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じゃあ、行こう。ファルマへ2
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弾かれたように後方へ振り返れば、パンケーキが乗った皿を持ち、空いている片方の手でフォークを持っているフーザー様の姿が。
パンケーキには蜂蜜がたっぷりとかけられている。
「どちらさま……?」
彼の存在を知らないレイ達は目を大きく見開きながら首を傾げているが、私とお兄様は口をぽかんと開けてしまっていた。
セス様に至っては両手で顔を覆ってしまっている。
「僕? 僕はフーザー。ティアとリストの先祖さ。ちょっとティアに用事があったんだけど、会議中みたいだから後でも構わないよ」
「……ティア様に関する事はちゃんと考慮してくれるんですね。僕の都合は一切スルーするのに」
セス様のツッコミが入った。
「僕、自分の子孫以外どうでもいいもん」
「でしょうね」
力強くセス様が頷く。
私の脳裏に二度ほど勝手に召喚されたライの姿が浮かんだ。
「エタセルで話題性を持っているのはティアとメディしかいないでしょ。メディはファルマ王の妹君であり、最年少で薬草師として最高位ノーリの称号を持っている。ティアはハーブ問題解決した上に商会の発展に努めているし、なんせ僕の子孫だ。それに、ティアってば凄く可愛いし!」
「確かにお二人なら話題性がある」
会議に参加している人達がどんどんフーザー様の意見に賛同を始めていく。
「わ、私ではとても……ティアのように凄いことはしていません……」
「十分すごいと思うよ。最年少で薬草師の最高位は」
「メディもちょうど良い機会なんじゃないー? 自分を変えるチャンス」
「チャンスですか……?」
「そうそう。チャンス」
フーザー様がメディの肩を叩きながら耳元で囁けば、「僕の弟子を唆すのは止めてくれませんっ!?」とセス様がメディとフーザー様の間に割り出す。
「最初だけ話題性があっても仕方ないでしょう。持続性がない」
「人が興味持ってくれなければ意味がない。最初が肝心なんじゃないかー」
「確かにおっしゃる通りです。でも、メディの気持ちも汲んで下さい」
確かにフーザー様のいう通りだ。
温泉保養施設が出来たから来て下さいって言っても、どうやって宣伝するかが問題だった。
広告などを刷る予定だったけど、話題性が強ければ新聞社などが取り上げてくれる。そちらの方が多くの人が目にするだろう。
「わ、私、やります! ティア、もし良かったら一緒に……」
「私で役に立つなら引き受けるわ。でも、問題は話題性の持続。定期的に新しい話題を安定するまでに考えなきゃ」
どっかに話題性が落ちていればなぁと思った。
+
+
+
会議はあの後、一時間くらい経過して終了。
お兄様達は仕事に戻り、部屋には私とフーザー様、メディ、セス様が残って席に座っている。
「フーザー様の用事ってなんですか?」
「さっき、暇だったからライナスの所に行って来たんだよ」
「暇だからって……」
セス様が憐れんだ瞳で窓の外へと顔を向ける。
「ファルマに芸術の国・レライからの国王とその娘・チュールが来ている」
「他国の方が訪問していても珍しくもないと思いますが」
「良くないと思うよー。だって、自分の娘をライナスの妻へとゴリ押しに来たんだもん」
「「「えっ」」」
フーザー様の発言に私を含め全員固まってしまう。
「一応あいつフリー扱いじゃん。婚約発表しているわけじゃないし。しつこく縁談くるに決まっているじゃん」
「お兄様はティアを大切に思っていますわ。ですから、他の女性とは何もありません」
「でも、ライナス以外の貴族は? 勿論、ティアとの縁談を大半が喜ぶだろうね。だって、僕の先祖だし噂のティアだし。ライナスが結婚するだけで構わないと思う人が多数だけれども、やっぱり側室を求める者達も少なからずいる。君ならあの国の内情がわかるでしょ? メディ」
メディは唇を噛みしめて瞼を伏せる。
きっと心当たりがあるのだろう。
「交際宣言でも出してくれればいいんだけど、ライナスはティアの事を考えているから出来ないんだよね。ほら、今ってティアが大事な時期だろ。エタセルの神殿裏開発でさー。もし、ライナスとティアが交際宣言なり婚約しちゃったら、エタセルよりもライナスとティアの方に注目が浴びちゃう」
「確かに」
ライがそこまで考えてくれていたなんて想像もしていなかった。
私はゆっくりでいいかなって思っていたけど、ライは国王だ。
ライの存在はファルマにとって私が考えているよりも大きい。
「お兄様は絶対に側室は持ちません。私も側室に関してはお兄様と同じ気持ちですわ。私達のお母様のことがありますので……勿論、王族として婚姻による他国との繋がりを持つことへの理解はしています」
「だろうねー。まぁ、ファルマはエタセルと違って側室を持たなくても維持できるだろうね。婚姻による他国との繋がりが必要なら、ライナスとメディの腹違いの妹と弟がまだ沢山いるし。勿論、ライナスのティアへの愛情の心配はしてないよ。それ抜きにしても面白い鼠を見つけたんだ。きっと、ティアの役に立つと思うよ」
「鼠ですか……?」
「そう。ちょうど商品も決定したんだよね? なら、後は梱包の箱とかラッピング紙とか必要でしょ」
「えぇ」
「じゃあ、行こう。ファルマへ。僕の転移魔法ならすぐさ」
フーザー様の言葉が終わらないうちに私の足元に魔方陣が出現し、周りに淡い光が溢れ出す。
えっ!? と思った時には強い光に包まれてしまい、眩しさで咄嗟に瞳を閉じてしまった。
パンケーキには蜂蜜がたっぷりとかけられている。
「どちらさま……?」
彼の存在を知らないレイ達は目を大きく見開きながら首を傾げているが、私とお兄様は口をぽかんと開けてしまっていた。
セス様に至っては両手で顔を覆ってしまっている。
「僕? 僕はフーザー。ティアとリストの先祖さ。ちょっとティアに用事があったんだけど、会議中みたいだから後でも構わないよ」
「……ティア様に関する事はちゃんと考慮してくれるんですね。僕の都合は一切スルーするのに」
セス様のツッコミが入った。
「僕、自分の子孫以外どうでもいいもん」
「でしょうね」
力強くセス様が頷く。
私の脳裏に二度ほど勝手に召喚されたライの姿が浮かんだ。
「エタセルで話題性を持っているのはティアとメディしかいないでしょ。メディはファルマ王の妹君であり、最年少で薬草師として最高位ノーリの称号を持っている。ティアはハーブ問題解決した上に商会の発展に努めているし、なんせ僕の子孫だ。それに、ティアってば凄く可愛いし!」
「確かにお二人なら話題性がある」
会議に参加している人達がどんどんフーザー様の意見に賛同を始めていく。
「わ、私ではとても……ティアのように凄いことはしていません……」
「十分すごいと思うよ。最年少で薬草師の最高位は」
「メディもちょうど良い機会なんじゃないー? 自分を変えるチャンス」
「チャンスですか……?」
「そうそう。チャンス」
フーザー様がメディの肩を叩きながら耳元で囁けば、「僕の弟子を唆すのは止めてくれませんっ!?」とセス様がメディとフーザー様の間に割り出す。
「最初だけ話題性があっても仕方ないでしょう。持続性がない」
「人が興味持ってくれなければ意味がない。最初が肝心なんじゃないかー」
「確かにおっしゃる通りです。でも、メディの気持ちも汲んで下さい」
確かにフーザー様のいう通りだ。
温泉保養施設が出来たから来て下さいって言っても、どうやって宣伝するかが問題だった。
広告などを刷る予定だったけど、話題性が強ければ新聞社などが取り上げてくれる。そちらの方が多くの人が目にするだろう。
「わ、私、やります! ティア、もし良かったら一緒に……」
「私で役に立つなら引き受けるわ。でも、問題は話題性の持続。定期的に新しい話題を安定するまでに考えなきゃ」
どっかに話題性が落ちていればなぁと思った。
+
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会議はあの後、一時間くらい経過して終了。
お兄様達は仕事に戻り、部屋には私とフーザー様、メディ、セス様が残って席に座っている。
「フーザー様の用事ってなんですか?」
「さっき、暇だったからライナスの所に行って来たんだよ」
「暇だからって……」
セス様が憐れんだ瞳で窓の外へと顔を向ける。
「ファルマに芸術の国・レライからの国王とその娘・チュールが来ている」
「他国の方が訪問していても珍しくもないと思いますが」
「良くないと思うよー。だって、自分の娘をライナスの妻へとゴリ押しに来たんだもん」
「「「えっ」」」
フーザー様の発言に私を含め全員固まってしまう。
「一応あいつフリー扱いじゃん。婚約発表しているわけじゃないし。しつこく縁談くるに決まっているじゃん」
「お兄様はティアを大切に思っていますわ。ですから、他の女性とは何もありません」
「でも、ライナス以外の貴族は? 勿論、ティアとの縁談を大半が喜ぶだろうね。だって、僕の先祖だし噂のティアだし。ライナスが結婚するだけで構わないと思う人が多数だけれども、やっぱり側室を求める者達も少なからずいる。君ならあの国の内情がわかるでしょ? メディ」
メディは唇を噛みしめて瞼を伏せる。
きっと心当たりがあるのだろう。
「交際宣言でも出してくれればいいんだけど、ライナスはティアの事を考えているから出来ないんだよね。ほら、今ってティアが大事な時期だろ。エタセルの神殿裏開発でさー。もし、ライナスとティアが交際宣言なり婚約しちゃったら、エタセルよりもライナスとティアの方に注目が浴びちゃう」
「確かに」
ライがそこまで考えてくれていたなんて想像もしていなかった。
私はゆっくりでいいかなって思っていたけど、ライは国王だ。
ライの存在はファルマにとって私が考えているよりも大きい。
「お兄様は絶対に側室は持ちません。私も側室に関してはお兄様と同じ気持ちですわ。私達のお母様のことがありますので……勿論、王族として婚姻による他国との繋がりを持つことへの理解はしています」
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「鼠ですか……?」
「そう。ちょうど商品も決定したんだよね? なら、後は梱包の箱とかラッピング紙とか必要でしょ」
「えぇ」
「じゃあ、行こう。ファルマへ。僕の転移魔法ならすぐさ」
フーザー様の言葉が終わらないうちに私の足元に魔方陣が出現し、周りに淡い光が溢れ出す。
えっ!? と思った時には強い光に包まれてしまい、眩しさで咄嗟に瞳を閉じてしまった。
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