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彼を好きにならないでと何度も言いたくなった(メディ視点)
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――レイのことを好きにならないで。
何度もティアに言いたくなった言葉。
ティアのことを大切な友達だと思っているのに、牽制しようとする自分に嫌悪感が抑えきれない。なんて弱くて意地悪いのだろうか。
こんな弱い私よりもレイはティアを好きになった。
強くて綺麗な彼女の方を。
彼の選択は当然だ。
「……っ」
少し頭を冷やしたくて理由をつけ外へとでたのに、私は家から三十メートルくらい離れた道路に蹲っていた。
うちは住宅街から離れた木々が生い茂る地域にあるため、ここを通る人はうちに用事がある人。
そのため、人の往来があまりないのが幸いだ。
止めどなく溢れてしまう涙は、いくら拭っても収まる気配がない。
「メディ?」
誰も通らないと思っていたのに、ふと自分の名を呼ばれたため、私は反射的に顔を上げ立ち上がる。
そこにいたのはコルタだった。
手にはケーキボックスを持っていて、目を大きく見開いて私を見ている。
「お前、なんで泣いているんだよ。ティアと何かあったのか?」
珍しく動揺している彼の声を聞き、私は涙を手で乱暴に拭う。
「違うの。私が弱いせい……」
「お前は弱くないだろ。パーティーだって参加したじゃないか」
「でも、乗り越えられなかった。怖くて逃げ出したくても足が動かなかった中で、助けてくれたのはティアだったの。レイがティアを好きになったのはわかるわ。私は自分で私を選ばない。こんなじぶ――」
私の言葉は途中で消えてしまう。
突然、たくましい腕に抱きしめられてしまったせいだ。
「自分を傷つけるな。人間そんな簡単に乗り越えられるわけないだろ。少しずつでいいんだ」
「……コルタ」
私が彼の名を呟いた瞬間、ドサッと何かが地面に落ちる音が聞こえてきたため、私達はお互いの体を離した。
音のした方向へ顔を向ければ、そこに立っていたのはリストお兄様。
足元には、ケーキボックスが落ちている。
「ご、ごっ、ごめん……僕、ライの告白に続いて、また空気が読めなくて……あ、また胃が……」
「リストお兄様っ!」
「大丈夫か」
リストお兄様が胃を押さえて屈み込んでしまったので、私達は慌てて駆け寄った。
何度もティアに言いたくなった言葉。
ティアのことを大切な友達だと思っているのに、牽制しようとする自分に嫌悪感が抑えきれない。なんて弱くて意地悪いのだろうか。
こんな弱い私よりもレイはティアを好きになった。
強くて綺麗な彼女の方を。
彼の選択は当然だ。
「……っ」
少し頭を冷やしたくて理由をつけ外へとでたのに、私は家から三十メートルくらい離れた道路に蹲っていた。
うちは住宅街から離れた木々が生い茂る地域にあるため、ここを通る人はうちに用事がある人。
そのため、人の往来があまりないのが幸いだ。
止めどなく溢れてしまう涙は、いくら拭っても収まる気配がない。
「メディ?」
誰も通らないと思っていたのに、ふと自分の名を呼ばれたため、私は反射的に顔を上げ立ち上がる。
そこにいたのはコルタだった。
手にはケーキボックスを持っていて、目を大きく見開いて私を見ている。
「お前、なんで泣いているんだよ。ティアと何かあったのか?」
珍しく動揺している彼の声を聞き、私は涙を手で乱暴に拭う。
「違うの。私が弱いせい……」
「お前は弱くないだろ。パーティーだって参加したじゃないか」
「でも、乗り越えられなかった。怖くて逃げ出したくても足が動かなかった中で、助けてくれたのはティアだったの。レイがティアを好きになったのはわかるわ。私は自分で私を選ばない。こんなじぶ――」
私の言葉は途中で消えてしまう。
突然、たくましい腕に抱きしめられてしまったせいだ。
「自分を傷つけるな。人間そんな簡単に乗り越えられるわけないだろ。少しずつでいいんだ」
「……コルタ」
私が彼の名を呟いた瞬間、ドサッと何かが地面に落ちる音が聞こえてきたため、私達はお互いの体を離した。
音のした方向へ顔を向ければ、そこに立っていたのはリストお兄様。
足元には、ケーキボックスが落ちている。
「ご、ごっ、ごめん……僕、ライの告白に続いて、また空気が読めなくて……あ、また胃が……」
「リストお兄様っ!」
「大丈夫か」
リストお兄様が胃を押さえて屈み込んでしまったので、私達は慌てて駆け寄った。
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