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お茶会2
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「私、ずるいですよね。メディ様にこんなお願いをして。でも、コルタが誰かと付き合ったり結婚したりしないと気持ちの整理が出来ないんです」
人の心というものは本当に難しい。
ルナ様の気持ちも十分理解出来るし、なんとかしてあげたい。
だが、コルタの気持ちもある。彼はメディのことが好きなのだ。
そして、メディはレイのことを。
「ティア様。ティア様にもお願いがあります。どうかお兄様のことを前向きに考えて頂けませんか? 私、お兄様には幸せになって欲しいんです。ティア様なら、お兄様の隣で支えて下さると信じておりますわ」
「……えっ」
突然のルナ様からの申し出に、私は間の抜けた声を上げてしまったのは仕方がないだろう。
まさか、レイガルド様のことを頼むだなんて言われると思ってもいなかったから。
「あの……私、ちょっと他の方からも告白されていまして……その……ちゃんと考えて真摯に向き合って答えを出したいと思っているのです…ですから……」
「ライナス様ですよね? 存じ上げています。私の心残りはコルタの事とお兄様の事なんです。どうか、前向きに考えて下さい」
深々と頭を下げられて、私は何も言えなくなってしまった。
ルナ様の気持ちも十分わかってしまうからだ。
両親が早くに亡くなって兄妹二人で生きてきたのだから、自分が嫁いだ後のレイガルド様のことが心配なのだろう。
誰か傍にいてくれる人がいたらと思ってしまう気持ちは理解できる。
+
+
+
あの後、お茶会はひっそりと幕を下ろし、私とメディは仕事へと向かうことに。
二人して無言のまま、城の廊下を歩いている。
私の隣を歩いているメディは、ぼーっとしながら足元がおぼつかないようで危うい。
まさかコルタが自分を好きだなんて思ってもいなかったのだろう。
どう声をかければ良いのかわからない。
「ねぇ、ティア。私、コルタにどうしたら良いのかな?」
メディが足を止め、私へと顔を向ける。
難問すぎる質問に言葉が口から出てくれない中、なんとか言葉を吐き出そうとした瞬間だった。
「メディ、ティア」と、タイミング良くコルタの声が届いてきたのは。
メディに会えて嬉しいのだろうか、いつもと違って彼の声は弾んでいるような声音だ。
「ティアが会議に参加するって聞いていたが、メディも参加したのか?」
メディはコルタに声をかけられ、顔を真っ赤にするとさっと私の後方へと隠れてしまう。
ぎゅっと私の背中にしがみつくメディの気持ちも察せる。
あからさまにメディに避けられてしまったコルタは、傷ついた表情を浮かべた。
「俺、なんかしたか?」
コルタの沈痛な声を聞いたメディは、「わ、私、セス様のところに行かなきゃ」と早口で告げるとコルタの方を見ずに颯爽と走りさっていく。
突然の出来事に対して、あっけに取られ身動き取られないコルタを置いて、メディと私達の距離がどんどん遠ざかっていく。
コルタが視線を私へと向けてきたが、私はさっと視線を逸らす。
ルナ様のことを私が勝手に話すわけにいかないのだ。
「私も仕事に……」
と、理由をつけて立ち去ろうとした瞬間、すぐさま伸ばされたコルタの腕により私は彼と壁の間に閉じ込められてしまう。
真面目な表情を浮かべたコルタが口を開いた。
「事情を知っているんだろ? 説明してくれ」
「説明したいけど、ちょっと込み入っていてさ……」
「いいから説明してくれ。耐えきれない!」
眉間に皺を寄せ苦しそうなコルタが声を荒げ、感情的な声を上げたので私は目を大きく見開く。
こんなに感情的になっているコルタを見るのが珍しかった。
「メディはコルタのことを避けているわけじゃないよ」
「避けているだろ。あんなにあからさまに逃げられて俺がわからないと思うか? なんでメディは顔を真っ赤にさせたんだ? 俺のことを好きじゃないだろ。あいつが好きなのはレイだ」
「お、落ち着いて。こんなところお兄様に見られたら、お兄様の胃が……」
と、言った時だった。
バサッと何かが床に落ちる音が届いたのは。
「壁ドン!? なんでコルタがティアを」
左手から届いてきたのは、お兄様の声。
そのため、私が視線を向ければタイミング良くお兄様の姿が。
足下には書類の束が花びらのようにあちらこちらに散らばっている。
「あっ……」
お兄様が胃を押さえ始めたため、私達は「違う、誤解!」と叫びながら駆け寄った。
人の心というものは本当に難しい。
ルナ様の気持ちも十分理解出来るし、なんとかしてあげたい。
だが、コルタの気持ちもある。彼はメディのことが好きなのだ。
そして、メディはレイのことを。
「ティア様。ティア様にもお願いがあります。どうかお兄様のことを前向きに考えて頂けませんか? 私、お兄様には幸せになって欲しいんです。ティア様なら、お兄様の隣で支えて下さると信じておりますわ」
「……えっ」
突然のルナ様からの申し出に、私は間の抜けた声を上げてしまったのは仕方がないだろう。
まさか、レイガルド様のことを頼むだなんて言われると思ってもいなかったから。
「あの……私、ちょっと他の方からも告白されていまして……その……ちゃんと考えて真摯に向き合って答えを出したいと思っているのです…ですから……」
「ライナス様ですよね? 存じ上げています。私の心残りはコルタの事とお兄様の事なんです。どうか、前向きに考えて下さい」
深々と頭を下げられて、私は何も言えなくなってしまった。
ルナ様の気持ちも十分わかってしまうからだ。
両親が早くに亡くなって兄妹二人で生きてきたのだから、自分が嫁いだ後のレイガルド様のことが心配なのだろう。
誰か傍にいてくれる人がいたらと思ってしまう気持ちは理解できる。
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あの後、お茶会はひっそりと幕を下ろし、私とメディは仕事へと向かうことに。
二人して無言のまま、城の廊下を歩いている。
私の隣を歩いているメディは、ぼーっとしながら足元がおぼつかないようで危うい。
まさかコルタが自分を好きだなんて思ってもいなかったのだろう。
どう声をかければ良いのかわからない。
「ねぇ、ティア。私、コルタにどうしたら良いのかな?」
メディが足を止め、私へと顔を向ける。
難問すぎる質問に言葉が口から出てくれない中、なんとか言葉を吐き出そうとした瞬間だった。
「メディ、ティア」と、タイミング良くコルタの声が届いてきたのは。
メディに会えて嬉しいのだろうか、いつもと違って彼の声は弾んでいるような声音だ。
「ティアが会議に参加するって聞いていたが、メディも参加したのか?」
メディはコルタに声をかけられ、顔を真っ赤にするとさっと私の後方へと隠れてしまう。
ぎゅっと私の背中にしがみつくメディの気持ちも察せる。
あからさまにメディに避けられてしまったコルタは、傷ついた表情を浮かべた。
「俺、なんかしたか?」
コルタの沈痛な声を聞いたメディは、「わ、私、セス様のところに行かなきゃ」と早口で告げるとコルタの方を見ずに颯爽と走りさっていく。
突然の出来事に対して、あっけに取られ身動き取られないコルタを置いて、メディと私達の距離がどんどん遠ざかっていく。
コルタが視線を私へと向けてきたが、私はさっと視線を逸らす。
ルナ様のことを私が勝手に話すわけにいかないのだ。
「私も仕事に……」
と、理由をつけて立ち去ろうとした瞬間、すぐさま伸ばされたコルタの腕により私は彼と壁の間に閉じ込められてしまう。
真面目な表情を浮かべたコルタが口を開いた。
「事情を知っているんだろ? 説明してくれ」
「説明したいけど、ちょっと込み入っていてさ……」
「いいから説明してくれ。耐えきれない!」
眉間に皺を寄せ苦しそうなコルタが声を荒げ、感情的な声を上げたので私は目を大きく見開く。
こんなに感情的になっているコルタを見るのが珍しかった。
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「避けているだろ。あんなにあからさまに逃げられて俺がわからないと思うか? なんでメディは顔を真っ赤にさせたんだ? 俺のことを好きじゃないだろ。あいつが好きなのはレイだ」
「お、落ち着いて。こんなところお兄様に見られたら、お兄様の胃が……」
と、言った時だった。
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「壁ドン!? なんでコルタがティアを」
左手から届いてきたのは、お兄様の声。
そのため、私が視線を向ければタイミング良くお兄様の姿が。
足下には書類の束が花びらのようにあちらこちらに散らばっている。
「あっ……」
お兄様が胃を押さえ始めたため、私達は「違う、誤解!」と叫びながら駆け寄った。
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