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メディのお願い2
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――メディ、大丈夫かな?
私は手に紙袋を持ちながら家路に着いていた。
袋の中身は猫のしっぽ亭でテイクアウトしてきた夕食。
食事はメディが作ってくれるのだが、今日はコルタの件があって無理だと思ったので購入して来たのだ。
仕事も休んだし。
セス様の元に立ち寄った後、メディの元へ行こうと思っていたんだけど、来客予定があって戻れなかった。
そのため、私は商会で仕事をしてから帰宅。
「ねぇ、コル。メディ大丈夫かな?」
肩に乗っているコルへと尋ねれば、コルは「カァ」と心配そうな声で鳴いた。
「ただいま」と玄関の扉を開けた瞬間、甘い香りが充満している。
まるで自分がお菓子にでもなったかと錯覚してしまうくらい、濃厚な匂いが体にまとわりつく。
「……これは」
テーブルの上には、夕食の代わりに美味しそうな菓子がたくさん並んでいる。
メディの姿はないので、私は明かりの付いているキッチンへと向かう。
メディはキッチンにいたんだけど、私の気配に気づくことなくオーブンの前でぼーっと立っていた。
「メディ、ただいま」
「えっ!?」
彼女は大きく肩を動かすと、振り返る。
「ティア……」
「ただいま。お菓子作っていたの?」
「うん。何かしてないと落ち着かなくて……それでお菓子を……大量に作っちゃった……あっ、ごめんね! 夕食作ってない」
「買って来たから食べようか。お菓子は夕食後にしよう」
「でも、夕食後には量が多いよ」
「んー、日持ちしないやつは、おすそ分けにしたらどうかな?」
「ごめんね」
「別に謝ることなんてないよ。ラッピングして明日配ろうね。みんな喜ぶよ」
私は持ち帰った料理をキッチン台へと置き、後ろの戸棚の方へと向かう。
以前、お菓子を作ろうと思って道具の他にラッピング用品を購入していたことがあったのだ。
「ねぇ、ティア」
「ん?」
「少し前にコルタがうちに来たの」
「えっ、来たのっ!?」
私はラッピング用品へと伸ばした手を止めてしまう。
お兄様にしばらくそっとしておいたらどうかな? と言われていたのだが、彼としては気になって仕方がなかったのかも。
「コルタに告白されたの……俺が一方的に支えたいだけだから俺の事は気にするなって。レイとのことを応援しているって言ってくれたんだ。私、どうしたら良いのかわからなくて……私なんかのことを誰も好きになってくれるなんて思っていなかったから……」
ぎゅっとメディは身に着けているエプロンを握り締める。
ルナ様のこともコルタの事も気にしなくても良いと言っても、メディは気にするだろう。私が彼女の立場でも気にするだろうし。
「少しファルマに戻る?」
「ううん。私、ここでお仕事がしたいの。自分がやっと役に立つものを見つけたから。それに、商品開発の方なんだけど、もう少しで試作品が出来てやっと形になるんだ。ファルマに向かっている時間はないわ。でも、お兄様に相談したい気持ちが強いの。だから、ティアにお願いがあって」
「いいよ。なんでも言って」
「あの方の召喚魔法でお兄様を連れて来て貰うことって出来るかな……? 勿論、お兄様の忙しくない時に」
「あの方って、あの方だよね。ちょっと個性が強い精霊様」
私の脳内に強烈な個性を持つ、嵐のような自分の先祖の姿が過ぎった。
私は手に紙袋を持ちながら家路に着いていた。
袋の中身は猫のしっぽ亭でテイクアウトしてきた夕食。
食事はメディが作ってくれるのだが、今日はコルタの件があって無理だと思ったので購入して来たのだ。
仕事も休んだし。
セス様の元に立ち寄った後、メディの元へ行こうと思っていたんだけど、来客予定があって戻れなかった。
そのため、私は商会で仕事をしてから帰宅。
「ねぇ、コル。メディ大丈夫かな?」
肩に乗っているコルへと尋ねれば、コルは「カァ」と心配そうな声で鳴いた。
「ただいま」と玄関の扉を開けた瞬間、甘い香りが充満している。
まるで自分がお菓子にでもなったかと錯覚してしまうくらい、濃厚な匂いが体にまとわりつく。
「……これは」
テーブルの上には、夕食の代わりに美味しそうな菓子がたくさん並んでいる。
メディの姿はないので、私は明かりの付いているキッチンへと向かう。
メディはキッチンにいたんだけど、私の気配に気づくことなくオーブンの前でぼーっと立っていた。
「メディ、ただいま」
「えっ!?」
彼女は大きく肩を動かすと、振り返る。
「ティア……」
「ただいま。お菓子作っていたの?」
「うん。何かしてないと落ち着かなくて……それでお菓子を……大量に作っちゃった……あっ、ごめんね! 夕食作ってない」
「買って来たから食べようか。お菓子は夕食後にしよう」
「でも、夕食後には量が多いよ」
「んー、日持ちしないやつは、おすそ分けにしたらどうかな?」
「ごめんね」
「別に謝ることなんてないよ。ラッピングして明日配ろうね。みんな喜ぶよ」
私は持ち帰った料理をキッチン台へと置き、後ろの戸棚の方へと向かう。
以前、お菓子を作ろうと思って道具の他にラッピング用品を購入していたことがあったのだ。
「ねぇ、ティア」
「ん?」
「少し前にコルタがうちに来たの」
「えっ、来たのっ!?」
私はラッピング用品へと伸ばした手を止めてしまう。
お兄様にしばらくそっとしておいたらどうかな? と言われていたのだが、彼としては気になって仕方がなかったのかも。
「コルタに告白されたの……俺が一方的に支えたいだけだから俺の事は気にするなって。レイとのことを応援しているって言ってくれたんだ。私、どうしたら良いのかわからなくて……私なんかのことを誰も好きになってくれるなんて思っていなかったから……」
ぎゅっとメディは身に着けているエプロンを握り締める。
ルナ様のこともコルタの事も気にしなくても良いと言っても、メディは気にするだろう。私が彼女の立場でも気にするだろうし。
「少しファルマに戻る?」
「ううん。私、ここでお仕事がしたいの。自分がやっと役に立つものを見つけたから。それに、商品開発の方なんだけど、もう少しで試作品が出来てやっと形になるんだ。ファルマに向かっている時間はないわ。でも、お兄様に相談したい気持ちが強いの。だから、ティアにお願いがあって」
「いいよ。なんでも言って」
「あの方の召喚魔法でお兄様を連れて来て貰うことって出来るかな……? 勿論、お兄様の忙しくない時に」
「あの方って、あの方だよね。ちょっと個性が強い精霊様」
私の脳内に強烈な個性を持つ、嵐のような自分の先祖の姿が過ぎった。
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