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番外編(web版)
メディの恋~いつも見守ってくれていた私の騎士様~5
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コルタが私を秘密基地に連れて行ってくれた日から一年後。
彼が休日のたびに息抜きに連れて行ってくれたり、ティアが旅行に誘ってくれたりしたおかげで、私は少しずつ回復していつもの日常に戻りつつあった。
迫っているレイの結婚式の話を聞いても以前のように傷をえぐられるほどの痛みは感じない。
……もう少しかな?
あと少しでレイのことも吹っ切れそうだ。
何かきっかけがあれば変わるかもしれないと思いながら、私は城へと向かっていく。
私は普段の仕事の他にも王宮の薬草師達と共に時々薬草を作っている。
今日も城内にある薬草園で薬草を摘み、薬を作る予定になっているため、私は王宮の薬草園へと向かっていた。
きっと以前の私ならば、絶対に城には来なかったと思う。
だって、城にはレイがいるから。
前を向けるようになったなぁと思いながら薬草園の門まで向かえば、ちょうど薬草園から人が出てきたのが認識出来た。
王宮の薬草師かな?
ここに足を踏み入れるのは限られた人のみ。
私の知り合いである確率が高いだろう。
だんだん近づいて来るその人が誰なのか判明した瞬間。
私は、足を止めてしまう。
「レイ……」
呟きが空に消えていく。
まさか、こんなところで会うなんて思ってもいなかった。
前よりは平気だと思っていたのに、いざ彼と遭遇してしまったらいろいろな感情が駆け巡ってしまう。
そのせいで、私の視界が少しずつ滲んでいく。
好きだった。
優しく私の名を呼ぶ声も。
身分関係なく気を遣う性格も。
一度、お兄様に言われたことがある。
レイとの婚姻を望むか? と。
ファルマなら、レイと外交的な婚姻は可能。
大好きなレイとずっと側に居られる。
ファルマのような大国からの要望ならば、きっとレイは断れないだろう。
でも、私はお兄様の問いに首を左右に振った。
私は彼の隣に立つことができない。
ううん。違う。隣に立つことを考えなかった。
彼はこの国の王だから、結婚相手は一人ではない。
他にも国のために複数の女性と婚姻を結ぶだろう。
私はきっと耐えられず、不安な日々を過ごす。
それに、ティアのように王妃になる覚悟もなかった。
「メディ」
レイは私に気づくと微笑んだ。
「久しぶりだな」
「うん」
きっと私が避けていた事を知っているだろう。
でも、いつも通りにしてくれている。
「レイ、どうしてここに?」
「薬草園ってあまり行かないから、たまには訪れてみようと思ったんだ。メディは?」
「私は、薬草を摘みに」
動揺を悟られないように声のトーンを意識しながらしゃべっているけど、手の震えが止まらない。
私は気づかれないように、両手で持っている籠をぎゅっと握りしめる。
ここでレイと会ったのも逆に考えれば良いチャンスなのかもしれない。
一歩踏み出して区切りをつけるチャンス。
今なら言えそうな気がする。
レイに「おめでとう」って。
これでレイへの恋心に区切りをつけよう。
直感でそう思った。
それに、レイへのお祝いもまだ言えていなかったし。
「レイ。私、まだお祝いの言葉を言えていなかったね。結婚おめでとうございます」
身を切り裂かれるような痛みはなく、ほんのわずかの寂しさが残るのみ。
1年かかったけど、私の中では過去に出来るようになったのだろう。
突然のお祝いの言葉に、レイは目を大きく見開き、まばたきを数回繰り返した。
予想外だったのだろう。
でも、彼は目尻を下げて微笑みながら、「ありがとう」と言った。
「お祝い遅くなってごめんなさい」
「いや、そんなことないよ」
「かなり遅いよ。だって、式は来月なのに。今度お祝いの品を持ってくるね」
「そんなに気を使わないでくれ」
「ううん。レイにはお世話になっているから」
以前のように会話ができることにほっとする。
レイとここで出会ったのは予想外だったけど、結果として良かったのかも。
逃げてばかりいるわけにはいかなかったし。
これもコルタのおかげだ。
きっと引きこもっていたら、もっと時間がかかったかもしれない。
彼が外に連れ出して優しく傍で見守ってくれていたから、傷も少しずつ癒えたんだと思う。
――帰りに騎士団の建物に立ち寄って、コルタに報告しよう。レイにおめでとうって言えたって。
私が一番先に報告したい! って心に浮かんだのは、ティアやお兄様ではなくコルタだった。
彼が休日のたびに息抜きに連れて行ってくれたり、ティアが旅行に誘ってくれたりしたおかげで、私は少しずつ回復していつもの日常に戻りつつあった。
迫っているレイの結婚式の話を聞いても以前のように傷をえぐられるほどの痛みは感じない。
……もう少しかな?
あと少しでレイのことも吹っ切れそうだ。
何かきっかけがあれば変わるかもしれないと思いながら、私は城へと向かっていく。
私は普段の仕事の他にも王宮の薬草師達と共に時々薬草を作っている。
今日も城内にある薬草園で薬草を摘み、薬を作る予定になっているため、私は王宮の薬草園へと向かっていた。
きっと以前の私ならば、絶対に城には来なかったと思う。
だって、城にはレイがいるから。
前を向けるようになったなぁと思いながら薬草園の門まで向かえば、ちょうど薬草園から人が出てきたのが認識出来た。
王宮の薬草師かな?
ここに足を踏み入れるのは限られた人のみ。
私の知り合いである確率が高いだろう。
だんだん近づいて来るその人が誰なのか判明した瞬間。
私は、足を止めてしまう。
「レイ……」
呟きが空に消えていく。
まさか、こんなところで会うなんて思ってもいなかった。
前よりは平気だと思っていたのに、いざ彼と遭遇してしまったらいろいろな感情が駆け巡ってしまう。
そのせいで、私の視界が少しずつ滲んでいく。
好きだった。
優しく私の名を呼ぶ声も。
身分関係なく気を遣う性格も。
一度、お兄様に言われたことがある。
レイとの婚姻を望むか? と。
ファルマなら、レイと外交的な婚姻は可能。
大好きなレイとずっと側に居られる。
ファルマのような大国からの要望ならば、きっとレイは断れないだろう。
でも、私はお兄様の問いに首を左右に振った。
私は彼の隣に立つことができない。
ううん。違う。隣に立つことを考えなかった。
彼はこの国の王だから、結婚相手は一人ではない。
他にも国のために複数の女性と婚姻を結ぶだろう。
私はきっと耐えられず、不安な日々を過ごす。
それに、ティアのように王妃になる覚悟もなかった。
「メディ」
レイは私に気づくと微笑んだ。
「久しぶりだな」
「うん」
きっと私が避けていた事を知っているだろう。
でも、いつも通りにしてくれている。
「レイ、どうしてここに?」
「薬草園ってあまり行かないから、たまには訪れてみようと思ったんだ。メディは?」
「私は、薬草を摘みに」
動揺を悟られないように声のトーンを意識しながらしゃべっているけど、手の震えが止まらない。
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ここでレイと会ったのも逆に考えれば良いチャンスなのかもしれない。
一歩踏み出して区切りをつけるチャンス。
今なら言えそうな気がする。
レイに「おめでとう」って。
これでレイへの恋心に区切りをつけよう。
直感でそう思った。
それに、レイへのお祝いもまだ言えていなかったし。
「レイ。私、まだお祝いの言葉を言えていなかったね。結婚おめでとうございます」
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突然のお祝いの言葉に、レイは目を大きく見開き、まばたきを数回繰り返した。
予想外だったのだろう。
でも、彼は目尻を下げて微笑みながら、「ありがとう」と言った。
「お祝い遅くなってごめんなさい」
「いや、そんなことないよ」
「かなり遅いよ。だって、式は来月なのに。今度お祝いの品を持ってくるね」
「そんなに気を使わないでくれ」
「ううん。レイにはお世話になっているから」
以前のように会話ができることにほっとする。
レイとここで出会ったのは予想外だったけど、結果として良かったのかも。
逃げてばかりいるわけにはいかなかったし。
これもコルタのおかげだ。
きっと引きこもっていたら、もっと時間がかかったかもしれない。
彼が外に連れ出して優しく傍で見守ってくれていたから、傷も少しずつ癒えたんだと思う。
――帰りに騎士団の建物に立ち寄って、コルタに報告しよう。レイにおめでとうって言えたって。
私が一番先に報告したい! って心に浮かんだのは、ティアやお兄様ではなくコルタだった。
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