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第二章 与えられた自由
Thirty-one. Bathroom
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午前中は本を書いて午後は本屋に向かった。
"持つ者"の呪書を解読する。私の書だけ見られてたまるか。
ユルゲンがひょっこり現れたが気にしない。
私は忙しい。あの部屋で解読した方が人が来ないから集中できる?そうしよう。
黙々とパズルのような魔術書を解く。
いつの間にか魔術書片手に邸に引っ張られていた。
「隊長、こぼしますよ」
「んん…」
「食べてください、隊長」
「んん…」
「歯を磨いてください」
「んん…」
「明日は皆で森に行く日ですよ」
「んん…」
「一緒にお風呂入りますか」
「んん…」
うん?
「なにしてんの」
「一緒にお風呂に入ると仰いましたではありませんか」
「そうだっけ」
「あ、ユルゲン、隊長、お風呂入るんですか」
「うん」
「俺もいいですか」
「うん…ん?」
「ほら、本が湿気りますから置いて」
「はい」
「いつ帰ってきたっけ」
「さっきですよ」
「そう?ご飯食べたっけ」
「さっき食べましたよ」
「いつ、風呂場に来たっけ」
「さっきですよ」
「隊長、お先です」
さっさと脱いで先に浴室に入る二人をぼけっと見ながら考える。いつの間に?
二人が浴槽に入るタイミングで私も浴室に入る。見るな。全身を洗って私も浴槽に浸かる。あぁ…暖かい。
「今度行く、魔女の国だがな。女にも男にも気を付けろ。食うつもりで、喰われるなよ。」
「はい」
「そういや、隊長って、女になれますよね。もしかして、魔女ですか?」
「私は悪魔崇拝していない。どちらかというと私が悪魔みたいなものだからな。崇拝される側だろう」
「つまり隊長を尊敬している俺達が魔女みたいじゃないですかッ」
「そうなのか?」
「違いますッ」
はは。
……………………………
「あ、そういえばどうでもいい話なんですが、ナーラガスに潜り込んだ時、俺達変装してたじゃないですか」
「そうなのか?」
「…隊長、目悪いんですか?」
「そうだな、見えないわけではないが、昔悪くしてしまった」
「隊長でも、そんなことあるんですね」
んん。
「昔、派手好きの魔術師がいてな。
なんとなく、よく一緒にいたんだが、魔力が制御できず暴発してしまったんだ。その時受けた火傷をそのままにしている。そろそろ治してもいいんだが、不自由は特に無いからなぁ」
あの時は目にまわす魔力が無くてうすぼんやりとしか見えてなかったか。声が同じだから、気にしてなかった。
「治せるなら治しましょうよ!でも、今の隊長は傷一つ無いですよね?」
「隠しているんだよ。傷だらけだから。子供が怖がるだろう?」
「子供がお好きですか」
「子供は可愛いからなぁ。見てると元気になる」
ざぶ、と立ち、全身の傷痕だけを浮かばせる。
「怖がりそうな、傷痕だろ?」
じっくりと見られる。股間は見るな、ユルゲン。
「なんで生きてるんですか」
「はは」
意地でも生きるのさ。
そのまま湯船から上がって体を拭き、寝間着を着て本を抱え、二階に上がる。
…何してたんだっけ
あ、明日の準備だ。
"持つ者"の呪書を解読する。私の書だけ見られてたまるか。
ユルゲンがひょっこり現れたが気にしない。
私は忙しい。あの部屋で解読した方が人が来ないから集中できる?そうしよう。
黙々とパズルのような魔術書を解く。
いつの間にか魔術書片手に邸に引っ張られていた。
「隊長、こぼしますよ」
「んん…」
「食べてください、隊長」
「んん…」
「歯を磨いてください」
「んん…」
「明日は皆で森に行く日ですよ」
「んん…」
「一緒にお風呂入りますか」
「んん…」
うん?
「なにしてんの」
「一緒にお風呂に入ると仰いましたではありませんか」
「そうだっけ」
「あ、ユルゲン、隊長、お風呂入るんですか」
「うん」
「俺もいいですか」
「うん…ん?」
「ほら、本が湿気りますから置いて」
「はい」
「いつ帰ってきたっけ」
「さっきですよ」
「そう?ご飯食べたっけ」
「さっき食べましたよ」
「いつ、風呂場に来たっけ」
「さっきですよ」
「隊長、お先です」
さっさと脱いで先に浴室に入る二人をぼけっと見ながら考える。いつの間に?
二人が浴槽に入るタイミングで私も浴室に入る。見るな。全身を洗って私も浴槽に浸かる。あぁ…暖かい。
「今度行く、魔女の国だがな。女にも男にも気を付けろ。食うつもりで、喰われるなよ。」
「はい」
「そういや、隊長って、女になれますよね。もしかして、魔女ですか?」
「私は悪魔崇拝していない。どちらかというと私が悪魔みたいなものだからな。崇拝される側だろう」
「つまり隊長を尊敬している俺達が魔女みたいじゃないですかッ」
「そうなのか?」
「違いますッ」
はは。
……………………………
「あ、そういえばどうでもいい話なんですが、ナーラガスに潜り込んだ時、俺達変装してたじゃないですか」
「そうなのか?」
「…隊長、目悪いんですか?」
「そうだな、見えないわけではないが、昔悪くしてしまった」
「隊長でも、そんなことあるんですね」
んん。
「昔、派手好きの魔術師がいてな。
なんとなく、よく一緒にいたんだが、魔力が制御できず暴発してしまったんだ。その時受けた火傷をそのままにしている。そろそろ治してもいいんだが、不自由は特に無いからなぁ」
あの時は目にまわす魔力が無くてうすぼんやりとしか見えてなかったか。声が同じだから、気にしてなかった。
「治せるなら治しましょうよ!でも、今の隊長は傷一つ無いですよね?」
「隠しているんだよ。傷だらけだから。子供が怖がるだろう?」
「子供がお好きですか」
「子供は可愛いからなぁ。見てると元気になる」
ざぶ、と立ち、全身の傷痕だけを浮かばせる。
「怖がりそうな、傷痕だろ?」
じっくりと見られる。股間は見るな、ユルゲン。
「なんで生きてるんですか」
「はは」
意地でも生きるのさ。
そのまま湯船から上がって体を拭き、寝間着を着て本を抱え、二階に上がる。
…何してたんだっけ
あ、明日の準備だ。
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