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1の章

23.そんな目で見ないでぇ

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『さぁ、尊きフェンリルの我に似合う良い名前をつけよ!』

ゔぇ~マジっすか?センス無いんだけどぉ~。

「えっ、あ、はい。決まる迄、コレ食べて待ってて貰えます?」

異世界通販を開き、犬用ジャーキーをお小遣いで買って渡した。はぁ~、痛い出費だよ。

『なんだ、この良き香りの物は?』

「(犬用)ジャーキーです。食べて大丈夫はずですから、さぁさぁどうぞどうぞ。」

さぁ、考えよう。

『うま~い!!!ジャーキーとはいいものだ!』

はいはい、左様ですか。尻尾千切れちゃうんじゃない?。




ガジガジガジガジガジガジガジガジ‥‥









どうしよう、ガジガジ音で纏まらない。

もう忘れなさそうな名前でいいかな。





「お待たせしました。【大和やまと】にします。」

『変わった響きの名だな。ヤマトとは、どの様な意味なのだ?』

「あ~、異世界の神話に出てくる方で、もっと長い名ですが一部を頂戴したんですよ。普段は、ヤマさんって呼ばせてもらいますね。」

『なるほど、我が名に相応しいな!よし、では我に触れよ。』

「はい。あっ、頭の上でいいですか?」

『どこでもいいぞ。』

私は、ふかふかの頭の上に置こうとしたが、すんでのところで辞めた。

「ヤマさん、契約する前に日常生活においてのお願いがあります。」

『なんだ?我にきけない願いはないぞ。何でも言うが良い!』

フフンってしたよ、このフェンリルさん。

「では、1.非常事態を除いて日常的に小型犬並みの大きさでいること。2.自分のご飯分を稼いで来て欲しいこと。3.契約後は、タメ口にします。4.時々ブラッシング&もふもふさせてもらいたいです。」

『なにっ、4つ!しかも、小さくなる?自分のメシ代を稼げ?タメ口とはなんだ?最後は、小娘の欲望をひしひし感じるぞ!』

「きけない願いは無いんですよね?先程、言いましたよね!?」

うっわぁ~ヤマさん、威嚇してる様な顔になっちゃったよ。

『ぐぬぬぬぬぬっ。』

もう一押ししておくかな。

「お願いをきいてもらえないと、先程のジャーキー好きな時に食べられませんよ。今の私は、まだ10歳の学生で大金なんて有りませんから、ジャーキーが買えません。」

『ジャ、ジャーキーが、食べられない・・・だと!?』

あれ~なんか、凄いショックを受けてるみたい。耳は折れ今にも泣きそうな目で私を見つめてくる。

まるで捨てられた子犬に見えてくるから、そんな目で見ないでぇ~!

「うぅっ。ですから、狩りをしてお金を稼いで来て頂きたいのです。そして、ジャーキー以外にも異世界の美味しい食材の購入費用になりますから。」

おっ、顔も明るくなって耳がピンって立った!持ち直したみたい。

『なるほど!我が頑張れば、いつでもジャーキーが食べられるのだな!よし、小娘の願い全て受け入れよう!子犬にだってなるぞ!』

「普段は、自由にして頂いて大丈夫です。用がある時に、子犬の姿で私の元に来てもらえれば助かります。」

『それなら、我は転移魔法が使えるから小娘の魔力を辿って、何処へでも我は参上する!普段は、冒険者として活動する事にしよう。では、我に触れよ。それ、契約だ契約。』

あれ?ジャーキー目当てに、なんだかシフトチェンジしてるぞ?本来の意味を忘れてる?そんなんじゃ、創造神様に言いつけるぞ。
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