社会人2●年 アラフォーの対処法

藍川 東

文字の大きさ
上 下
3 / 33

③破れたストッキングを見つけた時の対処法(他人Ver.自分Ver.)

しおりを挟む
 すべてのストッキングは消耗品であるー--

 そりゃそうだ。

 しかも此奴はただ消耗される他の衣服とは違い、新品だろうが使い古しだろうが、値段が高かろうが安かろうが、唐突にそれ以降の使用を許さない状態になる。

 破れ(or伝線)である。

 それが起こる危険性は日常生活で常に潜んでおり、とくに出勤前に履いたとき、そして、あとは家路につくだけという退社前に気が付いてしまうと、『絶望』の二文字が頭に浮かぶ。。
 まぁ、日々の絶望の波を会社人生の長さで乗りきっていく社会人2●年目のアラフォーとしては、出勤前の絶望は素早く対処できる絶望の一つにすぎない。
 その場で脱ぎ捨てる。のち、フローリング掃除用に床に放置。
 退社前の絶望については後述することにして、別Ver.への対処を述べさせていただこう。

 まず他の人のストッキングの破れ(or伝線)を見つけてしまった場合。
 それは大概、駅の階段、もしくはエスカレーターを上っているときに見つけてしまう。
 まぁ、それ以外で人の足をまじまじと見上げる機会はない。(ご趣味の方以外)
 目線の高さに他人の足。
 本当に無の境地で見ているで見ていると、ピッーと縦線が入ったおみ足があるのだ。
 目の前に。

 選択肢は二つある。
 その①『ストッキング、破れて(or伝線)してますよ』と見ず知らずの他人に後ろから話しかける。
  →自分の親切心は満たされる。しかし、『え、この人なに?』という不審者を見る視線は当然覚悟しなくてはならない。
 さらに分岐が二つある。
 a.『あ、どうも』とお礼めいたことをいいつつ、破れてる(or伝線している)場所を確かめようと立ち止まる彼女を、微妙な会釈をして追い抜かして歩み去る。
 b.一瞥されたのち、無視して歩み去られる。
 こちらがアラフォー女なので、
 c.駅員か巡回中の警察官に不審者として通報される。
にはならないだろうが、『私って親切な人っ』という気持ちを満たした代償としてはリスクが大きすぎる。
 ここは選択肢その②の
 『スル―』
が社会人として正しい選択ではないだろうか。
 きっとストッキングが破れ(or伝線)している彼女も、今はその事態に気づいていない。
 気づいていない、ということは彼女にとってその事象は『ない』ということだ。
 だから堂々と歩いていける。ここでストッキングの破れ(or伝線)に気づいてしまったが最後、今日の完璧なコーディネートがすべて無に帰す。そんな絶望を、見ず知らずの他人に与えてしまっていいものだろうか。
 否。
 そして私は自分の欲求を抑えることで、誰も傷つかない世界を維持する。

 自分Ver.に移る。
 後回しにしていた『退社前に自分のストッキングが破れて(or伝線して)いることに気づいてしまった』Ver.だ。
 まず、被害状況を確認する。
 それはスカート、もしくは靴で隠れる箇所か否か。
 残念ながら隠れない箇所の場合、一目見て目立つ場所か否かを確認する。すねやふくらはぎ、正面や外側はアウトだけれど、内側なら気づかれないかもしれない。さらに、かかとからアキレス腱にかけての部分は、伸びて薄くなるところなので、気づかれない可能性が高い。
 しかし、いままでのチェック項目をまったく無視した箇所が破れ(or伝線して)いた場合。
 私の選択肢は一つに絞られる。
 『ストキングが破れて(or伝線して)ますよ』なんて己の親切心を満足させるためだけに声をかけてくるような輩に出会わず帰宅できるよう、わき目も振らずに家の玄関を目指すのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

恋人が出て行った

すずかけあおい
BL
同棲している恋人が書き置きを残して出て行った?話です。 ハッピーエンドです。 〔攻め〕素史(もとし)25歳 〔受け〕千温(ちはる)24歳

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

「悲喜こもごもエピソード集」

黒子猫
エッセイ・ノンフィクション
私が思い付くままに、自分の体験記を書いていくエッセイでございます♪ 多分、まとまりはありません(^^; (まとめるの苦手だから……) ☆体験記のお仕事編もどうぞ↓ 【桜餅@悲喜こもごも体験記~お仕事編~】 https://www.alphapolis.co.jp/novel/180758681/54447297

処理中です...