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王妃運はファルマ限定なのか?2(ティア視点)
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私の目の前には籠に入った野菜や果物が並べられている。
商会にある部屋でも風通しの良い場所に置かれてあり、籠の下には厚手の布が敷かれている。
お店を開けるんじゃないかな? というくらいの量で運ぶだけでも大変そうだ。
これはムウ村の人達から先日のお礼として贈られたものだ。
ハーブ問題を解決したあたりから、商会や城には私宛の荷物が時々届けられる時がある。
「いっぱい届きましたね。こちら村長からお礼のお手紙です」
隣にいたフィーノさんに渡されたのは一枚の封筒だった。
私はお礼を言いながら受け取って眺めたが、手元にペーパーナイフがないため封蝋をはがせないから中身を見ることが出来ない。
後でゆっくり部屋であけることにしよう。
「私はメディと二人暮らしなので、全部は食べきれません。いつもの通り皆さんで分けたり孤児院におすそ分けをしましょう」
「いつもありがとうございます」
「いいえ。私たちだけでは食べきれないので……」
食べられなくなってしまうともったいないので、自分達で食べきれない分は気持ちだけ頂くことにしている。
――珍しいフルーツもあるから、メディが喜びそうだわ。
と、ぼんやりと思っていると突然部屋をノックする音が届いたため、私は入室を促す返事をする。
すると、キィと扉が開き部屋に足を踏み入れたのはレイだった。
フィーノさんはレイの姿を捉えると慌てて一礼をした。
「良かった。ティアが居て。今からバーリア国に向かわなきゃならないから、その前に会いたくて」
「私にですか……? おっしゃって下されば、城まで私が訪れますよ。レイ、多忙ですから」
バーリア国はここからでは五日くらいかかるくらいの距離でちょっと遠い。
わざわざ立ち寄ってくれたのだから、何か急ぎのようでもあったのかもしれない。
「……いや、用は特にないんだ」
レイが苦笑いを浮かべた。
私は首を傾げていると、フィーノさんが唇を開く。
「ティア様。レイガルド様とティア様のお茶を入れて参ります」
フィーノさんの台詞に対して、レイは「気を遣わずに」と告げたが、さすがに国王様相手では気を遣わずにはいられないだろう。
フィーノさんは扉の前で一礼すると部屋を出た。
「ムウ村からのお礼か?」
レイが野菜を見詰めながら言ったので、私は頷く。
「城にも届きましたか?」
「あぁ。気にしなくても良いんだが、お礼の野菜だそうだ」
「私は大したことはしてないのに、いいのかなっていつも思うんです」
ティア様のお蔭で生活が良くなったなど言われるけど、私の力ではない。
みんなが協力してくれたからだ。
「いや、ティアがやった功績は大きいよ。今のエタセルにはティアはなくてはならない人だ」
「私がエタセルに居なくても大丈夫だと思いますよ」
「それは、ティアがどこかに引っ越す予定があるってことか? 例えば、ファルマとか」
突然固くなったレイの言葉に対して、私は首を傾げる。
なんで急に空気が張りつめてしまったのだろうか。
「今の所、引っ越しの予定はありませんよ。メディもいますし」
「そうか……」
レイが安堵の息を零す。
「ティアはファルマのパーティーのために、少し早くあちらに向かうんだよな?」
「はい。少し長くお休みを頂こうかなぁと思っています。ファルマの観光もまだ全部していないので。良かったら、レイもファルマの観光をしてみて下さい。ジンクスの噴水とか珍しい場所がありますよ」
「ジンクスの噴水?」
「はい。女神像が設置されている噴水に硬貨を投げるんです。女神が持っている乳鉢などに入れるんですよ。それぞれの女神に意味があり、王妃運、健康運。仕事・学業運がアップすると言われているんです」
「ティアはやったことがあるのか?」
「はい。ライに案内して貰って。仕事運狙いだったんですけど、偶然王妃運に」
「王妃」
レイの表情が固まってしまう。
「……王妃運というのはファルマ限定なのか?」
「えっ!? どうなんでしょうか? 決まっていないと思います」
ライに告白された時、王妃運をファルマの王妃にしないか? って誘われたから。
「そうか。それならば、良かった」
レイがゆっくり息を吐き出しながら、表情を緩めた。
商会にある部屋でも風通しの良い場所に置かれてあり、籠の下には厚手の布が敷かれている。
お店を開けるんじゃないかな? というくらいの量で運ぶだけでも大変そうだ。
これはムウ村の人達から先日のお礼として贈られたものだ。
ハーブ問題を解決したあたりから、商会や城には私宛の荷物が時々届けられる時がある。
「いっぱい届きましたね。こちら村長からお礼のお手紙です」
隣にいたフィーノさんに渡されたのは一枚の封筒だった。
私はお礼を言いながら受け取って眺めたが、手元にペーパーナイフがないため封蝋をはがせないから中身を見ることが出来ない。
後でゆっくり部屋であけることにしよう。
「私はメディと二人暮らしなので、全部は食べきれません。いつもの通り皆さんで分けたり孤児院におすそ分けをしましょう」
「いつもありがとうございます」
「いいえ。私たちだけでは食べきれないので……」
食べられなくなってしまうともったいないので、自分達で食べきれない分は気持ちだけ頂くことにしている。
――珍しいフルーツもあるから、メディが喜びそうだわ。
と、ぼんやりと思っていると突然部屋をノックする音が届いたため、私は入室を促す返事をする。
すると、キィと扉が開き部屋に足を踏み入れたのはレイだった。
フィーノさんはレイの姿を捉えると慌てて一礼をした。
「良かった。ティアが居て。今からバーリア国に向かわなきゃならないから、その前に会いたくて」
「私にですか……? おっしゃって下されば、城まで私が訪れますよ。レイ、多忙ですから」
バーリア国はここからでは五日くらいかかるくらいの距離でちょっと遠い。
わざわざ立ち寄ってくれたのだから、何か急ぎのようでもあったのかもしれない。
「……いや、用は特にないんだ」
レイが苦笑いを浮かべた。
私は首を傾げていると、フィーノさんが唇を開く。
「ティア様。レイガルド様とティア様のお茶を入れて参ります」
フィーノさんの台詞に対して、レイは「気を遣わずに」と告げたが、さすがに国王様相手では気を遣わずにはいられないだろう。
フィーノさんは扉の前で一礼すると部屋を出た。
「ムウ村からのお礼か?」
レイが野菜を見詰めながら言ったので、私は頷く。
「城にも届きましたか?」
「あぁ。気にしなくても良いんだが、お礼の野菜だそうだ」
「私は大したことはしてないのに、いいのかなっていつも思うんです」
ティア様のお蔭で生活が良くなったなど言われるけど、私の力ではない。
みんなが協力してくれたからだ。
「いや、ティアがやった功績は大きいよ。今のエタセルにはティアはなくてはならない人だ」
「私がエタセルに居なくても大丈夫だと思いますよ」
「それは、ティアがどこかに引っ越す予定があるってことか? 例えば、ファルマとか」
突然固くなったレイの言葉に対して、私は首を傾げる。
なんで急に空気が張りつめてしまったのだろうか。
「今の所、引っ越しの予定はありませんよ。メディもいますし」
「そうか……」
レイが安堵の息を零す。
「ティアはファルマのパーティーのために、少し早くあちらに向かうんだよな?」
「はい。少し長くお休みを頂こうかなぁと思っています。ファルマの観光もまだ全部していないので。良かったら、レイもファルマの観光をしてみて下さい。ジンクスの噴水とか珍しい場所がありますよ」
「ジンクスの噴水?」
「はい。女神像が設置されている噴水に硬貨を投げるんです。女神が持っている乳鉢などに入れるんですよ。それぞれの女神に意味があり、王妃運、健康運。仕事・学業運がアップすると言われているんです」
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「はい。ライに案内して貰って。仕事運狙いだったんですけど、偶然王妃運に」
「王妃」
レイの表情が固まってしまう。
「……王妃運というのはファルマ限定なのか?」
「えっ!? どうなんでしょうか? 決まっていないと思います」
ライに告白された時、王妃運をファルマの王妃にしないか? って誘われたから。
「そうか。それならば、良かった」
レイがゆっくり息を吐き出しながら、表情を緩めた。
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