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更科灰音

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第53話:パジャマパーティー

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「先輩は寝ちゃいましたけど、まだみんなは平気っすよね?」
新たなライバルの安藤です。山田が現れた時も(サイズ的に)危機感を覚えましたが・・・
この安藤はご主人様と同じ職場の後輩です。
ご主人様とも数年来の付き合いという事です。

「ところでメイドちゃんはどこで処理をしたっすか?」
はて?処理と言うと?
「なんていうか文学的表現だと『若草の陰り』とかっすね・・・」
なるほど。
あれは電車の広告によくある店ではなく、医療用の設備がある施設に行きました。
「やっぱり電車の広告のはダメっすか?100円とか書いてあるじゃないっすか・・・」
さすがに安すぎて不安を感じました。
当たりはずれもあるとも聞きましたし・・・
ネットの口コミとかもどこまで信用出来るかわかりませんし・・・
「とりあえずメイドちゃんが行ったところを教えてほしいっす。実際に成功例を確認出来たっす」
まあ、私と同じ施設なら間違いないでしょう。
私はもともとまばらだったのでそれほど期間も料金もかかりませんでしたが、
安藤は私とは比べ物にならないほどなのでそれなりに期間も料金もかかるのではないでしょうか?
「うぅ、しばらくは節約生活っすね・・・」

安藤は社会人ですよね?貯蓄とかないのですか?
「服とか撮影機材とかに結構つぎ込んでるんすよ・・・」
撮影機材?動画とか撮るのですか?
「写真っすね。スタジオ代とかも馬鹿にならないっす・・・」
なるほど、そういう趣味でしたか・・・
言われてみればSNSにも結構写真をアップしてましたね。

「いい加減に下の毛の話はやめるべき」
山田がうんざりとした表情で私と安藤のことを見つめます。
「そもそもどうせ努力をしたところで所詮まがい物、天然ものとは違う」
くっ、何故神は山田ごと気に2物も3物も!!
ん?そういえば安藤のサイズは?
「メジャーを持ってきた」
こういうことははっきりとしないといけませんからね。

安藤を羽交い絞めにして、そのすきに山田がメジャーで計測する。
「トップが79センチ」
意外とないですね。何気に3人の中で一番小さいです。
「アンダーが61のDカップ・・・」
解せぬ・・・何故に皆私よりもトップで負けてカップ数で勝ってくるのか!?
「メイドは寸胴・・・」
何も聞こえません。胸のサイズは82で私が一番です。異論は認めません!

「ちなみに先輩は?ツルペタなのは知ってるっすけど・・・」
そうですね、これからは仲間ということで情報を共有しましょう。
「マスターはトップが64でアンダーが56のAAカップ」
むしろ、Aの上だからSカップと言っても過言ではないでしょう!
「マスターのトップと黒音のアンダーが同じ数値。これは運命だと思う」
山田がなんか寝ぼけたことをほざいてやがります。そんなものはただの偶然です。

「家事は基本的にメイドちゃんがやってるのよね?」
ご主人様が食器を洗ったりしてくれますが、それすらも本来は私の仕事です。
何せ、それでお給金をいただいていますからね。
「まあ、黒音ちゃんは中学生だもんね・・・バイトとか出来ないし」
ちなみに、こんな雑談中でもご主人様のPCからはちゃりんちゃりん音がしています。
本人が寝ていても自動的にお金を稼ぐ。恐るべきご主人様の英知!

でも、これだけ稼げるのであれば会社を辞めても問題ないのでは?
「それもそうっすね。何でいまだに会社勤めなんすかね?」
安藤も首をかしげています。
「は!もしや私が会社に居るから!?」
それなら毎日出社すると思います。在宅勤務しないのでは?
「黒音でもほかに収入減があれば会社はやめると思う」
まあ、会社を辞めたとしても今の生活とそれほど変わらないと思いますけど・・・

今日も今週分の作業は終わったとおっしゃってましたし・・・
「え!?今日月曜っすよ!?」
週の半分は自由時間のようですよ?
「知らなかったっす・・・いつでもメッセージの返事が返ってくるから仕事してると思ってたっす・・・」
もしかして内緒の話だったのでしょうか?
「マスターの秘密をばらすなんてメイド失格」
くぅっ、まったく反論できません・・・
「部長には内緒にしておくっす」
ご主人様、申し訳ありません。安藤に借りが出来てしまいました・・・

「ところで、異世界のことはどこまで知ってるっすか?」
やらかしたばかりなので答えるのが怖いですね・・・
「大丈夫っすよ。一応先輩や私たちが作ってたゲームの世界ってことは知ってるっすよね?」
リアルなゲームですよね?
「開発途中で開発中止になったっすけどね。完成すればすごいゲームになったはずっす」
そうですか?これくらいの規模のゲームは今までにもあったのでは?
「いわゆるNPCは居ないんすよ・・・」
でも、ゲーム世界の人全員がプレーヤーではないですよね?
「すべてが疑似人格を与えられたAIなんすよ・・・」
その中の特別製のAIがリーゼロッテでしょうか?
「あれは先輩が開発した疑似ではない人格を持ったAIなんすよ。人工知能というよりも人工生命っす」
AIに魂が宿ったとかそういうオカルト的な?
「オカルトでもファンタジーでもいいっすよ。呼び方に意味はないっす」
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