Lara

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Regained Memories

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ガチャ

扉が開いた音がした。振り向いて見てみると開いた扉からさっきの人と僕をここに連れてきた綺麗な人がいた。

「ああ、ああ……!麗しき白き髪……咲き誇る『赤の血花』…………私たちが求めてきた御方がここにっ!」
「…………」

演説をしていた方の人はこちらを見て手を胸の前で合わせて体を震わせている。声には陶酔が混ざり、顔に布がかかっていて表情はわからないが三十四番とは違った震えだとわかる。

反対に綺麗な人は無言で僕を見ていた。表情は能面のようで内心を感じさせない。

二人が近づいてきて僕の目の前に立つ。

「ふむ、混じり気のない純白……この光景を見ればわかりますが、しっかりと昇華したようですね。シキ、この御方をお部屋にお連れしなさい。私はこの『赤の血花』を回収しますので」
「わかりました。……行きますよ」

その命令に感情のない声で了承する綺麗な人。僕に対する口調は前とは違って丁寧な言葉になっていた。僕が完成してしまったからだろうか、それともこの人の前だからだろうか。

僕は頷いて背を向けた彼の後をついていく。

強張った指先を触る。先程とは違って凄く寒い。切っている時は灼熱を浴びているかのようだったのに。今は凍える。

「お前も災難だな」
「…………」

急に何だと顔を上げる。綺麗な人の口調は戻っていた。あの人に前だから口調を丁寧にしていたのだろう。

目が合った。黒い瞳、陰ができて更に真っ黒になっている。

「攫われて、閉じ込められて、殺し合いを強要されて……仕舞いには神になれって言われてるんだ」

淡々と言われる。陰になってわかりづらかったが、目に苛立ちの感情が混ざっているのに気づいた。

「こんなキチガイ共の人形になって、これからは大変だな」
「…………」
「何も、言わないんだな」

そう独りちて前を向いて歩きだす。僕は何も言わない。

急に話しだして、失望された。

僕には内容は違うが

やっていることは同じだと思う。

勝手に連れてきて、勝手に神に祭り上げた。
勝手に問い詰めて、勝手に諦められた。

みんな、僕に押し付ける。僕はそれをやらなくてはいけない状況におちいった。抵抗も許されない。

それなら、意思があった人だったって、意思がなく人形だったって

変わらないよね?

ねぇ、そんなことを言うのなら、僕はどうすればいいの?抵抗すればいいの?逃げられないのに?

完成してしまったのに?

自分勝手だ。言うは易く行うは難し、言うだけ言って期待して、自分の期待に添わなければ見下すんだよ。なんだ、出来ないんだって。

そんなみんなが嫌い。

身動きを許してくれない世界が




憎い



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