れていくなら窮地に立ったとき、見捨てる覚悟を持っていたほうがいいかもしれないわよ」
「それはどういうことだ?」
エアリスが不穏なことを言ったせいで、琉海の語気が強くなった。
「ルダマン帝国とかいう国がある方角からは、悪寒を感じるのよ」
「悪寒?」
「そうね、寒気というか……」
エアリスも感覚的なものなのか、言語化に苦慮しているようで、眉間に皺を寄せている。
「それは、危険ってことか?」
「たぶんね。何があるかわからないけど、強大な何かがあると思うわよ」
強大な何か。
エアリスの感じているものを琉海は感じ取ることができない。
これも精霊特有の感覚なのだろう。
エアリスの忠告も理解できる。
しかし、看過できないこともあった。
見捨てる覚悟を持つことなんてできるわけがない。
アンリを助けるために、他の何かを切り捨てては本末転倒だ。
琉海はが黙っていると、エアリスが話しを続ける。
「だから、あの娘(こ)たちを連れて行って危険な状況に陥ったら、見捨てることを選ぶ覚悟が必要なのよ。その時になったら、彼女たちを守ってあげている余裕はないと思うから」
エアリスの表情は真剣で、琉海の心配をしていることもよくわかる。
「それでも――」
琉海が反論を述べようと思ったとき、扉が開いた。
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