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魔城
大切な人との再会
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ギルーヴァ視点
シューフェス「ギルーヴァ 体調はもういいのか?」
上級層の魔族と直接の話をして城に帰ってから1週間体調を崩したのに無理をして会議に出たギルーヴァに、シューフェスがそんなことを聞くが「大丈夫」としか言わない
ミーファ「クロウドの様態は?」
ギルーヴァ「姉さんが回復能力を使ってくれたおかげで今はピンピンしてるよ」
ミーファ「でも鎧はまだ新しいのが出来てないから戦闘はしてないんでしょう?」
ギルーヴァ「うん 鎧ナシでやっても部下達が容赦してくれないから下手したら死んじゃう」
ギルーヴァ まぁ訓練を見学してはいるけどね
シューフェス「先日の魔族の出現によって「魔城」と呼ばれている城に行くことになった」
ミーファ「いつ誰が行くの?」
シューフェス「5日後3人で行く」
ギルーヴァ「俺鎧壊れてるとこ直ってないんだけど」
ギルーヴァ たまに無茶苦茶言うよな………
シューフェス「能力使って直せないのか?」
ギルーヴァ「昨日まで寝込んでた人に対して無茶苦茶言ってんの分かってる?」
シューフェス「………すまん」
怒り気味にギルーヴァが言うとシューフェスに謝罪をされる
ギルーヴァ「取り敢えず直すことには直すけど後ほか用意するものある?」
シューフェス「特にはない」
ギルーヴァ「分かった 俺部屋戻るから」
※実は城の廊下で話してた
ギルーヴァ「………クロウド」
上2人に部屋に戻ると言ってギルーヴァは歩いていくと遠方にクロウドがいて小走りで駆け寄って、声をかけつつも体調はどうかを調べて肩を叩く
クロウド「ギルーヴァ王」
ギルーヴァ「見た感じ体調は問題なさそうだな 傷は?」
クロウド「治りはしましたがまだ多少の痛みがあります」
ギルーヴァ かなりの広範囲を傷つけてたからな………
ギルーヴァ「余り動かずに部屋で安静にしていた方がいいんじゃないか?リューンも心配していたぞ」
クロウド「あーやっぱりですか?………分かりました 部屋で安静にしてます」
ギルーヴァ「うん そっちの方がいい」
クロウドに部屋で安静にすることを勧めてギルーヴァは自室に戻り鎧を直す
ギルーヴァ うーん………魔力で壊れたから簡単には直らないな………
一応予備の鎧を着ているとはいえやはり着慣れた鎧の方がいいので精一杯の力を使って直す
~かれこれ5時間~
ギルーヴァ「しんどい………」
クロウド「だからって俺のところ来ます?」
5時間後 ギルーヴァは癒しを求めてクロウドの部屋に来てクロウドをベッドサイドに座らせて、ベッドで横になりつつ腰に腕を回して頭をグリグリ
ギルーヴァ「魔力で壊れたからまさかとは思ったけど半分しか直らないとか………明日も5時間やればすぐにでも着れるけど会議どころじゃなくなる………」
かれこれ5時間も力を使って鎧を直したがまだ壊れた腕の部分の10cmの内の半分の5cmしか直っていない
クロウド「魔力と能力ってそれぞれの使う力も次元も違いますから………」
ギルーヴァ 知ってたけどこれだけ違うって魔力ってどんだけ強くて次元違うの………
ギルーヴァ「気がついたら5時間経っててもう夜だし 散歩行かねぇ?」
クロウド「それはいいですが2人でですか?」
ギルーヴァ「嫌ならいいけど」
クロウド「行きますよ ただバレません?」
ギルーヴァ「兄さんがリューンに手を出してるのと同じだから大丈夫だろ」
ギルーヴァ まぁ部下達からは兄さんドン引きされてたけどね
ギルーヴァ「はぁ………やっぱり良いな」
クロウド「いつもここに来ますよね」
ギルーヴァ「風が気持ちいいんだ」
ギルーヴァとクロウドは夜に散歩をするといつも行く場所に行きギルーヴァは一息つく
ギルーヴァ「「魔城」ってどんなところだ?」
クロウド「唐突ですね…………魔族からすれば憩いの空間ですよ どこであろうとその場所は決して人間には汚されない………唯一の砦であり癒し」
ギルーヴァ「…………」
クロウド「行くんですか?」
ギルーヴァが話の最中に無言になる時はその場に行く時のことが多い
ギルーヴァ「5日後に」
クロウド「だから今日無理やり鎧を直していたんですね」
ギルーヴァ 不安しかないんだよな………
クロウド「でも貴方なら大丈夫 あの方も貴方には手を出さないはずです」
ギルーヴァ「………俺のことを覚えているかもわからないのにか?」
クロウド「覚えていますよ 絶対に」
ギルーヴァの不安をクロウドは優しく拭ってくれた……
~5日後~
ギルーヴァ「それじゃあ行ってくるから 城の警備を頼むぞリューン」
リューン「はい」
シューフェス「ミーファ、ギルーヴァ 行くぞ」
シューフェスに呼ばれギルーヴァは走り出した兄を追って馬で走り出す………目指すは「魔城」と呼ばれし魔族の住む城………
ミーファ「ギルーヴァ 大丈夫?少し休んだ方が………」
馬を走らせて約3時間………早朝に城を出て日が昇り始めた頃………ギルーヴァは自分の身に異変が起きているのを無視して馬を走らせた為に体調不良を起こした
シューフェス「顔色が悪いな………もうすぐで船に移るから頑張れるか?」
ギルーヴァ「頑張る………」
ギルーヴァ やばい気持ち悪い………
馬に乗っていただけなのだがギルーヴァは体調が悪くなってしまいなんとか船の所までは我慢
ギルーヴァ「ア゙ー………」
シューフェス「船酔いはしないみたいだから良かったが本当体調大丈夫か?」
ギルーヴァ「大丈夫………」
ミーファ「馬に乗ってからしばらくしてから体調悪くなってきたよね」
ギルーヴァ 乗るまでは全然平気だったんだけどな………
シューフェス「大体1時間でつくからそれまでは少し寝てな?」
ギルーヴァ「そうする………」
兄に言われ体調不良のまま魔城に行ったらどうなるかわからないので、運がいいことに船は広くそのまま寝転がって寝ても問題ないのでそのまま目を閉じる
ミーファ「………大丈夫かな………」
シューフェス「大丈夫だろ」
ミーファ「………兄さん いい加減にしなよ」
シューフェス「…………」
ギルーヴァが眠った後ミーファはやはり心配で兄に大丈夫かどうかを聞くが素っ気ない返事しか帰ってこない
ミーファ「確かにギルーヴァは魔族の長 アールシキールの息子だけど、ギルーヴァ自身父さんと母さんを殺したわけじゃないのを分かっててその反応なら王としてどうなの?第一に父さんと母さんがギルーヴァを連れてきた日のことを覚えてないの?ギルーヴァは酷く怯えていて私達と話をしようとはしなかった………恐怖で口を聞けないくらいギルーヴァは幼く弱々しかった………そんなことも忘れたの?王として私と兄さんはギルーヴァを利用してること………兄さんはなんとも思ってないの?」
ミーファはギルーヴァに罪悪感を抱いていた………それこそ本当に長い間………
ミーファ「もうギルーヴァを自由にするべきよ ギルーヴァをこれ以上このままにしていてもギルーヴァがギルーヴァではなくなる」
シューフェスはミーファのその言葉に対して何も答えなかった………
ミーファ「ギルーヴァ 着いたよ」
ギルーヴァ「ん………」
シューフェス「…………」
ギルーヴァ なんか険悪な空気が………?
寝ている間のミーファのシューフェスに対する言葉を知らないギルーヴァはクエスチョンマークが飛び交う
シューフェス「こっちだ」
結局険悪なムードは変わらず魔城に入った3人はシューフェスの案内である場所へ
ギルーヴァ あっ
ふと歩いているとちょくちょく人型の魔族とすれ違ったが通るだけの広間でフィレンアとレイシャードを発見
フィレンア、レイシャード「((*- -)(*_ _)ペコリ)」
ギルーヴァ 律儀だなぁ
ギルーヴァを見つけた二人は律儀にお辞儀をしてきて他にも大勢の魔族にお辞儀をされるギルーヴァ
「~♪」
ふと歩いていく内に聞こえてきた音………何故か聞き覚えのある気がするの音に誘われてギルーヴァがシューフェスの前を歩く
ギルーヴァ この音………どこかで………
少しずつ早まる足の動きにギルーヴァは目の前に現れた扉を1人で開く
???「1人でその扉を開けるとは………」
パイプオルガンを奏でるのは魔力に包まれた時に見えた幻影のその人………骸骨の見た目なのに暖かい温度を持ちギルーヴァの名を呼んだ人………
シューフェス「突然の呼び出しをした上でその反応か?魔族の長 アールシキール」
アールシキール「我を呼び捨てとは………堕ちた王にしては非礼に値するぞ シューフェス・ファーザー」
シューフェス「陥れたのはそちらだろう!」
アールシキール「愚かな王………っ?!」
シューフェスの声でアールシキールは後ろを向く………そこには長年探していたクロウの本物であるクロードがいて………一瞬言葉をなくす
アールシキール「………「陥れたのはそちらだろう」と言うがならば何故そなた達の親は死んだ?我との契約を破ったのはそなた達の親であろう?」
動揺をなんとか押し殺したアールシキールはシューフェスにそう言う
アールシキール「我は契約として「好意で家族を傷つけた時は契約破棄として命を差し出す」と提示したが………そなた達の親はそれを破り我が友であるクマーガの息子を傷つけた………それも好意でだ その時点で契約破棄となったにも関わらずあの者達は命を差し出さなかった………そして契約そのものを放棄し我が息子を連れ去った………正直にいえば貴様達の命も落としてくれようと思ったが我にも良心はある………親の命を落とすだけに留めて我はそなた達を生かしたというのに………未だに自分たちの犯した罪がわからない子供のようだな」
シューフェス、ミーファ「っ……」
アールシキールの言葉は正論で2人は何もいい返せない
ギルーヴァ「…………€$☆=〆|?(貴方は誰?)」
しかしギルーヴァだけは魔族の言葉でアールシキールに「誰か」と聞く
アールシキール「我が名は「アールシキール」 魔族の長」
ギルーヴァ 魔族の長………アールシキール………
アールシキール「我も聞こう そなたは誰だ?」
ギルーヴァ「ギルーヴァ・ファーザー 王国の3番目の王」
アールシキール「…………」
ギルーヴァ「…………」
2人は目が合い何も言わずに無言で見つめ合う
ギルーヴァ「!!」
不意にギルーヴァの目に敵国の兵士達が国に向かおうとしているのが見えて後ろを向く
シューフェス「どうした」
ギルーヴァ「国に帰らないと………敵が来る!!」
クロウ「ここから行け この階段を上がれば馬があるところまで行ける」
クロウが気を利かして魔力で階段を作ってくれて感謝を述べてギルーヴァは猛ダッシュで行こうとすると………
アールシキール「クロード!!!」
ギルーヴァ「!!!」
アールシキールに名を呼ばれ思わず今にも泣きそうな顔で振り向いて何も言えずに馬の所に行き国へ帰る
アールシキール「貴様ら俺の息子をぞんざいに扱っているな?」
クロウ「父上 素が出ております」
シューフェス、ミーファ「…………」
アールシキール「貴様らも契約を破るか………致し方ないな」
ギルーヴァが国に大急ぎで戻っている最中にアールシキールと王2人がそんな話をしていた………
ギルーヴァ 息が………でも早く伝えないと!!
なんとか早馬で城にまでこれたギルーヴァだが過呼吸を起こし戦闘部隊のいる部屋に続く階段の踊り場で崩れ、息ができない苦しさと敵が来るという混乱が混じってパニックを起こす
リューン、クロウド「陛下!!??」
タイミングよくリューンとクロウドが階段の近くにいて音で気がついたのか駆け寄ってきた
ギルーヴァ「総員に至急……戦闘準備を………っ!!………敵が………来る………!!!」
クロウド「はっ!!リューン隊長 陛下を頼みます」
リューン「分かった」
クロウドがギルーヴァの状態と状況を把握し大急ぎで戦闘部隊に戦闘準備をさせて即座に戦闘ができる状態に
ギルーヴァ「指揮をリューンに………」
なんとか立っていることは出来るがギルーヴァは過呼吸で呼吸もままならないのでリューンに指揮を任す
リューン「総員戦闘配置につけ ギルーヴァ王の名にかけて全員生きて戦況を打破せよ!!」
全戦闘部隊隊員「はっ!!!」
リューンはギルーヴァが指揮を執れない時のために指揮を執れるよう訓練をしていたので代わりに指揮を執る
ギルーヴァ 戦闘をしてる音が聞こえる………けど今の状態では駄目だ………今俺が出たら戦況が悪化してしまう
音だけで戦況が分かるギルーヴァは少しでも過呼吸をどうにかしようと深呼吸をしたいのだが………身体がいうことを聞かない
シューフェス「ギルーヴァ?!」
ミーファ「ギルーヴァ?!」
リューン「ギルーヴァ王?!」
ギルーヴァ 戦闘………終わった………のか………
いつ帰ってきたのか………延々と過呼吸を起こしていたギルーヴァはとうとう意識を失い何とか立っていた場所から崩れた………戦闘は勝利したが肝心のギルーヴァが倒れたことにより3人はギルーヴァに触れようとしたが………
クロウド「悪いけど触らせないよ」
漸く本性を表したクロウドがそれを魔力で阻止
リューン「クロウド………?」
クロウド「隊長や他の戦闘部隊隊員には悪いんだけど……俺見た目が人間ってだけで本当は魔族の上級層なんだよね 任務のためにここに来て兵士として働いていただけ」
リューンはクロウドが魔力を放出したことが信じられなかったのか目を見開いて驚く
アールシキール「クロウド よくやった」
そしてクロウドが作った魔力のゲートから現れたのはアールシキールとクロウ
クロウ「過呼吸起こしてるね」
そう言いながらクロウはギルーヴァに小さい過呼吸が治る程度の魔力を与えギルーヴァも苦しみから解放された
ミーファ「ギルーヴァ!!」
アールシキール「ふむ そなたは良き人間のようだな」
意識のないギルーヴァにミーファは必死に叫ぶ………その声は愛しさが溢れていてアールシキールも本当は隠していたのだと知る
アールシキール「我が息子を返してもらおう」
アールシキールは意識のないギルーヴァを横抱きに抱えて出てゲートの中に、護衛としてきていたクロウとゲートを開いたクロウドを連れて入っていく
クロウ「俺の予言は当たる けれど貴方はわからない」
クロウはミーファに対してそう言い残してゲートの中に包まれ消えた………
ギルーヴァは大切な人との再会を果たしたその日に魔城へ連れていかれた………
シューフェス「ギルーヴァ 体調はもういいのか?」
上級層の魔族と直接の話をして城に帰ってから1週間体調を崩したのに無理をして会議に出たギルーヴァに、シューフェスがそんなことを聞くが「大丈夫」としか言わない
ミーファ「クロウドの様態は?」
ギルーヴァ「姉さんが回復能力を使ってくれたおかげで今はピンピンしてるよ」
ミーファ「でも鎧はまだ新しいのが出来てないから戦闘はしてないんでしょう?」
ギルーヴァ「うん 鎧ナシでやっても部下達が容赦してくれないから下手したら死んじゃう」
ギルーヴァ まぁ訓練を見学してはいるけどね
シューフェス「先日の魔族の出現によって「魔城」と呼ばれている城に行くことになった」
ミーファ「いつ誰が行くの?」
シューフェス「5日後3人で行く」
ギルーヴァ「俺鎧壊れてるとこ直ってないんだけど」
ギルーヴァ たまに無茶苦茶言うよな………
シューフェス「能力使って直せないのか?」
ギルーヴァ「昨日まで寝込んでた人に対して無茶苦茶言ってんの分かってる?」
シューフェス「………すまん」
怒り気味にギルーヴァが言うとシューフェスに謝罪をされる
ギルーヴァ「取り敢えず直すことには直すけど後ほか用意するものある?」
シューフェス「特にはない」
ギルーヴァ「分かった 俺部屋戻るから」
※実は城の廊下で話してた
ギルーヴァ「………クロウド」
上2人に部屋に戻ると言ってギルーヴァは歩いていくと遠方にクロウドがいて小走りで駆け寄って、声をかけつつも体調はどうかを調べて肩を叩く
クロウド「ギルーヴァ王」
ギルーヴァ「見た感じ体調は問題なさそうだな 傷は?」
クロウド「治りはしましたがまだ多少の痛みがあります」
ギルーヴァ かなりの広範囲を傷つけてたからな………
ギルーヴァ「余り動かずに部屋で安静にしていた方がいいんじゃないか?リューンも心配していたぞ」
クロウド「あーやっぱりですか?………分かりました 部屋で安静にしてます」
ギルーヴァ「うん そっちの方がいい」
クロウドに部屋で安静にすることを勧めてギルーヴァは自室に戻り鎧を直す
ギルーヴァ うーん………魔力で壊れたから簡単には直らないな………
一応予備の鎧を着ているとはいえやはり着慣れた鎧の方がいいので精一杯の力を使って直す
~かれこれ5時間~
ギルーヴァ「しんどい………」
クロウド「だからって俺のところ来ます?」
5時間後 ギルーヴァは癒しを求めてクロウドの部屋に来てクロウドをベッドサイドに座らせて、ベッドで横になりつつ腰に腕を回して頭をグリグリ
ギルーヴァ「魔力で壊れたからまさかとは思ったけど半分しか直らないとか………明日も5時間やればすぐにでも着れるけど会議どころじゃなくなる………」
かれこれ5時間も力を使って鎧を直したがまだ壊れた腕の部分の10cmの内の半分の5cmしか直っていない
クロウド「魔力と能力ってそれぞれの使う力も次元も違いますから………」
ギルーヴァ 知ってたけどこれだけ違うって魔力ってどんだけ強くて次元違うの………
ギルーヴァ「気がついたら5時間経っててもう夜だし 散歩行かねぇ?」
クロウド「それはいいですが2人でですか?」
ギルーヴァ「嫌ならいいけど」
クロウド「行きますよ ただバレません?」
ギルーヴァ「兄さんがリューンに手を出してるのと同じだから大丈夫だろ」
ギルーヴァ まぁ部下達からは兄さんドン引きされてたけどね
ギルーヴァ「はぁ………やっぱり良いな」
クロウド「いつもここに来ますよね」
ギルーヴァ「風が気持ちいいんだ」
ギルーヴァとクロウドは夜に散歩をするといつも行く場所に行きギルーヴァは一息つく
ギルーヴァ「「魔城」ってどんなところだ?」
クロウド「唐突ですね…………魔族からすれば憩いの空間ですよ どこであろうとその場所は決して人間には汚されない………唯一の砦であり癒し」
ギルーヴァ「…………」
クロウド「行くんですか?」
ギルーヴァが話の最中に無言になる時はその場に行く時のことが多い
ギルーヴァ「5日後に」
クロウド「だから今日無理やり鎧を直していたんですね」
ギルーヴァ 不安しかないんだよな………
クロウド「でも貴方なら大丈夫 あの方も貴方には手を出さないはずです」
ギルーヴァ「………俺のことを覚えているかもわからないのにか?」
クロウド「覚えていますよ 絶対に」
ギルーヴァの不安をクロウドは優しく拭ってくれた……
~5日後~
ギルーヴァ「それじゃあ行ってくるから 城の警備を頼むぞリューン」
リューン「はい」
シューフェス「ミーファ、ギルーヴァ 行くぞ」
シューフェスに呼ばれギルーヴァは走り出した兄を追って馬で走り出す………目指すは「魔城」と呼ばれし魔族の住む城………
ミーファ「ギルーヴァ 大丈夫?少し休んだ方が………」
馬を走らせて約3時間………早朝に城を出て日が昇り始めた頃………ギルーヴァは自分の身に異変が起きているのを無視して馬を走らせた為に体調不良を起こした
シューフェス「顔色が悪いな………もうすぐで船に移るから頑張れるか?」
ギルーヴァ「頑張る………」
ギルーヴァ やばい気持ち悪い………
馬に乗っていただけなのだがギルーヴァは体調が悪くなってしまいなんとか船の所までは我慢
ギルーヴァ「ア゙ー………」
シューフェス「船酔いはしないみたいだから良かったが本当体調大丈夫か?」
ギルーヴァ「大丈夫………」
ミーファ「馬に乗ってからしばらくしてから体調悪くなってきたよね」
ギルーヴァ 乗るまでは全然平気だったんだけどな………
シューフェス「大体1時間でつくからそれまでは少し寝てな?」
ギルーヴァ「そうする………」
兄に言われ体調不良のまま魔城に行ったらどうなるかわからないので、運がいいことに船は広くそのまま寝転がって寝ても問題ないのでそのまま目を閉じる
ミーファ「………大丈夫かな………」
シューフェス「大丈夫だろ」
ミーファ「………兄さん いい加減にしなよ」
シューフェス「…………」
ギルーヴァが眠った後ミーファはやはり心配で兄に大丈夫かどうかを聞くが素っ気ない返事しか帰ってこない
ミーファ「確かにギルーヴァは魔族の長 アールシキールの息子だけど、ギルーヴァ自身父さんと母さんを殺したわけじゃないのを分かっててその反応なら王としてどうなの?第一に父さんと母さんがギルーヴァを連れてきた日のことを覚えてないの?ギルーヴァは酷く怯えていて私達と話をしようとはしなかった………恐怖で口を聞けないくらいギルーヴァは幼く弱々しかった………そんなことも忘れたの?王として私と兄さんはギルーヴァを利用してること………兄さんはなんとも思ってないの?」
ミーファはギルーヴァに罪悪感を抱いていた………それこそ本当に長い間………
ミーファ「もうギルーヴァを自由にするべきよ ギルーヴァをこれ以上このままにしていてもギルーヴァがギルーヴァではなくなる」
シューフェスはミーファのその言葉に対して何も答えなかった………
ミーファ「ギルーヴァ 着いたよ」
ギルーヴァ「ん………」
シューフェス「…………」
ギルーヴァ なんか険悪な空気が………?
寝ている間のミーファのシューフェスに対する言葉を知らないギルーヴァはクエスチョンマークが飛び交う
シューフェス「こっちだ」
結局険悪なムードは変わらず魔城に入った3人はシューフェスの案内である場所へ
ギルーヴァ あっ
ふと歩いているとちょくちょく人型の魔族とすれ違ったが通るだけの広間でフィレンアとレイシャードを発見
フィレンア、レイシャード「((*- -)(*_ _)ペコリ)」
ギルーヴァ 律儀だなぁ
ギルーヴァを見つけた二人は律儀にお辞儀をしてきて他にも大勢の魔族にお辞儀をされるギルーヴァ
「~♪」
ふと歩いていく内に聞こえてきた音………何故か聞き覚えのある気がするの音に誘われてギルーヴァがシューフェスの前を歩く
ギルーヴァ この音………どこかで………
少しずつ早まる足の動きにギルーヴァは目の前に現れた扉を1人で開く
???「1人でその扉を開けるとは………」
パイプオルガンを奏でるのは魔力に包まれた時に見えた幻影のその人………骸骨の見た目なのに暖かい温度を持ちギルーヴァの名を呼んだ人………
シューフェス「突然の呼び出しをした上でその反応か?魔族の長 アールシキール」
アールシキール「我を呼び捨てとは………堕ちた王にしては非礼に値するぞ シューフェス・ファーザー」
シューフェス「陥れたのはそちらだろう!」
アールシキール「愚かな王………っ?!」
シューフェスの声でアールシキールは後ろを向く………そこには長年探していたクロウの本物であるクロードがいて………一瞬言葉をなくす
アールシキール「………「陥れたのはそちらだろう」と言うがならば何故そなた達の親は死んだ?我との契約を破ったのはそなた達の親であろう?」
動揺をなんとか押し殺したアールシキールはシューフェスにそう言う
アールシキール「我は契約として「好意で家族を傷つけた時は契約破棄として命を差し出す」と提示したが………そなた達の親はそれを破り我が友であるクマーガの息子を傷つけた………それも好意でだ その時点で契約破棄となったにも関わらずあの者達は命を差し出さなかった………そして契約そのものを放棄し我が息子を連れ去った………正直にいえば貴様達の命も落としてくれようと思ったが我にも良心はある………親の命を落とすだけに留めて我はそなた達を生かしたというのに………未だに自分たちの犯した罪がわからない子供のようだな」
シューフェス、ミーファ「っ……」
アールシキールの言葉は正論で2人は何もいい返せない
ギルーヴァ「…………€$☆=〆|?(貴方は誰?)」
しかしギルーヴァだけは魔族の言葉でアールシキールに「誰か」と聞く
アールシキール「我が名は「アールシキール」 魔族の長」
ギルーヴァ 魔族の長………アールシキール………
アールシキール「我も聞こう そなたは誰だ?」
ギルーヴァ「ギルーヴァ・ファーザー 王国の3番目の王」
アールシキール「…………」
ギルーヴァ「…………」
2人は目が合い何も言わずに無言で見つめ合う
ギルーヴァ「!!」
不意にギルーヴァの目に敵国の兵士達が国に向かおうとしているのが見えて後ろを向く
シューフェス「どうした」
ギルーヴァ「国に帰らないと………敵が来る!!」
クロウ「ここから行け この階段を上がれば馬があるところまで行ける」
クロウが気を利かして魔力で階段を作ってくれて感謝を述べてギルーヴァは猛ダッシュで行こうとすると………
アールシキール「クロード!!!」
ギルーヴァ「!!!」
アールシキールに名を呼ばれ思わず今にも泣きそうな顔で振り向いて何も言えずに馬の所に行き国へ帰る
アールシキール「貴様ら俺の息子をぞんざいに扱っているな?」
クロウ「父上 素が出ております」
シューフェス、ミーファ「…………」
アールシキール「貴様らも契約を破るか………致し方ないな」
ギルーヴァが国に大急ぎで戻っている最中にアールシキールと王2人がそんな話をしていた………
ギルーヴァ 息が………でも早く伝えないと!!
なんとか早馬で城にまでこれたギルーヴァだが過呼吸を起こし戦闘部隊のいる部屋に続く階段の踊り場で崩れ、息ができない苦しさと敵が来るという混乱が混じってパニックを起こす
リューン、クロウド「陛下!!??」
タイミングよくリューンとクロウドが階段の近くにいて音で気がついたのか駆け寄ってきた
ギルーヴァ「総員に至急……戦闘準備を………っ!!………敵が………来る………!!!」
クロウド「はっ!!リューン隊長 陛下を頼みます」
リューン「分かった」
クロウドがギルーヴァの状態と状況を把握し大急ぎで戦闘部隊に戦闘準備をさせて即座に戦闘ができる状態に
ギルーヴァ「指揮をリューンに………」
なんとか立っていることは出来るがギルーヴァは過呼吸で呼吸もままならないのでリューンに指揮を任す
リューン「総員戦闘配置につけ ギルーヴァ王の名にかけて全員生きて戦況を打破せよ!!」
全戦闘部隊隊員「はっ!!!」
リューンはギルーヴァが指揮を執れない時のために指揮を執れるよう訓練をしていたので代わりに指揮を執る
ギルーヴァ 戦闘をしてる音が聞こえる………けど今の状態では駄目だ………今俺が出たら戦況が悪化してしまう
音だけで戦況が分かるギルーヴァは少しでも過呼吸をどうにかしようと深呼吸をしたいのだが………身体がいうことを聞かない
シューフェス「ギルーヴァ?!」
ミーファ「ギルーヴァ?!」
リューン「ギルーヴァ王?!」
ギルーヴァ 戦闘………終わった………のか………
いつ帰ってきたのか………延々と過呼吸を起こしていたギルーヴァはとうとう意識を失い何とか立っていた場所から崩れた………戦闘は勝利したが肝心のギルーヴァが倒れたことにより3人はギルーヴァに触れようとしたが………
クロウド「悪いけど触らせないよ」
漸く本性を表したクロウドがそれを魔力で阻止
リューン「クロウド………?」
クロウド「隊長や他の戦闘部隊隊員には悪いんだけど……俺見た目が人間ってだけで本当は魔族の上級層なんだよね 任務のためにここに来て兵士として働いていただけ」
リューンはクロウドが魔力を放出したことが信じられなかったのか目を見開いて驚く
アールシキール「クロウド よくやった」
そしてクロウドが作った魔力のゲートから現れたのはアールシキールとクロウ
クロウ「過呼吸起こしてるね」
そう言いながらクロウはギルーヴァに小さい過呼吸が治る程度の魔力を与えギルーヴァも苦しみから解放された
ミーファ「ギルーヴァ!!」
アールシキール「ふむ そなたは良き人間のようだな」
意識のないギルーヴァにミーファは必死に叫ぶ………その声は愛しさが溢れていてアールシキールも本当は隠していたのだと知る
アールシキール「我が息子を返してもらおう」
アールシキールは意識のないギルーヴァを横抱きに抱えて出てゲートの中に、護衛としてきていたクロウとゲートを開いたクロウドを連れて入っていく
クロウ「俺の予言は当たる けれど貴方はわからない」
クロウはミーファに対してそう言い残してゲートの中に包まれ消えた………
ギルーヴァは大切な人との再会を果たしたその日に魔城へ連れていかれた………
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