上 下
32 / 39

幕間 ーーモブ達の本編ーー①

しおりを挟む
 え~。
 さすがに状況を細かく話すには、私のMPメンタルポイントが足りなさすぎるので、ダイジェストで。

 とりあえず、声が出るようになりまして。
 器質性じゃなくて、精神的な理由だったんだねぇ、と自分でも納得。
 そのまましみじみとしたいところ、なぜかアクシオ君が張り切ってしまい、夜が明けるまで私の部屋に居て…………はい。
 ラクロアさんが来る前に、なんとか部屋(窓)から出てってもらったけど、部屋は一階じゃないけど、メインキャラ補正で怪我とかはしていないはず。
 窓に足をかけて、
 『また、来る』
 っていって、去り際にキスをかすめ取っていったアクシオ君。
 数時間前まで、チューも初々しかったのにっ。
 誰が貴方をこんな風にっ(セルフ突っ込みの私ですね、はい)。

 で、ぎりぎりでラクロアさんと鉢合わずに済んだ。
 入室を求めるラクロアさんに返事をしたことで、声の復活公認。
 その後、レリア王女には前回同様抱き着かれ地味に痛く(いや、喜んでいただいているのは感謝です、本当に)、お医者さんだなんだと呼ばれて検査されて、声の復活認定。
 ラクロアさんの、
 『お若い方と、気を張らずにお過ごしになったのがよかったのでしょうね、きっと』
 のご発言に、プライバシーのなさを痛感。
 見て見ぬふり、でしたのですね、やはり。
 喜んでくれるみなさんと、微妙な変化ながらなぜかドヤ顔のアクシオ君。
 ナジャ君に突っ込まれてるのに、なんか上機嫌ぽいのが解せぬ。
 そしてさらに、ビミョーにご機嫌を損ねているお二人。
 「気を張らない、か。
  気絶させないように気を使ってたんだが、必要なかったってわけだ」
 いや、イスリオさん。
 相手がどなたかうかがいませんが、気絶させるっていうのは、穏やかでないのでは。
 「そうだねぇ。
  気を張る隙も与えずに責め抜くっていうのも、ひとつの解決法だったかもしれないねぇ」
 いえ、だから暗黒がにじみ出ていらっしゃいますよ、サルファス王子サマ。

 まぁ、メインストーリーに一切関係ないモブの状況が好転したところで、メインストーリーが進みだす。
 メインキャラたちみんなが力をつけ、必殺技的なものを会得し、いざっ、魔王討伐に旅立たれたのでしたっ。

 (え~、その前に。
  なぜかモブの復活した声が枯れたり、腰だのいろいろの箇所がだる重くなったり、肌に不明な虫刺され的なものや歯形が刻まれたとしても、メインストーリーには一切関係ありませんから。
  王宮騎士の宿舎や、王太子の寝所の周りで一時寝不足の方や、私と目を合わせづらくされている方々が現れたのは、私のせいじゃないですって、ほんとにっ)

 モブはお茶ーー喉にいい蜂蜜入り。どなたか様からの差し入れーーをいただきつつ、ちょっと休憩中。
 メインキャラたちがいなくなると、あとは粛々とした生活を進めていくのがモブの役目。
 王宮や町の復旧や、魔王の住む城(らしい)までの資材の運搬の手配だとか(飲料食糧、替えの下着に武器やポーション、いるでしょ?)、小説では一切語られない、とってもフツーな日常業務をこなしている。
 う~ん。
 これぞ正しいモブ。
 なんだけど。
 「どうして、あなた様がここに残っていらっしゃるのでしょう、古の大魔導士 クラムド=クリシャ様」
 小説の展開として知ってたけど、やっぱり納得いかない展開なわけで。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...