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⑩手書きの字への対処法

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 さて、貴女は字がきれいですか?

 謙譲が美徳の日本人です。『はい』と答える人は圧倒的少数でしょう。
 『ダメですよ~』と答える人の約半分は、嘘つきです。

 初っ端からひがみ根性丸出しで失礼いたします。
(反省はしていない。キッパリ)
 だって、嘘つきだもん。
 私は自分の下手字をハッキリキッパリ認識していたので、ワープロ(え~今でいうところのWordだけができる機械です。はい。平成&令和世代は知らないだろうね……)が世に出たときは、すごく嬉しかったです。
 これで下手文字を晒さずにすむ。
 ブラインドタッチも、始めは自己流の日本語タッチ(そーゆーのがあるのですよ、若人よ)だったのをアルファベット入力に直しました。
 ハガキ、主に年賀状印刷なんて、感謝感動でした。
(うん。当時スマホでメールやラインの『あけおめ』はなかったの。ガラケーもなかったの。ポケベルだったよなぁ)

 世の中には個性的な字の方もいらっしゃる。
 前にテレビで見た樹○希林さんの文字は下手とかうまいとかではなく『個性的』な文字だと私は感じました。
 文字ってアートなんだ、と感じ入った次第です。
 逆に書道家と自他称される方々の文字については、もう感性の問題ではないかと。
 私としては文字は『他人から読めるもの』なので、解読不能な文字は絵画的鑑賞物になります。
 達筆すぎるって、逆に私には難しいのです。

 遥か昔、郵便局で年賀状の分別バイトをしておりました。今は機械化されて、ないでしょうけど。
 郵便番号住所をみて、所定の箱に入れていく作業です。
 その中で嫌われたのが、
 ・写真年賀状 
   →張り付いていて分けにくい。
 ・金色の文字orイラスト
   →金粉が手につく。
 そして最後が、
 ・達筆すぎる(主に毛筆)。
 貴方が達筆なのはよぉくわかったから、一般人に読める文字を書いてくださいな、とバイト(当時の私)は思ったわけです。
 ので、私にとって『読めない文字=文字ではなく絵画的鑑賞物』なのです。

 では、『読めるけど読みにくい文字』はどうしましょう。
 相当むかし、私が社会人としてピヨピヨしていたときの上司が、『文字として認識できるけれど、なんと書いてあるのかわからない』方でした。
 ある日、上司が行き先をメモして外出しました。
 別の部署の方から、上司の行き先を尋ねられたピヨピヨの私はメモを見ます。
 …………読めません。
 今だったら、『あ~、どっかいっています』と軽く躱せますが、当時はピヨピヨです。
 メモを片手に困惑している私に、
 『ん? そのメモ見せてご覧』
 といわれ、そのまま髄ズイッとメモを差し出します。
 困惑者が二人になりました。
 なにか二つのものが書いてあります。
 縦棒と横棒で、何かを表そうとしているのです。
 今だったら記念に写メるレベルです。
 今だったら、『そのうち帰ってきますよ~』と躱しますが、当時はピヨピヨです。
 私はメモを持つ手を震わせながら、所属でも古参にあたる先輩にメモの解読をお願いしました。
『あの、部長がなんて書かれたのか読めなくて……(しょんぼり)』
『あぁ、これ。『東京』って書いてあるよ』
 東京……
 あっさり解答を得たのですが、『東京』?
 そう言われてみれば、二文字目の上の方は『ナベブタ(部首)』に見えなくもないけれど、こんな鍋の蓋閉まる鍋なんかないほど歪んでいます。
 社会人の奥深さを、身に沁みて感じた出来事でした。

 そして時は流れて、社会人2●年目の私。
 後輩さんがメモを持って、申し訳無さそうに近づいてきます。
後輩:『あのぉ~、ちょっとうかがっていいですか?』
私:『なに? どうかした?』
 話しかけやすい先輩雰囲気を演出する私。
後:『スミマセン。これ、どっちかなぁ、って』
 その手には、私が書いたメモ。
 特に選ばなくちゃいけないようなことは、書いていないんだけれど……
 ここなんですが、と後輩さんが指さした先。
後:『『ア』でしょうか、『3』でしょうか。』
 ………どうやら私の文字も絵画的鑑賞物らしいです。
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