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返却も退却も、速やかに行いましょう⑤*

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 小説でも、サルファス王子の紹介には、『魔法に対し、強い関心を持っている』ってあった。
 けど、腹黒王子であって、サイコ系じゃなかったはず。
 確かに『心底楽しくてしょうがない』ってお顔なんだけど、こう、満腹なんだけど目の前にネズミ出てきたから遊んじゃう大型肉食獣っ、とでもいって雰囲気。
 うわぁ、この楽しそうなものでどうやって遊ぼうかな、ってワクワク感は伝わってくるんだけど、なぜか背後に感じるホラー感。
 瞳の輝きが、無邪気なキラキラ、じゃなくて深くて暗い穴があるギラッギラに感じるのは私だけ?(って、この場には、私の見える範囲には、私と王子サマしかいないけど。) 

 「妃……にもできるか。
  爵位をあげておいてよかったよ」
 なにをおっしゃっていらっしゃいますやらっ、王子サマっ。
 「いえっ。とんでもございませんっ。
  もったいなくも爵位一代限り男爵を頂戴いたしましたが、私はそれはもう歴とした庶民っ。
  由緒正しい庶民の中の中の庶民でございますっ。
  王侯貴族の方々と、同じ空気を吸うのさえおこがましいっ」
 真剣に本気で、拘束している腕から逃れようとしてるんだけど、なんでびくともしないかなっ。
 この世界の細マッチョの腕力値、おかしいでしょ。

 「そう。
  庶民との結婚も、王家のイメージアップにいいと思わないかい?」
 それはいいと思いますよ。
 いつか王子様(玉の輿)が…………を、生涯一身でも考えたことないって女子はいないと思う。
 前例があれば、『わたしもっ……』って現実感が増すと思う。
 でもっ。
 それは私以外のどなたかでお願いしますっ。
 大丈夫ですって、多少(……)性格がどうとでも、王子様ですしっ。
 キラキライケメンメインキャラですしっ。
 引く手数多あまた間違いなしっ。私以外っ。
 「救国の癒しの聖女と王太子なんて、いかにもな組み合わせじゃないかな」
 え?
 『救国の聖女』って誰?
 そんなキャラ、この小説にいたかな?
 もしかして、新キャラっ?
 「君のことに決まっているだろう、アン」
 んなわけないでしょっ。
 「いえっ、救国とか、聖女なんて。私は別になにも」
 「『君に』癒された人々が吹聴して回っているようだよ。
  ハイポーションで命を取り留めたうえに、傷や毒まで治ってしまったなら、そういわれても仕方ないんじゃないかい?」
 確かに、限界手前(レリア王女、女官のラクロアさん、侍女さんたち監視の元)にセーブしてるけど、来るべき魔王再襲来のために、ポーションは作り続けてる。
 それがどこかの誰かのお役に立っているのは、大変うれしい。
 でも、できれば製造元は気にしないでくれないかなぁ。
 「レリアが貴族たちに、イスリオをはじめとした騎士たちが王宮内の貴族以外に。
  そして王宮から王都へ話が広がっているからね。
  じきに国中に広がるんじゃないかな」
 さり気に『情報の流れは掴んでいるよ』アピール頂いても、なんでストーカー的な気配を感じてしまうんだろう、私。
 もっと無邪気なモブとして、『王子様おステキっ』って感じで、遠くから同僚とか友達とかときゃふきゃふ騒いでいるだけの存在になりたっかった。
 というか、今でもなりたい。(切実。)
 がっちり腕の中にホールドされて、なんかいい匂いとかかいじゃったり、冷や汗かいてる自分の体臭とか気になったり、ふと気づくと寝台のある部屋で抱きしめ(拘束)られている状況を改めて見つめなおしちゃたり、なんか体温と見た目よりもがっしりしている筋肉とかも感じてるんですけど。
 そういえば、お互い結構な薄着で抱き合ってるしっ。
 私は『例の』下着に薄手のガウン。
 サルファス王子も当然薄手のガウン姿なんだけど、その下がどうなっているかは、庶民モブの私には想像もできない。
 はっ。
 もしやの全裸っ。(は、なさそう。ガウンの裾からズボン見えるし。なにかに感謝。)
 というか、思い出しちゃったっ。
 私、とんでもない格好してるっ。
 いえっ、どんでもないっていうのは、用意してくれたラクロアさんと侍女さんたちに申し訳ないし、素材や意匠は素晴らしいんだけど、中身が申し訳ないだけでっ。
 もう、心の叫びだけで酸欠になりそうっ。

 「まぁ、夜も遅いことだし。
  私たちも親交を深めるとしようか」
 えっ、そんなノリ?
 サルファス王子はものすごくスマート(=手慣れた感じ)に豪奢な寝台に導かれ、コテン、とごく簡単に押し倒された。
 「話は尽きないが、それはまた改めよう。
  なんなら、明日も明後日も話したいな。
  君の魔力の使い道については、とても興味深いし」
 逆光なのに、キラキライケメンのお顔と、ロイヤルスマイルが輝いてみるのなぜでしょう。
 まだ目の奥に『ギラギラ』を残したまま、サルファス王子はモブ女のガウンの襟に手を滑らせ……
 って、私はその手を全力で止めた。
 「え?」
 サルファス王子の貴重なきょとん顔が見られたけど、それよりここ、大事だから。
 「サルファス王太子殿下。
  お話のお相手なら、サルファス様がもういいと仰せになるまで承りますが、閨のお相手はしかるべき別の方に」
 「どうして?」
 どうしてって。
 メインキャラのお相手を、モブの私がしたくないからです。
 っていうのは建前で、このガウンの下のっ、素晴らしい下着と、モブなその中身を、キラキライケメンメインキャラの王子様のお目に触れさせたくないからですっ。
 というか、誰の目にも触れさせず、このまま永久封印でお願いしますっ。
 サルファス王子は片手で体を支えたまま、ガウンの襟にかかっていた手を外し、私の頬を撫でた。
 それは整えられた指の長い、美しい手だけれど、この手には多くのものが乗っていて、それをわずかでも取りこぼさないようにしているのを、私は知っている。
 それは小説で読んだことでもあるし、王宮で暮らしていれば自然と目につくことだ。
 作られたポーションだって、必要な人のところにどうやって配ればいいか、全然わからなかったのに、いつの間にやらちゃんと流れができている。
 普通に考えたら、庶民上がりの魔法士が王宮でウロチョロしていれば、中傷誹謗に罵詈雑言、どこかに連れ込まれてケガだけならいいけど、って目にあわされていてもおかしくはない。
 でも実際は、そんなことは一切なく、端っこのほうで快適に暮らさせてもらってる。
 きっといろいろと手を回してくれたんだろうなぁ、って思う。
 やり方は腹黒だったり、身内には雑(妹を蹴ってどかしたし)たりするんだけど、王族としての責任感を持って動いてる。
 そこは素晴らしいと思います。(モブが、上から目線でスミマセン。)
 これからも頑張ってください。(モブが、以下略。)
 でもっ。
 それとこれとは違うんですよっ。
 私の魔力がお役に立つなら、それはもういくらでも(レリア王女、ラクロアさん、侍女さんたちが許してくれ範囲で)お役に立たせていただきますが、閨はいらないでしょ。
 別の次元で、私がお色気担当モブキャラだったとしたら、侍らしていただくこともあるかもしれませんが(寝台で仲良くしようとしているときに、急の知らせが入ったりして、サルファス王子の後ろで「きゃっ」とかいいながらシーツで体を隠したりしてその後放置される役)、両方は荷が勝ちすぎます。
 役者不足ですって。(not 役不足。)
 ので、本日はこのまま退却させていただきたく…………

 「それは困ったね。
  皆が心配してしまうよ?」
 『皆』ってどなたですかっ。
 さっき声をかけた部屋の外に控えているらしい、騎士の方々でしょうか?
 それとも、私にはまったく察せられないけど、他にもいらしゃるのでしょうかっ。
 というか、王族ってプライバシーないんですかっ。
 「あるわけないだろう。そんなもの。
  この部屋の周りにも、寝ずの番をしている者たちが幾人もいるよ」
 当然、ってお顔でいわれても…………そうなんですね。
 それをお気の毒と思うか、生まれ育った環境の違いととるかは、人それぞれなんだろうな。
 例えば、喉が渇いた時だって、王族なら一声かければお茶が出てくるけど、庶民だったら汲み置きの水を飲むのがせいぜい。
 物を燃やしてて熱を作るって、結構な手間とお金がかかることなのよ。
 その代わり、庶民がひとりでこっそりできることが、王族にはできない。
 ほどほどはなくてどっちか選べ、っていわれたら、私は庶民をとっちゃうけど、別にどっちがいいも悪いもないと思う。
 王族の暮らしに人手がかかっているということは、それだけ雇用を生んでいるということだし。
 逆に王族が何でも自分でしちゃったら、困る人もいると思うだよね。
 それは、その分の人手を生産性のある職業に回せばいいっていうのも一理あるけど、文化や芸術っているのは、余分なところから出てくるものだからなぁ、というのは、私個人的見解で。

 といったなんだか偉そうな考察してみたんだけど、やっぱり現実って逃避できてない~。
 「王太子が『不能』だったら、国にとっても大事おおごとだろう?
  そんな噂がたたないようにしてほしいな」
 大事ですかね?
 そこは個性で乗り切れませんね?
 私はちょっとでも距離を取るように、寝台の上をずり上がってみる。
 肌触りが良すぎて、手が滑っちゃう。
 寝具が黒いのは、腹黒の自覚のためですかっ。
 黒いのに光ってみるのは、高級生地だからですね。
 それくらいは、庶民でもわかります。
 光るを通り越して輝いているのは、どれだけ高級生地なのか、庶民には想像もつきません。
 にっこり微笑んで近づいていらっしゃる王子サマ。
 ズリズリと逃げるモブ
 残念ながら、決着はついてしまう。
 いくら広い寝台とっても、終わりがあるから。
 たくさん積まれたっクッションを押し分けつつ後ずさっても、もう本当に後がなくなった。
 逃げられなかと左右を見たら、両側をタンッと腕でふさがれた。
 大きな音はしなかったけど、サルファス王子の手がベッドヘッドについている。 
 これもひとつの壁ドンですかっ。
 憧れなくもないシチュエーションだけど、せめてもう少しちゃんと服を着ているときにしていただけないでしょうかっ。
 ほんのり緊張のどきどき、じゃなくて、獲物としてロックオンされてる感しかないんですけどっ。
 「さあ、これからどうするの?」
 めちゃくちゃ楽しそうですね、サルファス王子。
 キャラブックにはなかったけど、絶対S体質だ。この人。
 「え~、お話したいっておっしゃってませんでした?」
 「今日の分は、もういいよ。
  あとは明日のお楽しみにしよう」
 「いえいえ。
  今日できることは、今日の内にいたしましょうっ。
  明日が今日の続きとは限りませんわ」
 「それは素晴らしく示唆に富んだ言葉だね。
  私の執務室に飾っておきたいくらいだ。
  では、今日成すべきことをしようか」
 ずりずりとベッドヘッドから落ちて横になる私。
 壁ドンから床(寝台)ドンになるサルファス王子。
 私の人生(+前世の記憶)を全動員しても、この状況から逃げだせる術が思いつかないっ。
 もうっ。
 このスペックなしっ。(私っ。)
 「実はさっきから、楽しみにしていることがあってね」
 はい。なんでございましょう。
 少しでも時間が稼げるなら、どんな話題でも大歓迎でございます。
 「王子宮の女官長と、王女宮の女官のラクロアは仲が良くてね」
 はぁ、それはよいことですね。
 「それで聞いたんだ。
  アンの素晴らしい姿を見逃さないように、とね」
 なに情報漏洩しちゃってるんですかっ。ラクロアさんっ。
 あなたは味方だと信じてたのにっ。
 サルファス王子は、私のガウンの合わせ目から、すっと指を素肌に滑らせた。
 「あっ……」
 でも、それ以上はしてこない。
 「ね?」
 この状況なのに、小首をかしげてお願いポーズとか、イケメンが百周回って可愛いが過ぎるんですけどっ。
 と、いうか。
 殴るなり噛みつくなり、もしくは男性にとっては悲劇的な状況となる急所を蹴り上げていない時点で、この先を許してしまっている自分がいるの、わかってるんだ、私も。
 モブがイケメンメインキャラに迫られて、断り切れませんでした、ってずるい状況を作りたかったというか。
 ああもうっ。
 覚悟を決めさせていただきますともっ。
 「ご期待には沿えないものと思いますが、せめて笑わないでいただけると幸いなのですが」
 「寝台を共にしようというご婦人を、笑うわけないだろう」
 「本当ですかっ」
 結構ここ、大事なとこですよっ。
 「私は嘘をついたことなんて、ないよ」
 にっこりの笑顔。
 はい。
 嘘決定。
 なんか私がすごい顔で見上げていたようで、サルファス王子は笑いながら私の髪をあやすように撫でた。
 「私が寝台に呼んで差しさわりがあるといわれるのは、国中でレリアだけだ。
  他は誰ひとり、王太子に逆らう術がない。
  だからね。アン。
  君も逃れられないんだよ。かわいそうにね」 
 なんか逃げ道作られてる。
 こういうところが、イケメンなんだなぁ。
 でも、私も覚悟、決めてしまいましたのでっ。
 「いいえ。サルファス様。
  お笑いなられても、お恨みしませんわ。ちょっとしか」
 我ながら、とても閨でする言い草じゃないんだけどさ。
 モブにはこれが精一杯。
 私は身を起こして座ると、身を守っていたガウンを肩から滑り落した。
 
 「あぁ、これは……」
 はいっ。
 そこでコメント止めてっ。
 新婚初夜と勘違いしてるだろお前っ、的意匠ですからっ。
 わかってやってますからっ。
 ヴァージンじゃないのに図々しくてスミマセンっ。
 察してくれたのか、サルファス王子はなにもいわず、私の頬に両手を当てて上を向かせた。
 唇が触れ合う。
 スリっと表面だけ合わせる、子どものような口づけ。
 そうしてから、サルファス王子は私の輪郭を確かめるように、首筋から肩。腕から太ももに指を滑らせる。
 時折指が肌を離れるのは、レースと薄布に遮られるから。
 キャミソールの胸元にあるリボンにサルファス王子の指がかかる。
 シュッと絹が滑る音がして、結び目が解かれるとキャミソールの前が開いて、その下があらわになった。
 隠したいのを必死でこらえて、黒いシーツを握りしめる。
 もういっそ、笑ってでもくれた方がましマシだけどっ。
 ちらっとサルファス王子を見ると、なんだか頬を赤らめてるように見える。
 白皙の王子様だから、さっきまでの余裕顔とはちょっと違う。
 ギラギラした期待じゃなくて、すごく大切なものを、彼にとって価値のあるものを目の前にした少年のような初々しさと、期待。

 「私がほどいても、いい?」
 こっそり、ささやくように聞かれる。
 飾りだから、解いたところでそんなに変わらないと思うんだけど、別に止めるものでもないし。
 「……どうぞ。サルファス様のお好きになさってください」
 そんな期待した目で見られると、こっちが恥ずかしくなっちゃう。
 もっと、パパパッサクッと進めていいですってば。
 サルファス王子は吐息だけで微笑むと、私の胸に顔を寄せてきた。
 唇でリボンの端を噛み、スッと引いた。
 リボンがひとつなくなっても、意匠的にはあんまり変わらない……はず……じゃないんですけどっ。
 リボンがほどけると、ブラの胸の先が緩んで、あの、布が割れたんですけどっ。
 白い繊細なレースを重ねたブラの先から、私の胸の先が、というか乳首が現れて。
 え? なにこれ?
 ボケッと見てると、サルファス王子の唇がそこに近づいてきて、甘噛みをされた。
 「ひゃあっ……んっ」
 驚いて声が抑えきれなかった。
 それに、刺激に背が反ってしまい、唇に乳首を押しつけるようになってしまった。
 「おや。自分から私に食べさせてくれるの?」
 「やっ。そんなところでしゃべらないでっ」
 濡れた先に、吐息がかかる。
 それからも、サルファス王子は次々とリボンを解いていく。
 そのたびに解かれた隙間から肌が現れ、あらかた解かれたときには、服を着ているというより、レースを巻いているだけのようになっていた。
 こんな仕様、聞いてないんですけどっ。
 「やっ……そんなところ見ないで」
 「どうして? 贈り物プレゼントのリボンを解いて出てきたら、私の物だろう?
  あぁ、すごいな。
  シーツまで濡れてしまっているよ」
 開かされた足の間から、サルファス王子が顔を上げた。
 濡れた口元を、普段の上品さからほど遠い、いやらしい舌使いで舐め取っている。
 「そんなの、舐めないでぇ」
 「そう?気持ちよさそうにしていたのに。
  では、どうしようか?
  こうした方が、いいかな?」
 じゅっと恥ずかしい音がして、今までより強い刺激をうけた。
 「あぁっ……や、あぁぁっ……」
 恥ずかしくて逃れたいのに、こらえきれずに背を反らせてしまい、また押し付けるようになってしまう。
 サルファス王子の金髪に手を伸ばし、引きはがそうとしても力が入らない。
 太ももがブルブル震えて、サルファス王子の頬に触れる。
 「ははっ、これは素敵な感触だね。とてもおいしそうだ」
 べろりと舌を這わせられる。
 もうっ。
 イケメン上品王子様でしょっ。
 人の体、隅から隅まで舐めまわすとか、やめてくださいってばっ。
 私はサルファス王子の舌になめられ、甘噛みされるたびに、勝手に跳ね上がる体の制御がきかない。
 「ラクロアがいっていたそうだよ。
  この意匠では、私が離してくれなくなるだろうから心配だ、と。
  好みを把握されているのは、いささか面白くはないけど、素敵な贈り物プレゼントに免じて許してあげるとしよう」
 いや、そんなお許しいらないですからっ。
 息も絶え絶えになった私を見下ろすと、サルファス王子は私の足を持ち上げ、足の指の間に舌を這わせた。
 「……ふあっ……あんっ」
 身をよじったことで、敏感になった肌がシーツに擦られる。
 足の間からも恥ずかしい粘着質の水音がしてしまう。
 そんなとことまで感じるなんて、知りたくなったんですけどっ。
 私の心の叫びはそのままに、サルファス王子は陶然と呟いた。 
 「すごく悩ましいね。
  すべて脱がせて楽しむべきか、それともこのまま堪能するべきか」
 そんなことお悩みにならなくて結構ですっ、王子サマっ。
 
 私が全裸になったのか、それとも全裸よりエロい着エロのまま事に至ったのか。
 それは、サルファス王子と私だけの秘密です。
 (王子様とふたりだけの秘密って……モブには重い)
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