Lara

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Regained Memories

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それからしばらくして…………ここにやって来た時から一か月ぐらいだろうか。また新たに外に連れ出された。

その頃になると二房、三房と髪がどんどん白くなっている部分が増えてきていた。まばらになった髪をぼんやりと見ながらいつもの人についていった。

今日は急にすごく寂しくなって泣いていた。だから、行くぞと言われて、行きたくないって抵抗した。けれど無理矢理外に出されたんだ。タイミングが悪いよな、なんでよりによって今日なんだって思ってた。

連れて行かれた先には僕と同じ服を着た子供がたくさんいた。目や髪の色が違う子もいるので日本人だけじゃなくて外国人もいるのだろう。
僕が来た後も何人か子供がやってきて全体で五十人ぐらいになったと思う。

「本日から貴方達には試練を果たしてもらいます」

試練ってなんだろう。そんな風に不安に思っていると隣から腕をちょんちょんってつつかれた。

「ねーねー、試練ってなにすんの」
「え、あ、わからない」
「そっか」

なんだったんだろう、その言葉を最後に隣の子は前を向いた。

「この試練はとても過酷なものとなるでしょう。ですが、それでも立ち向かいなさい。それが貴方達の全てです」

変な人が変な話を終えて、どこかに行った後、僕らは部屋に残ったままだった。

「へんなのー、ねえ!」

ただぼーっと去っていった人のいた場所を見ていたらさっきの子に話しかけられた。

「なに」
「キミの名前はなーに?」
「人の名前を聞く前に自分から名乗るもんなんだよ」

なんとなくだけど言いたくなかったから、冷たく言ってしまった。

「あははー、てきびしーね。俺は三十四番、よろしくな!」

三十四番……これは、普通の名前ではないだろう。まるで何かを管理するような…………

「変な名前だね、僕は由貴ゆき

一番初めの名前だ。鬼嶋きしま 由貴…………多分家族そろって行方不明とされているだろう。

「そうなんだ、俺は外に出たことがないからわからないんだ」
「え?そうなの?」
「うん」

思わず聞き返してしまう。ああ、でも名前のことから考えるとそうだろうな。

「そっかー」
「なあ、じこしょーかいもしたし、友達になろー!」
「友達……うん!」
「えへへ、初めての友達だ」
「そうなの?僕友達一号!」

嬉しかった。一人連れてこられて、寂しかったけどこの時だけはそれを忘れられた。友達なんて外には沢山いたけど、この変なところでは知っている人は一人もいなくて、笑ってられるこの時が大切に感じられた。
まだ、不安に感じることはあるけど、友達と一緒なら大丈夫かな。

どんなに美味しいご飯があっても、豪華な服があっても、柔らかい布団があっても心は寂しかった。けど僕が必要だったのは、気の休まる友達だったのかな。

これからどんなことがあるのかも知らずに僕たちは笑い合っていた。


さっきのとは違う人が入ってきて言う。

「それでは、試練を始めます。内容は」



―――蠱毒です。



空は青く晴れていた。


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