血と踊る流動体

入江円

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第一章 戦争

Ten. The war is over

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目覚めたらベッドの上だった。おはようございます。

味方陣営にいると思ったがどうも雰囲気が違う。ここどこ。あ、敵陣?なんで?

視界がぼやけていて誰だか分からない。誰かと話した。寄ってきた。

「おはようございます。ご自分のお名前わかりますか?」

わかります。

「ウィン・リベル…」

「今お仲間の方に連絡したのですぐに来ると思います。起きられますか?」

はい、起きます。
どうやら、一日眠りこけていたらしい。


広い救護室に一人の私。看護師三人。多くない?

喉からから。コップを貰った。
青い。滋養深い味がする。


身体をみたが引き締まった男のままだ。
辛うじて僅かに魔力が残っていたらしい。
よかった。


アホ面と死んだ目がきた。無事で何より。

「おはよう。」

ポーション片手に挨拶する。

「なかなかな味だな。これ。」

おっと、また誰か来た。なんなんだ。

「ご無事でなによりです…!」

「途中でいなくなってすまなかった。気を抜いて敵国に捕まってしまってね。」

気を抜いてね。

「状況報告を頼むよ。」

「それについては私から話させて頂きたい。ナーラガス国からアーリア国国境に配属されたホゥ・メラタ司令官だ。」

「アーリア国より冒険者から傭兵に志願したウィン・リベル遊撃隊長です。」

「…すまないが、二人で話がしたい。席を外してくれ。」

皆出ていく。

「……ナーラガス国陣地から昨日、バンパイア襲撃事件があった。」

知ってます。いたもん。

「情報によると君は収容所からアーリア兵捕虜を逃がしたそうだね。
…君は何故逃げなかったのかね?」

えっ。えー…えー…と
答えに困ってじっとみていると頭を下げた。

「君のおかげで我が国の兵士253人が救われた。劣悪な環境に閉じ込めた私が言うのもおこがましいが、253人を代表して感謝する。…ありがとう。」

どういたしまして。

「君と部下達は我が軍が責任を持ってアーリア国に送り届ける。安心してくつろいでくれ。」

「ご配慮感謝します。ホゥ・メラタ司令官。」

白い髭を蓄えた口の端が少し上がった気がした。

「君が起きたとなれば、少し賑やかになるだろう。寛大な心で受け入れてほしい。」

はぁ

「もう二度と戦場で合わないことを祈るよ」

にやりと笑ってしまった。

「自分もであります。司令官殿。」

満足そうに頷き出ていく。



どうやら、戦争は終わったようだ。


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