86 / 134
連載
政略結婚と恋愛結婚。幸せになる方は?1
しおりを挟む
私とコルタはお兄様に事情を説明するために、廊下から近い場所にあるお兄様の執務室に向かった。
恋愛関係というデリケートな話なので、廊下で話をして誰かに聞かれたら困るからだ。
それに、お兄様がまた胃を押さえ始めたため、体を休めて落ち着ける場所で説明をするために。
お兄様の執務室は左手には執務室があり、窓際には私達が座っている応接セットが配置されている。
私が左手を見れば窓からはうっそうとした木々が周囲からの視線を隠してくれ、執務で疲れた時に休むにはちょうど良さそうだ。
入口と執務机が設置されている壁以外には本棚が設置されてあり、天井から床までぎっしりと本が収納されているのがお兄様らしい。
「――じゃあ、突然メディに避けられてしまったコルタがティアに事情を聞こうとしていただけなんだね。ティアに逃げられないようにあんな態勢で……また矢印が複雑になったのかと思ったよ」
お兄様は私とコルタから説明を受けたけれども、胃が落ち着かないようで摩っている。
私達が囲んでいるテーブルの上には、メイドが入れてくれたハーブティーと籠に入った蜂蜜キャンディーが置かれていた。
「お兄様、ごめんなさい。また胃を」
「悪かった。誤解させて」
テーブル越しに座っているコルタが深々と頭を下げる。
「さっき説明して貰ったけど、メディがコルタを避けたのって本当かい? メディが避けるなんて考えられないんだけど」
「完全に避けられた。顔を真っ赤にしてティアの後ろに隠れたんだ。その上、仕事があるって逃げ出したし」
「顔を真っ赤に……? メディがコルタを好きになったとか?」
「ないだろ。あいつはレイのことが好きなんだからな。考えられるのは、俺がメディのことを好きだと知られてしまった可能性だ」
隣に座っているお兄様が私へと顔を向けたので、私は息を吐き出して唇を動かす。
「名前は言えないけど、とある人からメディが聞いたの。その人からコルタを頼むって」
「はぁ? なんで勝手に頼むんだよ。余計なことだ。俺はただメディの傍で見守れれば良かっただけなのに」
「事情があるの。その人はエタセルを離れて、遠くに行ってしまうかもしれないから」
不愉快そうなコルタの気持ちも理解できる。
勝手に自分の気持ちを伝えられたら迷惑だ。
でも、ルナ様の心情も察せるし。
「エタセルを離れる? 誰だよ、そいつ」
「言えない。でも、その人の気持ちもわかるわ。勿論、勝手にメディへの気持ちを伝えられたコルタの気持ちも」
「なるほど。では、メディはきっとコルタの気持ちを知り、どう接して良いかわからなくなってしまったのかもしれないね。メディも色々考える時間が欲しいと思うから、少しそっとしてあげたらどうだい?」
お兄様の言葉に、コルタは唇を噛みしめると前髪をかき上げ立ち上がった。
「コルタ?」
「鍛錬場に行く。少し体を動かして発散させたい」
「うん、気をつけて」
コルタは返事をせず片手を上げると、執務室の扉へと消えていく。
私とお兄様は、ただ彼を見送るしか出来なかった。
ルナ様のことを責めることも出来ないし、コルタに怒らないでとも言えないから。
一度絡んだ糸は本当に解くのが難しい。
「コルタが怒るのも無理はないよ」
「わかります。でも、ルナ様の気持ちも理解出来ます」
「ルナ様だったのかい?」
「……はい」
私はお兄様にルナ様とのお茶会を話した。
お兄様の胃が心配だったけれども、ルナ様の縁談に関してお兄様も詳しいので色々フォローして貰うことがあるかもしれなかったからだ。
「そのお茶会に僕がティアの身で参加したら、きっと気絶していたよ……絶対に……」
「お兄様。ルナ様はキャンベリア国との縁談を受けなければならないのですか?」
「受けるかどうかはルナ様次第だよ。レイガルド様もそうおっしゃっていた。勿論、僕だって好きな人と結ばれるのが一番だと思っている。でも、僕は必ずしも政略結婚が駄目だなんて言えない。僕達の両親を見ているからね。逆にライは政略結婚に関しては絶対に反対だろう。トラウマの禍根であるグレーニャ様のことがあるからね。ティアと出会う前に結婚はしないと決めていたくらいだから」
「相手次第ですね」
「そうだね。でも、ルナ様のお相手の方はとても良い方で前回のエタセルのパーティーで彼女を好きになったそうなんだ。ルナ様の負担になるようなことは絶対にしないし、もし縁談が纏まれば式などもエタセルに合せるって。だから、何回か会ってからでも良いかなとは個人的に思う」
エタセルとしては政略結婚だが、あちらとしては恋愛感情が絡んでいるのか。
「メディとコルタって、僕は悪くないと感じるなぁ」
「何故ですか? レイガルド様とメディでも国同士の結びつきは得られます」
「ティアがライを選んだ場合でもエタセルとファルマの結びつきは得られるよ。まだ、ティアがどちらを選ぶかわからないけどね」
「それは……」
「エタセルは王妃だけではなく、側室も娶らなければならないから。ここはファルマのような大国ではないんだ。王族の婚姻によって国同士の結びつきを強くしなきゃ。レイガルド様の政略結婚に対して、メディが耐えられるかどうか。僕としては、彼女だけを支えてくれる男性が傍にいてあげて欲しいなぁって」
メディには耐えられそうにないかもしれない。
お母様の件もあるし。
「ねぇ、ティア。ルナ様からレイガルド様を頼むと言われたから、レイガルド様を選ばなければならないということはないよ。ゆっくり考えて」
「はい」
お兄様に返事はしたけど、私はルナ様に言われたことが気がかりだった。
私がエタセルに残ってレイの隣で国を発展させるために仕事をしていけば……
でも、同時にメディのことも考えてしまう。
――どうすればいいのかわからないわ。今はまずメディの様子を見に行かないと。
恋愛関係というデリケートな話なので、廊下で話をして誰かに聞かれたら困るからだ。
それに、お兄様がまた胃を押さえ始めたため、体を休めて落ち着ける場所で説明をするために。
お兄様の執務室は左手には執務室があり、窓際には私達が座っている応接セットが配置されている。
私が左手を見れば窓からはうっそうとした木々が周囲からの視線を隠してくれ、執務で疲れた時に休むにはちょうど良さそうだ。
入口と執務机が設置されている壁以外には本棚が設置されてあり、天井から床までぎっしりと本が収納されているのがお兄様らしい。
「――じゃあ、突然メディに避けられてしまったコルタがティアに事情を聞こうとしていただけなんだね。ティアに逃げられないようにあんな態勢で……また矢印が複雑になったのかと思ったよ」
お兄様は私とコルタから説明を受けたけれども、胃が落ち着かないようで摩っている。
私達が囲んでいるテーブルの上には、メイドが入れてくれたハーブティーと籠に入った蜂蜜キャンディーが置かれていた。
「お兄様、ごめんなさい。また胃を」
「悪かった。誤解させて」
テーブル越しに座っているコルタが深々と頭を下げる。
「さっき説明して貰ったけど、メディがコルタを避けたのって本当かい? メディが避けるなんて考えられないんだけど」
「完全に避けられた。顔を真っ赤にしてティアの後ろに隠れたんだ。その上、仕事があるって逃げ出したし」
「顔を真っ赤に……? メディがコルタを好きになったとか?」
「ないだろ。あいつはレイのことが好きなんだからな。考えられるのは、俺がメディのことを好きだと知られてしまった可能性だ」
隣に座っているお兄様が私へと顔を向けたので、私は息を吐き出して唇を動かす。
「名前は言えないけど、とある人からメディが聞いたの。その人からコルタを頼むって」
「はぁ? なんで勝手に頼むんだよ。余計なことだ。俺はただメディの傍で見守れれば良かっただけなのに」
「事情があるの。その人はエタセルを離れて、遠くに行ってしまうかもしれないから」
不愉快そうなコルタの気持ちも理解できる。
勝手に自分の気持ちを伝えられたら迷惑だ。
でも、ルナ様の心情も察せるし。
「エタセルを離れる? 誰だよ、そいつ」
「言えない。でも、その人の気持ちもわかるわ。勿論、勝手にメディへの気持ちを伝えられたコルタの気持ちも」
「なるほど。では、メディはきっとコルタの気持ちを知り、どう接して良いかわからなくなってしまったのかもしれないね。メディも色々考える時間が欲しいと思うから、少しそっとしてあげたらどうだい?」
お兄様の言葉に、コルタは唇を噛みしめると前髪をかき上げ立ち上がった。
「コルタ?」
「鍛錬場に行く。少し体を動かして発散させたい」
「うん、気をつけて」
コルタは返事をせず片手を上げると、執務室の扉へと消えていく。
私とお兄様は、ただ彼を見送るしか出来なかった。
ルナ様のことを責めることも出来ないし、コルタに怒らないでとも言えないから。
一度絡んだ糸は本当に解くのが難しい。
「コルタが怒るのも無理はないよ」
「わかります。でも、ルナ様の気持ちも理解出来ます」
「ルナ様だったのかい?」
「……はい」
私はお兄様にルナ様とのお茶会を話した。
お兄様の胃が心配だったけれども、ルナ様の縁談に関してお兄様も詳しいので色々フォローして貰うことがあるかもしれなかったからだ。
「そのお茶会に僕がティアの身で参加したら、きっと気絶していたよ……絶対に……」
「お兄様。ルナ様はキャンベリア国との縁談を受けなければならないのですか?」
「受けるかどうかはルナ様次第だよ。レイガルド様もそうおっしゃっていた。勿論、僕だって好きな人と結ばれるのが一番だと思っている。でも、僕は必ずしも政略結婚が駄目だなんて言えない。僕達の両親を見ているからね。逆にライは政略結婚に関しては絶対に反対だろう。トラウマの禍根であるグレーニャ様のことがあるからね。ティアと出会う前に結婚はしないと決めていたくらいだから」
「相手次第ですね」
「そうだね。でも、ルナ様のお相手の方はとても良い方で前回のエタセルのパーティーで彼女を好きになったそうなんだ。ルナ様の負担になるようなことは絶対にしないし、もし縁談が纏まれば式などもエタセルに合せるって。だから、何回か会ってからでも良いかなとは個人的に思う」
エタセルとしては政略結婚だが、あちらとしては恋愛感情が絡んでいるのか。
「メディとコルタって、僕は悪くないと感じるなぁ」
「何故ですか? レイガルド様とメディでも国同士の結びつきは得られます」
「ティアがライを選んだ場合でもエタセルとファルマの結びつきは得られるよ。まだ、ティアがどちらを選ぶかわからないけどね」
「それは……」
「エタセルは王妃だけではなく、側室も娶らなければならないから。ここはファルマのような大国ではないんだ。王族の婚姻によって国同士の結びつきを強くしなきゃ。レイガルド様の政略結婚に対して、メディが耐えられるかどうか。僕としては、彼女だけを支えてくれる男性が傍にいてあげて欲しいなぁって」
メディには耐えられそうにないかもしれない。
お母様の件もあるし。
「ねぇ、ティア。ルナ様からレイガルド様を頼むと言われたから、レイガルド様を選ばなければならないということはないよ。ゆっくり考えて」
「はい」
お兄様に返事はしたけど、私はルナ様に言われたことが気がかりだった。
私がエタセルに残ってレイの隣で国を発展させるために仕事をしていけば……
でも、同時にメディのことも考えてしまう。
――どうすればいいのかわからないわ。今はまずメディの様子を見に行かないと。
0
お気に入りに追加
2,580
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
「番外編 相変わらずな日常」
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。