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2章 スティルド王国編
第94話 準々決勝
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二試合が終わり、琉海の試合が今日の最後の試合となる。
『本日、最後の試合はこの二人だ』
司会者のアナウンスで琉海とディバル公爵家の代表騎士のウルバ・ダズレイが入場する。
舞台上に立ち、対面する二人。
琉海から見た最初のウルバの印象は暗いイメージだった。
闇を纏っているかのような雰囲気を醸し出すウルバに、琉海は眉間に皺を寄せてしまう。
あまり近づきたくないという感情が湧いてしまう。
「では、構えてください」
琉海は無手。
ウルバは短剣を逆手に持って構える。
そして――
「はじめッ!」
審判の合図で試合が始まる。
しかし、琉海とウルバは動かなかった。
琉海は相手の出方を見るために先手を譲ったのだが、あちらも動こうとしない。
観客もいきなりの膠着状態にざわつく。
それからどれぐらい経っただろうか。
「早く戦えよ」
「これはじまってるのよね?」
あまりにも動かない二人に観客が困惑している。
そんな観客の反応が聞こえているはずだが、ウルバは気にしていないようで、琉海から視線を外さない。
明らかに誘っていると琉海は察する。
罠が張られているとわかっているのに飛び込むには少し躊躇するが、これでは埒が明かないと判断し、琉海は自分から動くことにした。
(動かないなら、こちらから行く)
琉海は一瞬で間合いをゼロにした。
琉海の動きを間近で見たウルバは目を見開く。
さすがの速さにウルバも驚いたようだ。
だが、そこは殺しのプロ。
瞬時に冷静に戻り、短剣を振ってくる。
距離が近く、短剣のため少し動かせば、琉海の腹に刺さる。
狙い違わず、刺さるかと思われたが、琉海がウルバの腕を掴んで防いだ。
ウルバが琉海の手を解こうと引っ張るがびくともしない。
力では無理と判断したのか、ウルバは自分の右腕を諦め、左足で上段に蹴りを放つ。
靴のつま先がきらりと光った。
琉海はすぐさまウルバの腕を離し、距離を開く。
(いまの蹴り。頭を狙ってきた?)
光った刃に気づいたから避けられたが、明らかに殺しにきていた。
避けなければ蹴りが頭を直撃し、刃が頭に刺さっていたことだろう。
ウルバは掴まれていた右腕を軽く動かして感触を確かめている。
今の攻防で琉海は接近するのに慎重になった。
再び、膠着状態になる。
ウルバからは攻勢に出ようとする雰囲気が感じられなかった。
(だったら、これならどうだ?)
琉海は足に力を入れ、一気に駆け出す。
だが、観客たちに琉海の姿を視認できた者はいないだろう。
一瞬のことだった。
琉海はウルバの顔面を掴み、後頭部から地面に叩きつけた。
(さっき殺されかけたんだ。少し痛い目を見てもらう)
「がッ!?」
ウルバも何が起きたのかわからなかったようだ。
いつの間にか視界が塞がり、地面に叩きつけられたのだから、それもしょうがないだろう。
琉海が手を離すと、視界が開けて、琉海の顔が見えた。
地面に叩きつけられた衝撃でウルバの体は悲鳴をあげているはずだが、ウルバはナイフの切っ先を琉海に向けた。
琉海も何をしてくるのかと警戒する。
そして――
プスッ!
という音が聞こえ、琉海に向かって何かが飛ぶ。
顔に向かってきたものを琉海は首を傾けて躱した。
しかし、避けたように見えたが、掠っていたようで、琉海の頬から血が垂れる。
何を飛ばしたのかわからないが、ナイフの束に仕込んでいたようだ。
「く、くくく……」
突然、笑い出すウルバ。
琉海は何に笑っているのかわからなかった。
「ふ、勝負は俺の勝ちだ!」
ウルバはそう言った瞬間、琉海の視界が歪む。
一瞬ふらつきを感じ、足元が覚束なくなる。
「効いてきたようだな」
ウルバは上半身だけ起こし、もう用済みであるのか、ナイフを放り投げる。
カランカランと虚しい音が鳴り、その音が威容に大きく聞こえた。
「お前の頬を切った針には、毒がたっぷり塗られている。即効性のある毒だ。お前はすぐにあの世行きだ」
ウルバは一撃でボロボロになった体を起き上がらせて、服に付いた土を叩く。
「お前に恨みがあるわけじゃないが、これが俺の仕事なんでな」
ウルバが喋っている間、琉海は頭を押さえていた。
平衡感覚を狂わそうとしてくる毒。
気持ち悪くさせてくる。
車に酔ったときと同じような気分だ。
だが、それも次第に収まってくる。
「安らかに眠り――」
最後まで言い切る前に、琉海の拳がウルバを吹っ飛ばした。
土煙を上げながら地面を転がり、動かなくなる。
「俺に毒は効かない」
琉海の声がウルバに聞こえることはなかった。
吹っ飛んだウルバの意識はすでに失われていた。
審判が確認する。
「勝者、ルイ」
審判の宣言で琉海の勝利が決まった。
自分の体が半分精霊と言われたとき、毒は効くのかとエアリスに聞いたことがあった。
そのとき、エアリスは「精霊に毒が効くと思う?」とのことだった。
簡単に言うと効かないようで、琉海にも同様に効果はないらしい。
ただ、琉海は半分人間のため、多少の眩暈とかはあるだろうけど、死ぬことはないと言われてた。
今回、初めて毒をくらったが、あまりいいものではなかった。
明日は準決勝と決勝だ。
今回の試合で毒を服用したときの感覚も知れた。
これはこれでいい経験だったのかもしれない。
琉海は自分のものにできる記憶だけを抽出し、自分の技術に反映していく。
一度実践を知った琉海は今までの琉海と変わっていた。
『本日、最後の試合はこの二人だ』
司会者のアナウンスで琉海とディバル公爵家の代表騎士のウルバ・ダズレイが入場する。
舞台上に立ち、対面する二人。
琉海から見た最初のウルバの印象は暗いイメージだった。
闇を纏っているかのような雰囲気を醸し出すウルバに、琉海は眉間に皺を寄せてしまう。
あまり近づきたくないという感情が湧いてしまう。
「では、構えてください」
琉海は無手。
ウルバは短剣を逆手に持って構える。
そして――
「はじめッ!」
審判の合図で試合が始まる。
しかし、琉海とウルバは動かなかった。
琉海は相手の出方を見るために先手を譲ったのだが、あちらも動こうとしない。
観客もいきなりの膠着状態にざわつく。
それからどれぐらい経っただろうか。
「早く戦えよ」
「これはじまってるのよね?」
あまりにも動かない二人に観客が困惑している。
そんな観客の反応が聞こえているはずだが、ウルバは気にしていないようで、琉海から視線を外さない。
明らかに誘っていると琉海は察する。
罠が張られているとわかっているのに飛び込むには少し躊躇するが、これでは埒が明かないと判断し、琉海は自分から動くことにした。
(動かないなら、こちらから行く)
琉海は一瞬で間合いをゼロにした。
琉海の動きを間近で見たウルバは目を見開く。
さすがの速さにウルバも驚いたようだ。
だが、そこは殺しのプロ。
瞬時に冷静に戻り、短剣を振ってくる。
距離が近く、短剣のため少し動かせば、琉海の腹に刺さる。
狙い違わず、刺さるかと思われたが、琉海がウルバの腕を掴んで防いだ。
ウルバが琉海の手を解こうと引っ張るがびくともしない。
力では無理と判断したのか、ウルバは自分の右腕を諦め、左足で上段に蹴りを放つ。
靴のつま先がきらりと光った。
琉海はすぐさまウルバの腕を離し、距離を開く。
(いまの蹴り。頭を狙ってきた?)
光った刃に気づいたから避けられたが、明らかに殺しにきていた。
避けなければ蹴りが頭を直撃し、刃が頭に刺さっていたことだろう。
ウルバは掴まれていた右腕を軽く動かして感触を確かめている。
今の攻防で琉海は接近するのに慎重になった。
再び、膠着状態になる。
ウルバからは攻勢に出ようとする雰囲気が感じられなかった。
(だったら、これならどうだ?)
琉海は足に力を入れ、一気に駆け出す。
だが、観客たちに琉海の姿を視認できた者はいないだろう。
一瞬のことだった。
琉海はウルバの顔面を掴み、後頭部から地面に叩きつけた。
(さっき殺されかけたんだ。少し痛い目を見てもらう)
「がッ!?」
ウルバも何が起きたのかわからなかったようだ。
いつの間にか視界が塞がり、地面に叩きつけられたのだから、それもしょうがないだろう。
琉海が手を離すと、視界が開けて、琉海の顔が見えた。
地面に叩きつけられた衝撃でウルバの体は悲鳴をあげているはずだが、ウルバはナイフの切っ先を琉海に向けた。
琉海も何をしてくるのかと警戒する。
そして――
プスッ!
という音が聞こえ、琉海に向かって何かが飛ぶ。
顔に向かってきたものを琉海は首を傾けて躱した。
しかし、避けたように見えたが、掠っていたようで、琉海の頬から血が垂れる。
何を飛ばしたのかわからないが、ナイフの束に仕込んでいたようだ。
「く、くくく……」
突然、笑い出すウルバ。
琉海は何に笑っているのかわからなかった。
「ふ、勝負は俺の勝ちだ!」
ウルバはそう言った瞬間、琉海の視界が歪む。
一瞬ふらつきを感じ、足元が覚束なくなる。
「効いてきたようだな」
ウルバは上半身だけ起こし、もう用済みであるのか、ナイフを放り投げる。
カランカランと虚しい音が鳴り、その音が威容に大きく聞こえた。
「お前の頬を切った針には、毒がたっぷり塗られている。即効性のある毒だ。お前はすぐにあの世行きだ」
ウルバは一撃でボロボロになった体を起き上がらせて、服に付いた土を叩く。
「お前に恨みがあるわけじゃないが、これが俺の仕事なんでな」
ウルバが喋っている間、琉海は頭を押さえていた。
平衡感覚を狂わそうとしてくる毒。
気持ち悪くさせてくる。
車に酔ったときと同じような気分だ。
だが、それも次第に収まってくる。
「安らかに眠り――」
最後まで言い切る前に、琉海の拳がウルバを吹っ飛ばした。
土煙を上げながら地面を転がり、動かなくなる。
「俺に毒は効かない」
琉海の声がウルバに聞こえることはなかった。
吹っ飛んだウルバの意識はすでに失われていた。
審判が確認する。
「勝者、ルイ」
審判の宣言で琉海の勝利が決まった。
自分の体が半分精霊と言われたとき、毒は効くのかとエアリスに聞いたことがあった。
そのとき、エアリスは「精霊に毒が効くと思う?」とのことだった。
簡単に言うと効かないようで、琉海にも同様に効果はないらしい。
ただ、琉海は半分人間のため、多少の眩暈とかはあるだろうけど、死ぬことはないと言われてた。
今回、初めて毒をくらったが、あまりいいものではなかった。
明日は準決勝と決勝だ。
今回の試合で毒を服用したときの感覚も知れた。
これはこれでいい経験だったのかもしれない。
琉海は自分のものにできる記憶だけを抽出し、自分の技術に反映していく。
一度実践を知った琉海は今までの琉海と変わっていた。
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本当に、ありがとうございます。
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その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
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