ノラさんの小さな日常

1話 とある野良の話

駅から離れて数分

洋食屋の排気口付近をオレは陣取っている




ここから細い路地を抜けると
多くの店が立ち並ぶ道へとつながっている





ここは割とトカイらしい









 
『お前は誰だ』って？





 家族も、仲間もいない

ひとりぼっちの野良猫さ



  



















そろそろ夜が明ける







それから眩しいくらいに日が差す頃
オレは眠りにつく
















ガタンゴトン
 






ピクッ(耳が動く)










スタスタ ザワザワ







ピクピクッ(また反応)














電車の音


人間の足音や声


洋食屋の排気口の音
(…まあ、匂いは悪くない)







それらが混ざり合ってそれら単体より

一層酷い雑音を奏でている











…うるせぇ、
これじゃ寝れやしない










『猫は寝る子じゃないのか』だって？
 



いや、猫でもうるさけりゃ起きるって














まぁ、結局のところ

寝るけどね