楽な片恋

 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
 ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
 それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……

 早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
 ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
 平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
 高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。

 優一朗のひとことさえなければ…………
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