心さえも欺いて……

ハーマ

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ガルガードの死

気が付きし愛

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ガルガード視点→レオン視点

ガルガード「…………」

レオン「…………」

計画が始まって7年  とうとうシャルート達にこの場所を知られ、ガルガードはレオンに「少し足止めをしてくれ」と任務を課す

ガルガード「どれ位持つか……」

ガルガード  シャルート達はレオンの血液がウイルス感染者を治す事の出来る、唯一の「血清」だと知っている……殺しはしないが足止めをしている以上攻撃は加えるだろう……シャルートも馬鹿ではない……

ガルガードはレオンが足止めをさせている間に自分の全ての記憶をパソコンのUSBに残す

ガルガード「!!」

不意に下から「ガッシャーン」と言う大きな音が聞こえてUSBをとある場所に送って、ガルガードは使える武器を持ってレオンに言われた逃走経路へ

ガルガード「……レオンを退(しりぞ)いたか……まぁ……お前の事ならここまで来るのは簡単に理解出来たがな」

シャルート「……ガルガード……最高司令官……」

ガルガード「此処でも「最高司令官」と呼ぶか……俺がお前の部下を殺したのに」

シャルート「…………」

シャルートにそう言うガルガードの瞳は寂しげな光をしていた……昔は隣合わせで戦った仲でもあったシャルートとガルガード……シャルートにとってガルガードは「兄」であり、ガルガードにとってシャルートは「弟」と言う存在……

ガルガード「来いシャルート  最後の手合わせだ」

一体一路を踏み違えたのか……ガルガードは「最後の手合わせ」と称してシャルート達と戦う

シャルート  何処までも貴方には敵わない……

どんなにシャルート達が強い攻撃をしてもガルガードはそれ以下の力で攻撃を返す……それはつまり「自分は死んでもいいけどお前達は生きろ」と言っているようなもの

ガルガード「!!!!!琥珀……!!」

仲間達の発砲でガルガードが持っていた「琥珀」と言う刀が折れ、他の者の発砲がガルガードの急所に直撃し後ろに倒れる

ガルガード「ぐっ……」

シャルート「攻撃止め  急所を撃たれたら紅い目の人間でも治せない……撤退だ」

ガルガード「これで生きてたらどうすんだよ」

シャルート「その時はその時です  俺は結構貴方には敵わない」

最後にそう言い残してシャルートは部隊の者と撤退していきその後に誰かの足音

レオン「隊……長……!!」

ガルガード「レオン……?」

レオン「しっかり……してください!!」

ガルガード  血が……出てる……出血したままどうやってここまで……

ガルガードが居る場所とレオンが居た場所は全く違う……故にどうやって出血したままここまで来たのかが不明

ガルガード「……レオン……逃げてくれ」

レオン「隊長は……?」

ガルガード「急所に銃弾が直撃している……急所に当たれば紅い目の人間でも流石に癒すことは不可能……死ぬのがオチだ……だから……お前だけでも逃げてくれ……」

レオン「…………」

死にかけているガルガードに対してレオンは涙を流した……ガルガードにとっては何故泣いているのか分かっていない

レオン「ガル  貴方の持ち物をいくつか持っていっても……?」

ガルガード「好きなだけ持っていけ」

ガルガードがそう言うとレオンは涙を流しながらガルガードの持ち物をいくつか持って、別の自分で考えた経路で出血したまま壁を伝って歩いていく

ガルガード「今更気がつくなんてな……」

レオンが去りガルガードは静かにそう零す……死にかけている今になってやっと自分が誰を本気で愛していたのかを知る

ガルガード  あの涙は……俺へと向けられた「愛情」であり……「悲しみ」の涙だった……

ガルガードは「ふっ」と自分で自分を笑う

???「…………」

ガルガード「…………」

「カツン」と言う音がしてそっちの方を向くとそこには見た事がある髪色と目の青年……

ガルガード「」

今にも泣きそうな表情をしてい青年にガルガードは言葉を伝えた……するとその青年は小さく頷き走ってその場から去っていく

ガルガード「……琥珀……」

ガルガードが誰よりも大切にしていた刀……既にその刀は折れているがガルガードは残された力を使って手を伸ばす

ガルガード「我修羅の道を歩く者……今再び琥珀を癒し神の御加護を……」

最初で最後の力を使ってガルガードは折れた琥珀を癒す……すると琥珀は人の形になり声を出さずに片足でガルガードの首を支え抱き抱える

ガルガード「生きてくれ……俺の分まで……」

琥珀「…………」

ガルガード「お前は俺の「光」で「道標」だ…………どうかどんなに時が経っても……俺を………忘れ……ないでくれ……」

琥珀「…………」

最後に琥珀にそう言い残してガルガードはゆっくりと目を閉じた……ガルガードが死んだ事により施設の自動爆破装置が起動し警告がなっている中で……体温のなくなっていくガルガードの頬を冷たい雫が落ちていた事は誰も知らない……


レオン視点

レオン「……っ……」

レオンがガルガードが死んだのを知ったのは自分の居る部屋に、ガルガードが使っていた拳銃が送られてきたから……それを見た瞬間レオンは嗚咽を漏らした……誰よりもガルガードを愛し信頼していたからこそ……一番ショックを受け悲しんでいる

レオン「隊……長……」

レオンにとってガルガードは……誰よりも大切な光だった……

鳳凰「レオン……」

レオン「鳳凰……俺……これから先どうしたらいいんだ……ガルガードを失って……」

鳳凰「生きるんだ  ガルガードが「お前だけでも逃げてくれ」と言われたんだ……お前は生きなければならない」

レオン「…………」

涙が溢れて止まらないレオンは人の形になった鳳凰に抱きしめられ泣いた……人の心を持つ鳳凰にはレオンの気持ちが痛いほどよく分かってしまう

鳳凰  レオンは本当に心の底からガルガードを愛していた……純粋に……ガルガードの為だけに今迄生きてきた様なもの……

レオンの生きる糧であったガルガードが死にレオンにとっての光が消えた

鳳凰  俺がレオンに対して「刀だから」と言う訳ではなく、「人として」レオンを「護りたい」と思う気持ちは……これは「愛」と言う物なのだろうか……

心を持つと言うことは感情を持つと言う事……

レオン「ガルガード隊長……」

鳳凰に抱き締められながらレオンはガルガードの事を呼ぶ……もう2度と届かない返事を求めるかの様に……

鳳凰  刀である俺が主に恋をするなんて……どうかしている……

だが気がついてしまったものはどうしようもない

レオン  隊長……

レオン「隊長だけが俺の支えだった……光だったんだ……」

鳳凰「分かってる」

レオン「これから先……生きるったってどうしたらいいんだよ……ガルガードのいない世界をどう生きていけばいい……?俺の白い髪と紅い目を唯一「綺麗」と言ってくれたのは……「似合っている」と言ってくれたのはガルガードだけだった……」

鳳凰「…………」

レオンの言葉に鳳凰は何も言えない

レオン「…………」

鳳凰「おっとっと……疲れて寝たのか……」

流石に戦闘後で家に帰ってきてすぐに大泣きすれば疲れて寝てしまう

鳳凰「愛ってのは随分と複雑なんだな……」

鳳凰がそう呟いたのはレオンは知らない……
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