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『平和な世界』になった、はず、ですよね?
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おかしいと思うの。
『そして人々は幸せに暮らしました。
めでたしめでたし』
登場人物たちが、なんとなく幸せそうな、未来に希望を持っているような顔をして、やや上のなにかをみんなで見上げていたり。
なんだか楽しげに笑い合っている瞬間だったり。
そんな絵面(小説だと描写?)で終わる。
そのあとはまぁ、然るべきところに然るべき感じて落ち着いていくのが予想されるのが、『大団円』だと思うの。
そのあとは、物語に描かれたような大事件は(続編でなければ)起こらず、刺激の少ない日常が進んでいく。
それが『正しいエンディングのその後』だと思うの。
なーのーにー。
「アンさん。俺の水魔法とアンさんの『性質変化』で新しい魔法ができそうな気がするんで、ちょっと付き合ってほしいんですけど」
「いや、アクシオ。
君の臣下たちが探していたよ。
魔法士としての立場も大事だけれど、王になるものとして、早く故国に赴いたほうがいいんじゃないのかい?
こちらの心配はしなくていいよ。
アンには私の手伝いをしてもらいつつ、宮廷作法を身につけてもらわなくてはならないからね」
「いえ、サルファス殿下。
アンには『拡大』でポーションを増やしてほしという依頼が、騎士団を通じて寄せられていまして……
供給量は騎士団で調整いたしますが、今回のような天災級の災害が再び起こったときの備蓄として各都市に配布する量を確保するためには、アン魔法士には、しばらく騎士団に詰めていただいと考えております」
あれ?
魔王を倒した勇者たちは、みんな仲良くお過ごしなのではないのっ。
私ですら、バッチバチの火花が見えるんですけどっ。
おかしいですねぇ。
なぜだか冷や汗が止まらないんですけどっ。
『まぁ、またあの方々がご一堂に』
『眼福ですわぁ』
『あんな近くにいらっしゃるアン魔法士は、羨ましいですけど』
『あの方なら、仕方ないですわねぇ』
いやいや、モブのみなさま方。
今っ、この瞬間っにもっ、速攻で立場代わりますっ。
っていうか、いくら出せば代わってもらえますかっ。
いい値で買わせてくださいっ。
大団円をむかえても、私のモブへの道は、果てしもなく遠くの空に行ってしまった気がする……
探しに行っても、いいですか?
ーーENDーー
『そして人々は幸せに暮らしました。
めでたしめでたし』
登場人物たちが、なんとなく幸せそうな、未来に希望を持っているような顔をして、やや上のなにかをみんなで見上げていたり。
なんだか楽しげに笑い合っている瞬間だったり。
そんな絵面(小説だと描写?)で終わる。
そのあとはまぁ、然るべきところに然るべき感じて落ち着いていくのが予想されるのが、『大団円』だと思うの。
そのあとは、物語に描かれたような大事件は(続編でなければ)起こらず、刺激の少ない日常が進んでいく。
それが『正しいエンディングのその後』だと思うの。
なーのーにー。
「アンさん。俺の水魔法とアンさんの『性質変化』で新しい魔法ができそうな気がするんで、ちょっと付き合ってほしいんですけど」
「いや、アクシオ。
君の臣下たちが探していたよ。
魔法士としての立場も大事だけれど、王になるものとして、早く故国に赴いたほうがいいんじゃないのかい?
こちらの心配はしなくていいよ。
アンには私の手伝いをしてもらいつつ、宮廷作法を身につけてもらわなくてはならないからね」
「いえ、サルファス殿下。
アンには『拡大』でポーションを増やしてほしという依頼が、騎士団を通じて寄せられていまして……
供給量は騎士団で調整いたしますが、今回のような天災級の災害が再び起こったときの備蓄として各都市に配布する量を確保するためには、アン魔法士には、しばらく騎士団に詰めていただいと考えております」
あれ?
魔王を倒した勇者たちは、みんな仲良くお過ごしなのではないのっ。
私ですら、バッチバチの火花が見えるんですけどっ。
おかしいですねぇ。
なぜだか冷や汗が止まらないんですけどっ。
『まぁ、またあの方々がご一堂に』
『眼福ですわぁ』
『あんな近くにいらっしゃるアン魔法士は、羨ましいですけど』
『あの方なら、仕方ないですわねぇ』
いやいや、モブのみなさま方。
今っ、この瞬間っにもっ、速攻で立場代わりますっ。
っていうか、いくら出せば代わってもらえますかっ。
いい値で買わせてくださいっ。
大団円をむかえても、私のモブへの道は、果てしもなく遠くの空に行ってしまった気がする……
探しに行っても、いいですか?
ーーENDーー
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めちゃくちゃこの作品好きです。読んでるので1番好きです。もっと人気出てもおかしくないと思うのに。頑張ってください٩( 'ω' )و
感想ありがとうございますっ!
楽しんでいただいて、本当に嬉しいですっ!
引き続き楽しんでいただけるよう、精進してまいります╰(*´︶`*)╯