大切な敵

ハーマ

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前主との出会い

最強の忍

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輝龍(きりゅう)視点

戦国時代の世で人々に語られることのない「忍」に「最強」と呼ばれた忍がいた………銀色の髪を靡かせ多くの部下を従え後の平成の世にも生きるその青年の名は「輝龍」………「龍霧」の里最強にして最凶………

輝龍「…………」

輝龍  不利だな………

部下「隊長  戦況は………」

輝龍「少々こちらが不利だ  銃騎兵隊を呼んだ方良い」

部下「お伝いして参ります」

輝龍「敵も忍隊を配備している  道中には気をつけろよ」

輝龍は戦中に遠方から木の上に登り太い枝の立って戦を見ていた………銀色の瞳と銀髪は僅かに黒がかかり集中している

敵「動くな」

ふと首筋に刃を向けられた輝龍は静かに口笛(特別な口笛)を鳴らす

「ヒィー………」

朱雀(すざく)、簾(すだれ)、椿(つばき)、楓(かえで)、烏瓜(からすうり)「!」

遠方から聞こえた輝龍の口笛に反応し即座に来たのは同じ里出身の部下達

敵「なっ!?」

烏瓜「死ね」

後ろから来た烏瓜の小太刀の刃が輝龍の首を裂く前に敵の首を裂き烏瓜に返り血がつく

輝龍「…………」

朱雀「輝龍様!」

そして輝龍は崩れるように木から落ち朱雀がキャッチ

輝龍「はー………まだ敵がいる………行けるか?」

簾、椿、楓「お任せ下さい」

輝龍「頼むぞ…………」

輝龍に頼まれて3人は散らばっていた敵を倒していき烏瓜と朱雀と合流

輝龍「はぁ………っ………は」

朱雀「輝龍様  いつこの怪我を………」

輝龍は腹に大怪我をしておりかなり出血している

輝龍「御館様を助ける時に………なんとか御館様は助けきれたし戦の勝敗も決した………俺が背後に警備していなかったら御館様が危なかったからな………「霧咲(きりさき)」一族の末裔で暗殺に長けていた………だが任務を遂行できなかった上にもう1人しか残っていなかったから………捉えて地下牢に入れた………」

そこまで言って輝龍は失神し止血をしようとしていたその手にはベッタリと血液が………

朱雀「誰か医者を呼んでくれ!!」

なんとか5人がかりで止血をして朱雀が息の荒い輝龍を横抱きに抱えて城に到着

朱雀「御館様  忍隊帰還いたしました」

城主「朱雀か  輝龍はいかがした」

朱雀「御館様を御守りした際に深手を負いながら戦の観察と伝達を行っていた為に自室にて治療中です」

城主「…………」

朱雀の言葉に城主は何も言わずに襖(ふすま)を開けて朱雀の案内の元輝龍の元へ

医者「負傷が酷いです  恐らく部下に気が付かれないように力を使って出血を隠していたかと………かなりの量の出血をしています」

城主「輝龍………」

至る所に包帯が巻かれ死んだように浅い呼吸を繰り返しながら眠る輝龍………いつからか芽生えた輝龍への恋心を城主は抱えながら今は黒く染まった輝龍の指通りの良い髪に触れた………

~輝龍の回想~

町娘「やめてください!」

男「いいだろ姉ちゃん  遊んでけよ」

男「嫌がんなよ」

輝龍は夢を見ていた………前の主を失うより前の主を持つ直前の夢………

輝龍「おい  嫌がってんだろ  離せ」

男「んだとゴラァ!!」

輝龍「………喧嘩を売る相手を間違えたな」

男「!?」

輝龍は目立つ見た目を持つので喧嘩もよく売られるが目茶苦茶強い

男「お………おい行くぞ」

大の男を背負い投げした輝龍に恐怖を抱いたのか男達は退散

輝龍「もっと目利きを良くした方がいいな  お嬢さん大丈夫?」

小さくアドバイスをしつつ震えていた町娘に向き直り男に掴まれていた腕を見てみる

輝龍「痣出来ちゃってる………ちょっと染みるかも」

そう言って輝龍は持っていた塗り薬を腕に塗って包帯を手早く巻く

町娘「あ  ありがとうございます」

輝龍「いえいえ  どこ行こうとしてたの?」

町娘「薬屋に……」

輝龍「そ  また絡まれたらあれだし一緒に行くよ」

見た目はかなり目立つが輝龍の笑顔に町娘は見とれつつ一緒に薬屋へ

輝龍「………親御さん  病気なの?」

町娘「………はい  父が病で………」

薬屋で町娘が何かお願いしているのを影で見ていた輝龍は町娘の言葉に複雑な顔

輝龍「これ  やるよ」

町娘「えっ!?そんないいです!!まだお名前も聞いていませんし………」

輝龍は町娘に充分な薬を買えるお金を渡し町娘が驚く

輝龍「俺の名前は「輝龍」  親父さん病気ってことはお嬢さんが薬代出してるんだろ?俺の名前を呼べばいつでも来るからさ………助けて欲しい時呼んで?流石に仕事中に呼ばれたら来るのが遅くなるかもだけど」

そう言って輝龍は無理矢理町娘にお金を握らせて素早く店と店の隙間へ

町娘「いない………」

一瞬にして消えた輝龍に驚きつつも町娘は歩いていく

~夜~

侍「ヴっ」

輝龍「相手が悪かったな侍」

夜  輝龍は仕事の為に侍を追い込みとどめを刺す

町娘「輝龍様………!」

不意に一仕事を終え服装を変えて返り血を拭った輝龍の耳に日中に出会った町娘の声が聞こえ急いで向かう

輝龍「どうした」

町娘「輝龍様………」

男「ああん?なんだてめぇ」

輝龍  なんでこうも………

輝龍「金貸しか?」

男「てめぇには関係ねぇよ」

輝龍「金は俺が払う」

なんかもうめんどくさいのか輝龍は金貸しの男達にそう言って町娘を護る

男「てめぇが?」

輝龍「幾らだ」

男「手数料と遅延料で5000両だ」

と言われて輝龍は一旦出て行ってから本当に5000両を持ってきて渡す

輝龍「これでいいだろ?帰れ」

確かに金を受け取った金貸し達は帰っていき輝龍は疲れてしまったのか閉じた扉にズルズル音を立てて座る

父親「あんた済まないねぇ………ワシのせいで………」

輝龍「気にしなくていいよ………少し疲れたんだ」

輝龍はもう里を出て3年経ったが未だに仕事後の人助けは疲れる

父親「もし良かったらお食事でも………」

輝龍「いや気持ちだけ受け取っとくよ………飯はたまに食えるだけでいい」

とだけ伝えて輝龍はフラフラしながら出ていき歩く

輝龍  風邪でも引いたか………?

輝龍は頭痛が辛く意識が朦朧としているのを感じながらだるい身体を動かす

輝龍「駄目………だ………」

なんとか店と店の隙間の道には入れたが意識が持たずそのまま倒れた

???「殿  そこに人が………」

殿?「銀色の髪………もしや報告にも上がっているこの城下に住み着いた人助けをする忍か?」

輝龍  誰………だ………?

???「身体が熱い………城に連れて行くぞ」

熱に浮かされ何が起きているのかを理解していない輝龍はそのまま馬に乗せられ連れていかれる

輝龍「………ぅ………?………!!??痛てぇ………」

朝  輝龍は目が覚めると知らない場所にいて飛び起きるが頭痛で頭を抑える

輝龍「どこだここ………」

殿?「目が覚めたか?「銀髪の忍」?」

輝龍「…………」

目が覚めるまでいたのか城主である男が座っていて輝龍は身構えたが武器がない

殿?「城下の様子を見に行った際に倒れているのを発見してな  そなた城下に住み着いた人助けをする忍であろう?名は何と言う?」

輝龍「輝龍………」

殿?「輝龍?輝くに龍か?」

輝龍「そうだけど………」

輝龍  俺人助けしてたつもりないんだけど………

殿?「そなたは主を持つ忍であろう?どうだ?私の忍になる気はないか?」

輝龍「は?」

これが輝龍と前の主との変な出会いだった
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