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タッジー・マッジー2
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「タッジーマッジーですか」
ミトが俺の執務机に置かれている二つの花束を眺めながら呟く。
タッジーマッジーとは、香りが高いハーブや花を組み合わせたブーケのことだ。
元々、とある国で外出時に持ち歩くのが流行。
悪臭対策や大流行した疫病を防ぐ目的だったが、時は流れ植物の花言葉を現すために作られるようになった。
ティアには薔薇、ワスレナグサ、スイートマジョラムなどで作り、メディにはグロリオサ、ガザニア、ミントなどで作った。
「机の上に飾っておけば、ティア達が癒されるかなと思ったんだ。仕事が忙しくて外に出る機会も減っているだろうし」
「ティア嬢は薔薇の方ですね。花のラブレターなのですぐにわかりました。メディ様には応援という感じで優しさのレターです」
「届けてくれるか?」
「勿論です」
「頼む」
俺は二つを紙袋へと入れると、ミトへと渡した。
水を吸わせた吸水スポンジに活けてブリキ缶に入れてあるので、エタセルまでは余裕で花の鮮度が持つはずだ。
「ティアナ様、きっと喜びますよ。では、さっそくエタセルに届けますね」
「気をつけてな」
「はい」
満面の笑みを浮かべたミトは「では、いってきます」と言って、扉の奥へと消えていった。
――ティア、花言葉に気づくかな?
+
+
+
(ティア視点)
「……ん?」
手にしていた書類を眺めながら、空いていた手を執務机上にあるティーカップへと伸ばして持ちあげれば軽かった。
そのため、視線をカップ内へと向ければ底が見えてしまっている。
「紅茶がなくなっちゃったわね」
私は紅茶のお代わりをするために立ち上がれば、ちょうどタイミングよく部屋をノックする音が届く。
入室を促すために返事をすれば、ゆっくりと扉が開かれた。
「ティア、いま時間いいかな?」
扉が開かれて現れたのは、髪を一つに束ねて白衣を纏っているメディだった。彼女の隣には、見知らぬ男性が立っている。
執事服を纏っている男性は手に紙袋を持っていて、私と瞳が交わると穏やかに微笑んだ。
「紹介するね。こちら、フーリデ様のお父様であるソシエ侯爵様の使い魔・ミトさん。お兄様からのお使いで来て下さったの。私とティアに贈物を持って来て下さったんだって」
「ライの?」
「初めまして、ティアナ様。こちらがライナス様からのお届けものです」
「ありがとうございます」
紙袋を渡されたので受け取れば、ふわりと良い香りが漂ってくる。
「これは……」
紙袋を広げればブーケが入っていた。
「タッジーマッジーです」
「タッジーマッジーですか?」
聞き慣れない言葉に私が首を傾げれば、メディが説明をしてくれた。
どうやら、香りの高いハーブや花を中心に作るブーケらしく、花言葉に意味があるらしい。
花言葉って小さな頃にお兄様に教えて貰ったことがあったが、花一つとっても色々な意味があった気がする。
良い言葉と共に悪い意味の言葉が混同していたから、難しくてあまり覚えていない。
「花言葉でメッセージって素敵ですね。詳しくないので、どんなメッセージが込められているのはすぐにはわかりませんが……」
「そう思いましてこちらに花とハーブの種類と言葉を書いておきました。どうぞ」
ミトさんが私へと封筒を差し出してくれたので、私はお礼を言いながら封筒を受け取る。
「では、私はこれで」
ミトさんがお辞儀をして立ち去ろうとしたので、私は声を掛けた。
「お茶でもいかがですか?」
「お気遣いなく。保養施設ができたら、マスターとゆっくり来ますので。王都でマスターへのお土産を買ったらファルマへ戻ります」
「私、ミト様を外まで送ってからそのままハーブ倉庫に行くね。入浴剤に使うハーブの候補を絞ろうかと思っているの」
「うん。じゃあ、また家で」
手を振りながら二人と別れた後。
私は執務机に座るとミト様から貰った封筒を開き、便箋を取り出して視線で文字を追っていくと一瞬で私の顔に血液が集中してしまう。
ライが私へ贈ってくれたタッジーマッジーは、熱烈なラブレターだったからだ。
「……仕事頑張ろう。そしたら会える」
私はタッジーマッジーを机の上に飾りながら、山積みになった書類を片付けるために気合いを入れた。
ミトが俺の執務机に置かれている二つの花束を眺めながら呟く。
タッジーマッジーとは、香りが高いハーブや花を組み合わせたブーケのことだ。
元々、とある国で外出時に持ち歩くのが流行。
悪臭対策や大流行した疫病を防ぐ目的だったが、時は流れ植物の花言葉を現すために作られるようになった。
ティアには薔薇、ワスレナグサ、スイートマジョラムなどで作り、メディにはグロリオサ、ガザニア、ミントなどで作った。
「机の上に飾っておけば、ティア達が癒されるかなと思ったんだ。仕事が忙しくて外に出る機会も減っているだろうし」
「ティア嬢は薔薇の方ですね。花のラブレターなのですぐにわかりました。メディ様には応援という感じで優しさのレターです」
「届けてくれるか?」
「勿論です」
「頼む」
俺は二つを紙袋へと入れると、ミトへと渡した。
水を吸わせた吸水スポンジに活けてブリキ缶に入れてあるので、エタセルまでは余裕で花の鮮度が持つはずだ。
「ティアナ様、きっと喜びますよ。では、さっそくエタセルに届けますね」
「気をつけてな」
「はい」
満面の笑みを浮かべたミトは「では、いってきます」と言って、扉の奥へと消えていった。
――ティア、花言葉に気づくかな?
+
+
+
(ティア視点)
「……ん?」
手にしていた書類を眺めながら、空いていた手を執務机上にあるティーカップへと伸ばして持ちあげれば軽かった。
そのため、視線をカップ内へと向ければ底が見えてしまっている。
「紅茶がなくなっちゃったわね」
私は紅茶のお代わりをするために立ち上がれば、ちょうどタイミングよく部屋をノックする音が届く。
入室を促すために返事をすれば、ゆっくりと扉が開かれた。
「ティア、いま時間いいかな?」
扉が開かれて現れたのは、髪を一つに束ねて白衣を纏っているメディだった。彼女の隣には、見知らぬ男性が立っている。
執事服を纏っている男性は手に紙袋を持っていて、私と瞳が交わると穏やかに微笑んだ。
「紹介するね。こちら、フーリデ様のお父様であるソシエ侯爵様の使い魔・ミトさん。お兄様からのお使いで来て下さったの。私とティアに贈物を持って来て下さったんだって」
「ライの?」
「初めまして、ティアナ様。こちらがライナス様からのお届けものです」
「ありがとうございます」
紙袋を渡されたので受け取れば、ふわりと良い香りが漂ってくる。
「これは……」
紙袋を広げればブーケが入っていた。
「タッジーマッジーです」
「タッジーマッジーですか?」
聞き慣れない言葉に私が首を傾げれば、メディが説明をしてくれた。
どうやら、香りの高いハーブや花を中心に作るブーケらしく、花言葉に意味があるらしい。
花言葉って小さな頃にお兄様に教えて貰ったことがあったが、花一つとっても色々な意味があった気がする。
良い言葉と共に悪い意味の言葉が混同していたから、難しくてあまり覚えていない。
「花言葉でメッセージって素敵ですね。詳しくないので、どんなメッセージが込められているのはすぐにはわかりませんが……」
「そう思いましてこちらに花とハーブの種類と言葉を書いておきました。どうぞ」
ミトさんが私へと封筒を差し出してくれたので、私はお礼を言いながら封筒を受け取る。
「では、私はこれで」
ミトさんがお辞儀をして立ち去ろうとしたので、私は声を掛けた。
「お茶でもいかがですか?」
「お気遣いなく。保養施設ができたら、マスターとゆっくり来ますので。王都でマスターへのお土産を買ったらファルマへ戻ります」
「私、ミト様を外まで送ってからそのままハーブ倉庫に行くね。入浴剤に使うハーブの候補を絞ろうかと思っているの」
「うん。じゃあ、また家で」
手を振りながら二人と別れた後。
私は執務机に座るとミト様から貰った封筒を開き、便箋を取り出して視線で文字を追っていくと一瞬で私の顔に血液が集中してしまう。
ライが私へ贈ってくれたタッジーマッジーは、熱烈なラブレターだったからだ。
「……仕事頑張ろう。そしたら会える」
私はタッジーマッジーを机の上に飾りながら、山積みになった書類を片付けるために気合いを入れた。
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