血と踊る流動体

入江円

文字の大きさ
上 下
9 / 61
第一章 戦争

Three. Good morning

しおりを挟む
朝帰り組はだいぶ死んだらしい。
半分くらいいなくなったかな?神のご加護がありますように…生きてる人に言う台詞か。

わりと遠くないところで聞こえる爆撃の音を聞きながら簡易ベッドで目を閉じる。固いなぁ。
次も新しい仲間と団体行動するのかな?
一人がいいなぁ…起きたら相談してみよう。
……あ…服とられたまんまだ…支給されるかな……?



目が覚めた。目の下のクマはデフォルトです。私の寝台の上の住人である傭兵が梯子を昇る音で目が覚めたようだ。

「あんちゃん起きちまったか。起こしてごめんな。」

いいんですよ。

「よかったらほれ、やるよ。あんちゃん救助活動隊だろ?…死ぬ前に離れろよ。」

リンゴくれた。心配もしてくれた。頼りなく見えるのかな

「……ありがとうございます」

「いいんだよ 金になる話だからやるけど、なかなかキツい仕事だな…。…お互い生きてたら旨いエールで乾杯だ。」

死にそうだな、おっちゃん。おやすみ。
支度をして昨日お世話になった医療班の人に尋ねた。服…どこ…

「ゆっくり休めましたか?…はい、破れてたとこ、縫っておきました。」

優しい。ありがとうございます。

「今日も救助活動、宜しくお願いします」

はい。ソロでさせてくれるなら。

救助隊統括指令部に出向き、ソロでさせてくれないかと聞いてみる。ダメなら今日も一人で帰ってきてやる。

冒険者としての経歴をかわれ、承諾された。
救助活動隊は人数が減った分、賃金を上げてさらに人数を募るそうだ。自動的に私の稼ぎもあがったわけだ。

夕方になり救助隊が次々と活動に出る。
今日は一人だから地理的把握もしなければいけない。1人連れて行けばよかった。

取り敢えず昨日殺したバンパイアの洞穴に行くことにした。狩るならあそこで待ってた方がいいだろう。…寒くなってきたなぁ
寒いのは好きじゃない。

さくさく登っていると上から気配がした。人間っぽいな。見られてる。木の上かぁ
うーん、敵国の人間臭いな。凄く狙われてる。ウサギを見つけた鷹みたいな視線を感じる。ふふ。
当たらないように歩こう。

パシュッ

パシュッ、、パシュッ

パシュッ


拡大魔法を使って位置を把握し圧縮した水魔法で仕留めるのかぁ
繊細な仕事をするなぁ。ふふ。
飽きるまで遊ぶことにした。次第に当たらないことに嫌気がさしたのか撃ってこなくなった。
挨拶だけしておこうかな。
一気に彼のいる木の枝まで風魔法で駆け、後ろから声をかけた。

「こんばんは。」

持ってたナイフで攻撃してきた。反応速いけど、私の方が速いのさ。
ナイフを持つ腕を絞め、懐に入り一緒に地上に落下させる。昨日のバンパイアと違って鼓動の音がする。柔らかい匂いもある。ふふ。
愛すべき獲物。でも殺したくないなぁ
殺されてほしくもないなぁ

地面に叩きつけた後、頭を撃ったのか意識を混濁させている。顔を近づけ
「殺さないよ。また会おうね。」

ちょっとした呪いの言葉をあげて少し満足した私は彼から離れて仕事をすることにした。いつか彼が私を見つけて殺してくれますように。

案の定洞穴にはナニかいた。なんだ、アンデッドか。燃やして帰った。彼が居た場所を魔法で探ってみたがもういなかった。足が速い。
帰路の途中、交戦している音が聞こえたので参戦した。皆傷だらけで血の香りが凄い。バンパイアも興奮している。…二体かぁ
人間は邪魔だから後ろに下がらせた。ごねていたけど既にボロボロで役に立ちそうもないから蔦魔法に治癒魔法を絡ませて簀巻きにした。

可愛いバンパイア 

殺してあげる。彼がやっていたみたいに水弾を撃ってみる
当たったら中を引っ掻き回すように縦横無尽に飛び回らせてみた。ふふ、魔力回路がおかしくなって死んだ。さようなら。


簀巻きにした人間をそのまま解かずに基地に連れて帰った。医療班の人に渡して兵士に安否確認をされ、私はベッドに向かう。
生きて帰ったんだから無事ですよ。
爆撃の音を聞きながら眠る。眠るのは好きだ。夢を見れるから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

サディストの私がM男を多頭飼いした時のお話

トシコ
ファンタジー
素人の女王様である私がマゾの男性を飼うのはリスクもありますが、生活に余裕の出来た私には癒しの空間でした。結婚しないで管理職になった女性は周りから見る目も厳しく、私は自分だけの城を作りまあした。そこで私とM男の週末の生活を祖紹介します。半分はノンフィクション、そして半分はフィクションです。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...