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彼を好きにならないでと何度も言いたくなった(ティア視点2)
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商会での仕事を終え、私はメディと食べるためにケーキを買って自宅へと戻った。
いつものように「ただいま」と玄関を開ければ、美味しそうな夕食の香りが漂ってくる。
テーブルの上には、湯気立った料理が。
「おかえりなさい、ティア」
ふわりほほえみながら出迎えてくれたメディは、フォークやナイフなどが乗せられたトレイを持っていた。
メディとの関係は居心地が良い。私はこの関係を崩したくはないと心の底から思った。
「メディ。あのさ、ちょっと大切な話があるんだ」
「え」
私が声を掛ければ、彼女は肩を大きく動かしたかと思えば、硬質なもの同士がぶつかり合う音が床から届く。
メディが驚いてしまい、手から銀のトレイがすり抜けてしまったのだ。
メディがすぐに屈み込んでフォークやナイフを慌てて拾い出したので、私も屈み込んで手伝った。
「驚かせてごめんね。ねぇ、メディ。最近、メディの様子がおかしいのってレイガルド様と私の関係かな?」
彼女の口から返事が届く事はなかったけど、瞳を滲ませている彼女を見て理解出来てしまう。
「ごめんなさい。偶然、城の庭園でのことを見てしまって……レイがティアを好きになる理由もわかるの。私もティアみたいになりたかった。だから、パーティーにも出て……でも、私は弱いからティアにはなれなかった」
ぽたりとフローリングに滴がこぼれ落ちていく。
メディがレイガルド様のために、パーティーに参加したのを知っているから胸が痛くなった。
「私のことは気にしないで。私のせいでレイのことをティアが恋愛対象から外すことは嫌だから……私、ティアのこともレイのことも好きなの。だから、ティアがレイのことを好きなら、私には遠慮しないで」
唇を噛みしめて泣かないように我慢していたんだけど、メディは堪えられなくなってしまい、大粒の涙を溢れさせる。
「正直、頭が混乱している。レイガルド様に告白された時、真っ先にメディのことが浮かんだ。メディのことで頭がいっぱいになった」
「レイのことはどう思っているの……?」
「良い王様だなぁとは思う。それ以上は今まで考えたことがないの」
私は立ち上がるとお風呂場がある方へ向かって足を進め、タオルと持ってくるとメディへと差し出す。
彼女は小さな声でお礼を告げると、ふかふかのタオルへと顔を埋める。
「……ティア」
「ん?」
「私、何か甘いもの食べたいから買ってくるね。フォークとか洗っておいてくれるかな?」
「了解」
ケーキを買って来てあるのだが、きっと彼女は今一人になりたいはずだ。
私は何も言わずにトレイを受け取ると、横をすり抜けるように駆けていったメディを見送った。
難しい。一度絡まってしまったものを解きほぐすのは。
私は食器を洗うためにキッチンへと向かえば、まな板の上に料理途中のものと思われる具材が。
キッチン台には香草や野菜とともにオーブンで焼かれた魚が置かれているのだが、隣には具のないスープが入った鍋が。
「これは……具がないスープってあるのかな?」
料理はスープと焼き魚なのか、それとも組み合わせてこれから料理していくのかわからない。
リムスでは具のないスープはないけど、ファルマではあるかもしれないし。
メディが帰宅する前に夕食を作れればなぁと思ったのだが。
どうしよう。
ねこのしっぽ亭に行って聞いてこようにも、メディが戻って来てしまうかもしれないし。
「そういえば、ご先祖様に頼ってみては? って、セス様おっしゃっていたわよね。お願いといっても、墓石前でお願いするにしても西大陸だし。助けてフーザー様って名前呼べばでてくるのかしら。魔法のランプみたいに」
何気なく呟いた時だった。
「やっと呼んでくれたんだね。ティア!」
という聞いたことのない男性の声が私の背後から聞こえてきたのは。
いつものように「ただいま」と玄関を開ければ、美味しそうな夕食の香りが漂ってくる。
テーブルの上には、湯気立った料理が。
「おかえりなさい、ティア」
ふわりほほえみながら出迎えてくれたメディは、フォークやナイフなどが乗せられたトレイを持っていた。
メディとの関係は居心地が良い。私はこの関係を崩したくはないと心の底から思った。
「メディ。あのさ、ちょっと大切な話があるんだ」
「え」
私が声を掛ければ、彼女は肩を大きく動かしたかと思えば、硬質なもの同士がぶつかり合う音が床から届く。
メディが驚いてしまい、手から銀のトレイがすり抜けてしまったのだ。
メディがすぐに屈み込んでフォークやナイフを慌てて拾い出したので、私も屈み込んで手伝った。
「驚かせてごめんね。ねぇ、メディ。最近、メディの様子がおかしいのってレイガルド様と私の関係かな?」
彼女の口から返事が届く事はなかったけど、瞳を滲ませている彼女を見て理解出来てしまう。
「ごめんなさい。偶然、城の庭園でのことを見てしまって……レイがティアを好きになる理由もわかるの。私もティアみたいになりたかった。だから、パーティーにも出て……でも、私は弱いからティアにはなれなかった」
ぽたりとフローリングに滴がこぼれ落ちていく。
メディがレイガルド様のために、パーティーに参加したのを知っているから胸が痛くなった。
「私のことは気にしないで。私のせいでレイのことをティアが恋愛対象から外すことは嫌だから……私、ティアのこともレイのことも好きなの。だから、ティアがレイのことを好きなら、私には遠慮しないで」
唇を噛みしめて泣かないように我慢していたんだけど、メディは堪えられなくなってしまい、大粒の涙を溢れさせる。
「正直、頭が混乱している。レイガルド様に告白された時、真っ先にメディのことが浮かんだ。メディのことで頭がいっぱいになった」
「レイのことはどう思っているの……?」
「良い王様だなぁとは思う。それ以上は今まで考えたことがないの」
私は立ち上がるとお風呂場がある方へ向かって足を進め、タオルと持ってくるとメディへと差し出す。
彼女は小さな声でお礼を告げると、ふかふかのタオルへと顔を埋める。
「……ティア」
「ん?」
「私、何か甘いもの食べたいから買ってくるね。フォークとか洗っておいてくれるかな?」
「了解」
ケーキを買って来てあるのだが、きっと彼女は今一人になりたいはずだ。
私は何も言わずにトレイを受け取ると、横をすり抜けるように駆けていったメディを見送った。
難しい。一度絡まってしまったものを解きほぐすのは。
私は食器を洗うためにキッチンへと向かえば、まな板の上に料理途中のものと思われる具材が。
キッチン台には香草や野菜とともにオーブンで焼かれた魚が置かれているのだが、隣には具のないスープが入った鍋が。
「これは……具がないスープってあるのかな?」
料理はスープと焼き魚なのか、それとも組み合わせてこれから料理していくのかわからない。
リムスでは具のないスープはないけど、ファルマではあるかもしれないし。
メディが帰宅する前に夕食を作れればなぁと思ったのだが。
どうしよう。
ねこのしっぽ亭に行って聞いてこようにも、メディが戻って来てしまうかもしれないし。
「そういえば、ご先祖様に頼ってみては? って、セス様おっしゃっていたわよね。お願いといっても、墓石前でお願いするにしても西大陸だし。助けてフーザー様って名前呼べばでてくるのかしら。魔法のランプみたいに」
何気なく呟いた時だった。
「やっと呼んでくれたんだね。ティア!」
という聞いたことのない男性の声が私の背後から聞こえてきたのは。
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