血と踊る流動体

入江円

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第一章 戦争

Eleven. Who became i?

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私と部下達はアーリア国に帰還した。
救護室から馬車に移動する道中や、自由に出歩いて外の空気を吸っていた時、チラチラと視線を感じた。私のもとまで来て感謝を伝える人間もいた。
どこか心の底で人間を守らねばならない、とでも思っているのだろうか。少し苛ついた。
血の香りを感じたくて戦地に来たんだ。私にそんな感情を向けるな。

反吐が出る。黙って馬車に揺られていた。

「迷惑をかけた。」

言葉をかける。彼らといる時間も数える程だろう。

「私の自分勝手で迷惑を掛けた。今の内に、伝えておこうと思ってね。この任務を解かれたら貴方達とは会うこともないだろうし、こんな口も聞けなくなるだろう。耐えてくれてありがとう。」

本当に、振り回してごめんよ。

「ご一緒でき、光栄でした。」
「隊長は、何処かに行かれるんですか?」

「冒険者に戻ろうと思っている。どうなるかわからないけど、感謝されるのは居心地が悪い。それから、私の事は隊長と呼ばないように。もう戦争は終ったし、この肩書きに意味は無くなった。リベルと呼んで欲しい。」

「リベル、さん…」

「君達は、今年で幾つだ?」

「24であります」
「25であります」

若いなぁ

「お願いがあるんだが、」

「「はい。」」

「次に戦地で会った時、敵対したら

 私を殺してくれないか。」

早めに頼むよ。


返事は聞かずに目を閉じた。
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