18 / 73
第18話:利害の一致
しおりを挟む
-side:吉野川-
そういえば、お嬢様は自分は以前はむさいおっさんだったと言っていました。
「おっさん?先輩が?こんなに可愛いのに?」
お嬢様にそっくりなリーゼロッテ、そしてお嬢様のSNSアカウントもリーゼロッテ・・・
これって偶然なのでしょうか?
「私の記憶では私が入社した時点で先輩はこの姿だった。むしろずっと変化していない・・・」
でも、見た感じでは小学生くらいですよね?
「そう言われてみると、なんか不思議ね。でも可愛いわよ?」
それには全く異論はありません。カワイイは正義です。
で、現在もお嬢様はそのゲームの世界の夢にうなされていると・・・
そして、私はシャーリーにそっくり。シャーリーは万能メイド。
おそらくは偶然じゃなくて、なんらかの理由があって今現在に至ってるんだろう。
だとすると、シャーリーが求められている。
「シャーリー、りんごが食べたいんだよ・・・」
りんご?買い置きはなかったはず。
「リーゼちゃんはりんごが好きなのよ。お菓子を作るときもりんご味だったわ!」
今すぐりんごを買ってきます!
-side:安藤-
メイドちゃんはりんごを買いに行っちゃったし、ここはグレイスとして添い寝が必要なシーンね!
これはやましい心ではなくて医療行為の一環なのよ。必要な行為なのよ!
ヌギヌギ、ゴソゴソ・・・
お邪魔します・・・
「グレイスぅ・・・」
いきなり先輩が抱きついてきた。いや、先輩というよりもリーゼちゃんが?
まあ、それは些細な違いであって、私に取ってみればどうでもいいことだ。
どっちにしてもカワイイことには変わりがないわけだし!
考えてみると、最近の先輩の言葉遣いや行動は以前とは少し違う気がした。
なんていうか、見た目のリーゼちゃんに寄ってきている感じ?
「戻りました」
メイドの子が帰ってきた。大量のりんごと共に・・・
「あなたはなぜベッドの中に居るのですか?」
もちろんグレイスとしてリーゼちゃんに添い寝をするためよ。
こんなにうなされているんだから、ぎゅっと抱きしめてあげることが必要だよね?
私はグレイス、私はグレイス、私はグレイス・・・
「緊急事態なので大目に見ましょう」
メイドちゃんが怖い目で睨んでる。
「りんごは普通に剥けば良いのでしょうか?」
確か剥かないで、4つに切って食べていたはずよ。
すぐにりんごを持ってきてくれた。
「お嬢様、りんごです」
朦朧としている先輩、いやリーゼちゃんの口元にりんごを近づけると、手に取って食べ始めた。
そして、食べ終わると再び眠りにつく。
ねえ、どう思う?私が知ってる先輩とはだいぶ違うんだけど?中身が完全にリーゼちゃんよ?
「私はリーゼロッテにあったことが無いので何とも言えませんが・・・」
まあ、そうよね?
「問題なのはお嬢様の体調です。この熱は普通の病気ではない気がします」
うーん、リーゼちゃんが原因なのかな?
「おそらく、この身体に二人の意識が入っているのがまずいのではないでしょうか?」
だとするとリーゼちゃんを先輩の身体から追い出せば・・・
「そんなことが可能なのでしょうか?そしてその結果お嬢様はどうなるのでしょうか?」
リーゼちゃんの成分が無くなると元の状態に戻るんじゃないかな?
「お嬢様がむさいオッサンになるということでしょうか・・・」
うっ、それは嫌だわ。せっかくこんなにかわいいのに。
「そういった意味では元に戻らない方が良いのでは?」
そうよ!メイドちゃんの言う通り!このままリーゼちゃんとして定着すればいいのよ!
「どうやら利害が一致したようですね。もともとお嬢様に入っていたオッサンには気の毒ですが・・・」
あとはどうにかして、先輩とリーゼちゃんを融合するなりなんなり・・・
「逆に、その先輩を追い出すとか・・・」
それはダメよ、私が仕事で困るもん。先輩の仕事の知識は必要なのよ!
「それでは、やはり融合の方向で検討しましょう」
そうねなるべくリーゼちゃん成分を多めにして・・・
「カワイイは正義ですからね!」
でも、具体的に何をすればいいのかな?
まずは熱を下げる?バファリンでいいと思う?
「いえ、ここは伝統的な方法である、『人肌で温める』では無いでしょうか!?」
そう言いながら、メイドちゃんは服を脱ぎ始めている。もしや、裸で添い寝!?
確かに、その方法は有効かも知れない。リーゼちゃんはよく色々な娘と添い寝してたから。
「なんですと!?」
正確に言うと、リーゼちゃんのベッドにこっそりと忍び込む娘が多かったんだけどね。
「しかし、お嬢様の汗まみれになるのは問題無いのですが、お嬢様が不快そうな顔をしていますね」
汗は拭いてあげないと悪化しそうだし、お風呂に入る?
「シーツも交換しましょう」
堅パンと塩スープって手に入るかしら?
「調理師の免許はあるのでレシピさえわかれば出来るかもしれません」
とにかく硬いパンなのよ。それと塩味のスープなんだけど・・・
「偉く質素な食事ですね・・・」
一番安い食事ね。最初はお金がなくてそれしか食べられなかったみたいなの。
でも、お金に余裕が出来てからも気に入ってよく食べてたわ。
「ドイツパンのようなものでしょうか?」
じゃがいもや雑穀を混ぜたパンで・・・当時の資料がどこかに無いかな?
「大丈夫です、大体わかりました。塩スープの詳細は?」
うーん、クズ肉やクズ野菜で出汁をとって塩で味付けとかだったような?
世界観的には中世ヨーロッパというか王道RPG的な感じの世界よ。
「なるほど、剣と魔法の世界ですね?」
そうそう、そんな感じ。
「では、食事の準備をしますので、安藤さんはお嬢様の入浴をお願いします」
なんか物凄く悔しそうな顔をしてるけど、私じゃ食事の用意が出来ないしね。
「くれぐれも変なことはしないでくださいね?」
そういえば、お嬢様は自分は以前はむさいおっさんだったと言っていました。
「おっさん?先輩が?こんなに可愛いのに?」
お嬢様にそっくりなリーゼロッテ、そしてお嬢様のSNSアカウントもリーゼロッテ・・・
これって偶然なのでしょうか?
「私の記憶では私が入社した時点で先輩はこの姿だった。むしろずっと変化していない・・・」
でも、見た感じでは小学生くらいですよね?
「そう言われてみると、なんか不思議ね。でも可愛いわよ?」
それには全く異論はありません。カワイイは正義です。
で、現在もお嬢様はそのゲームの世界の夢にうなされていると・・・
そして、私はシャーリーにそっくり。シャーリーは万能メイド。
おそらくは偶然じゃなくて、なんらかの理由があって今現在に至ってるんだろう。
だとすると、シャーリーが求められている。
「シャーリー、りんごが食べたいんだよ・・・」
りんご?買い置きはなかったはず。
「リーゼちゃんはりんごが好きなのよ。お菓子を作るときもりんご味だったわ!」
今すぐりんごを買ってきます!
-side:安藤-
メイドちゃんはりんごを買いに行っちゃったし、ここはグレイスとして添い寝が必要なシーンね!
これはやましい心ではなくて医療行為の一環なのよ。必要な行為なのよ!
ヌギヌギ、ゴソゴソ・・・
お邪魔します・・・
「グレイスぅ・・・」
いきなり先輩が抱きついてきた。いや、先輩というよりもリーゼちゃんが?
まあ、それは些細な違いであって、私に取ってみればどうでもいいことだ。
どっちにしてもカワイイことには変わりがないわけだし!
考えてみると、最近の先輩の言葉遣いや行動は以前とは少し違う気がした。
なんていうか、見た目のリーゼちゃんに寄ってきている感じ?
「戻りました」
メイドの子が帰ってきた。大量のりんごと共に・・・
「あなたはなぜベッドの中に居るのですか?」
もちろんグレイスとしてリーゼちゃんに添い寝をするためよ。
こんなにうなされているんだから、ぎゅっと抱きしめてあげることが必要だよね?
私はグレイス、私はグレイス、私はグレイス・・・
「緊急事態なので大目に見ましょう」
メイドちゃんが怖い目で睨んでる。
「りんごは普通に剥けば良いのでしょうか?」
確か剥かないで、4つに切って食べていたはずよ。
すぐにりんごを持ってきてくれた。
「お嬢様、りんごです」
朦朧としている先輩、いやリーゼちゃんの口元にりんごを近づけると、手に取って食べ始めた。
そして、食べ終わると再び眠りにつく。
ねえ、どう思う?私が知ってる先輩とはだいぶ違うんだけど?中身が完全にリーゼちゃんよ?
「私はリーゼロッテにあったことが無いので何とも言えませんが・・・」
まあ、そうよね?
「問題なのはお嬢様の体調です。この熱は普通の病気ではない気がします」
うーん、リーゼちゃんが原因なのかな?
「おそらく、この身体に二人の意識が入っているのがまずいのではないでしょうか?」
だとするとリーゼちゃんを先輩の身体から追い出せば・・・
「そんなことが可能なのでしょうか?そしてその結果お嬢様はどうなるのでしょうか?」
リーゼちゃんの成分が無くなると元の状態に戻るんじゃないかな?
「お嬢様がむさいオッサンになるということでしょうか・・・」
うっ、それは嫌だわ。せっかくこんなにかわいいのに。
「そういった意味では元に戻らない方が良いのでは?」
そうよ!メイドちゃんの言う通り!このままリーゼちゃんとして定着すればいいのよ!
「どうやら利害が一致したようですね。もともとお嬢様に入っていたオッサンには気の毒ですが・・・」
あとはどうにかして、先輩とリーゼちゃんを融合するなりなんなり・・・
「逆に、その先輩を追い出すとか・・・」
それはダメよ、私が仕事で困るもん。先輩の仕事の知識は必要なのよ!
「それでは、やはり融合の方向で検討しましょう」
そうねなるべくリーゼちゃん成分を多めにして・・・
「カワイイは正義ですからね!」
でも、具体的に何をすればいいのかな?
まずは熱を下げる?バファリンでいいと思う?
「いえ、ここは伝統的な方法である、『人肌で温める』では無いでしょうか!?」
そう言いながら、メイドちゃんは服を脱ぎ始めている。もしや、裸で添い寝!?
確かに、その方法は有効かも知れない。リーゼちゃんはよく色々な娘と添い寝してたから。
「なんですと!?」
正確に言うと、リーゼちゃんのベッドにこっそりと忍び込む娘が多かったんだけどね。
「しかし、お嬢様の汗まみれになるのは問題無いのですが、お嬢様が不快そうな顔をしていますね」
汗は拭いてあげないと悪化しそうだし、お風呂に入る?
「シーツも交換しましょう」
堅パンと塩スープって手に入るかしら?
「調理師の免許はあるのでレシピさえわかれば出来るかもしれません」
とにかく硬いパンなのよ。それと塩味のスープなんだけど・・・
「偉く質素な食事ですね・・・」
一番安い食事ね。最初はお金がなくてそれしか食べられなかったみたいなの。
でも、お金に余裕が出来てからも気に入ってよく食べてたわ。
「ドイツパンのようなものでしょうか?」
じゃがいもや雑穀を混ぜたパンで・・・当時の資料がどこかに無いかな?
「大丈夫です、大体わかりました。塩スープの詳細は?」
うーん、クズ肉やクズ野菜で出汁をとって塩で味付けとかだったような?
世界観的には中世ヨーロッパというか王道RPG的な感じの世界よ。
「なるほど、剣と魔法の世界ですね?」
そうそう、そんな感じ。
「では、食事の準備をしますので、安藤さんはお嬢様の入浴をお願いします」
なんか物凄く悔しそうな顔をしてるけど、私じゃ食事の用意が出来ないしね。
「くれぐれも変なことはしないでくださいね?」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
転生キッズの魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
西園寺おとば🌱
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

人見知り転生させられて魔法薬作りはじめました…
雪見だいふく
ファンタジー
私は大学からの帰り道に突然意識を失ってしまったらしい。
目覚めると
「異世界に行って楽しんできて!」と言われ訳も分からないまま強制的に転生させられる。
ちょっと待って下さい。私重度の人見知りですよ?あだ名失神姫だったんですよ??そんな奴には無理です!!
しかし神様は人でなし…もう戻れないそうです…私これからどうなるんでしょう?
頑張って生きていこうと思ったのに…色んなことに巻き込まれるんですが…新手の呪いかなにかですか?
これは3歩進んで4歩下がりたい主人公が騒動に巻き込まれ、時には自ら首を突っ込んでいく3歩進んで2歩下がる物語。
♪♪
注意!最初は主人公に対して憤りを感じられるかもしれませんが、主人公がそうなってしまっている理由も、投稿で明らかになっていきますので、是非ご覧下さいませ。
♪♪
小説初投稿です。
この小説を見つけて下さり、本当にありがとうございます。
至らないところだらけですが、楽しんで頂けると嬉しいです。
完結目指して頑張って参ります

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる