血と踊る流動体

入江円

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第二章 与えられた自由

Twenty-three. Partner

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帰って風呂の支度をしていると二人に止められた。ダメかぁ

渡されたポーションを飲みながら感謝を述べる。

どうしようもない衝動を抑えずに過ごした今夜を振り返って読んだ時、若いなぁと思い返すのだろうか。昔に比べて成長したもんだと感心するのだろうか。

日記をつけて眠る。


翌日、公園でのんきにエサを啄む鳥と子供が見たくなってのそりと邸を出た。

春も終わり、そろそろ初夏になろうとしている。
季節の変わり目だから感傷的になってしまったんだろうか。だとしたらまだまだ私は人間らしい。

公園のベンチに座ってぼーっとしようと思ったが、目まで全身ローブで覆っているこの格好で座ったら怯えられかねないのでやはりやめた。
あーあー。

帝都基地にお邪魔することにした。
昨日の人たちは第二、第三部隊のどちらだろうか。
手間かけた事を詫びに訪れると言う名目でかまって貰いに行く。

第三部隊の人達のようだ。
夜に闘技場に押し入って暴力行為をしてすみませんでした。

でも闘技場で、暴力行為をして…?
普通じゃない?
闘技場って、そういうとこでしょ?

秋、武闘大会にでてみませんか、と持ちかけられた。ほーん。

武闘大会…ほぉーん。

それって、面白いですよね?

陛下も毎年お目見えされる大会らしい。
優勝したらなにか貰えるんですか、と聞いたら、パーティーに参加でき、王様と一緒にご飯を食べれて、しかもお金まで貰えるらしい。何が楽しいんだろう。

一目置かれる、と言うことかしら。
パーティーを通じて気の合う人と出会い、交流することで事業を広げる、という流れだろうか。

やだ、めんどくさそう。
いつの間に第三部隊にお邪魔しているというのが伝わったのか、陛下がお呼びでらっしゃると王宮に連れられた。



今日は外で両陛下とお茶会の日のようだ。

何事かと思ったが、前回陛下に貢いだ鉱石のお話だった。

皇后様とは式典であったきりで、話したこともないし記憶にも鮮やかではなかった。
陛下とお座りになられていることでようやく認識できた。

話してみると、打ち解けたいと願う人であった。

陛下が3、皇后が7くらいの割合で口を開いており、プライベートお茶会だというのがよくわかった。陛下はワインを召し上がってらっしゃるが。

この人達との食事が褒美か…面白いかもな。

会話が途切れたところで武闘大会について触れてみる。

「アーリア国では毎年秋に武闘大会が行われると先程第三部隊の方から伺ったのですが…?」

「毎年凄いですよ、皆さんヤル気満々で、去年の準決勝、もうバチバチしてて、ねぇ?」

と、抑揚豊かに皇后が語ってくれる。
聞いているだけで実に面白いお人で私もついつい口を挟んでしまう。

陛下は昼間だというのにワインを楽しみながら、話半分、ワインを味わっておられる。

本当に、変な人だ。
この方々が存命中はこの国にいるのもいいかもしれない。


そう思いながらご相伴に預かった。
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