Lara

文字の大きさ
上 下
243 / 280
彼を取り戻すために

しおりを挟む

それからは慌ただしく時が過ぎた。学園の生徒たちの協力もとり、各家と連携をとった。国を脅s…………国とも話をして外国とも連携。あの厄介な教団を抑え込めるならと(裏では貸し借りの取引もあっただろう)喜んで手を貸してくれるようになった。

神龍の方でもそれぞれのこの世ならざる者と対話し、協力を取り付けたらしい。他の者たちも危機感を抱いていたらしい。二つ返事で了承したそうだ。

「それで、椿のいる場所が判明したんですって?」
「ああ、人の動きが活発なところでな。逆に違う場所に隠されたとしたらわからんが」
「椿がー…」
「ここに…」
「っ………」

学園と同じように山の奥深くにある。そこにも教団の拠点があるそうだ。
大樹たちも俺と同様に開いた地図のその場所を睨みつける。

その時風が吹き荒れて目を閉じた。

『なに、もう行くのか?我の準備は既にできておるぞ?』

現れたのは美しい角と尾を持った男。美しすぎる美貌を持った彼は人ではなかった。

「だが……」
『早く行かねば彼奴の意識は染め上げられるぞ?』
「っ………そう、だな」

俺は立ち上がって宣言する。

「もう十分に準備はできた。神龍もいる。なら行けるだろう、他の家も大丈夫だと連絡が来ている。行くぞ!」

待ってろよ、椿。

それぞれ車に乗り込み山の中にあるという教団の拠点へと向かう。
今回の要は俺たちだ。それこそ御曹司たる俺たちにやらせずに大人…………軍人とかにやらせたらいいと言われたが、それは神龍自身が否定した。

彼の者を取り戻せるのは深く繋がりのある者たちのみ。それ以外の者が行っても、地に沈むことだろう。と

神龍が言うには自衛隊を使うのなら後がない手負いの獣に成り下がる狂信者共に当てればいいとのこと。
俺たちのことは神龍が守るのだから自分たちの本領を発揮させろと大人たちに言っていたらしい。父が眉を下げて苦笑していたのがとても印象的だった。神龍を信仰し、深く関わってきたからこそだろうと思った。

教団の拠点までには道はない。隠されているからだ。なので車が通ることもできずに俺たちは徒歩で向かうことになる。

「来たか」
「やっほ~」
「遅いじゃない」
「………待ってた」

車を降りると風紀委員一同が待っていた。何故こんなところに
疑問が顔に出ていたのか夏屋川がふんと鼻を鳴らした。相変わらず小憎らしい男だ。

「俺の家は日本有数の警備会社だ。何故関わらんと思った」
「もー、永遠きゅん、素直に力になりたかったって言えばいいじゃ~ん」
「は?何を言っているんだ?」
「あ、これマジで自覚してないパターンだ……」

確かにやつの家は警備会社だ。だからそれもあり風紀に入っているちうのもあるだろう。そして神龍で言う手負いの獣と成り下がった狂信者共を討ち漏らして市街に降りていったら大変だ。自棄になってテロでも何でも起こされてしまったら面倒なことになる。

信者共を危険人物だからと国も監視していたようだが流石に全部を把握できていると言われたら国のやつらは全員苦い顔をするだろう。
だが、やらないよりはましだ。

「…………わかった、頼んだぞ」
「…………まさか、お前が……大丈夫なのか?変なものでも食ってないだろうな?」
「おい!」
「あはは~流石に永遠きゅんも素直に頼まれるとは思ってなかっただろうね~」

こいつら…………人が下手に出て頼んでやってると言うのに…………

「もういい、行くぞ」
「…………龍、気をつけろよ」
「っ!?………ああ」
「ネコちゃんからの助言だよ~!…………彼の全てを受け止めてやれ。だ、そうで~す」
「お、おう?…………わかった」

にんまりと茜部が笑う。無理して笑っているのだろう、それはいつもより歪だった。

「椿……またいっぱい話そーね」

にこにこと笑う彼の足元には二つ尾が生えている猫が擦り寄っていたそうな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

もういいや

senri
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが…… まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん! しかも男子校かよ……… ーーーーーーーー 亀更新です☆期待しないでください☆

地味で冴えない俺の最高なポディション。

どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。 オマケに丸い伊達メガネ。 高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。 そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。 あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。 俺のポディションは片隅に限るな。

気づいて欲しいんだけど、バレたくはない!

甘蜜 蜜華
BL
僕は、平凡で、平穏な学園生活を送って........................居たかった、でも無理だよね。だって昔の仲間が目の前にいるんだよ?そりゃぁ喋りたくて、気づいてほしくてメール送りますよね??突然失踪した族の総長として!! ※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。

父が腐男子で困ってます!

あさみ
BL
父子家庭に育った尾崎リョウは16歳の誕生日に、若くてイケメンの父、宗親(ムネチカ)に腐男子である事をカミングアウトされる。 趣味に文句は言わないと思うリョウだったが、宗親のBL妄想はリョウの友人×リョウだった。 いつでも誰といても、友人×リョウで妄想されては聞かされるリョウは大迷惑。 しかも学校にいる美少年をチェックしては勧めてくる始末。 どう見ても自分と釣り合わない優等生や、芸能人の美少年まで攻キャラとして推してくる。 宗親本人は腐男子であるだけで、恋愛対象は美女だという事で、自分勝手にリョウだけを振り回す毎日。 友人達はみんな心が広く、宗親の趣味を受け入れたり、面白がったりで、今までよりもリョウの家に集まるようになる。 そんな中、宗親に感化されたかのように、自分も腐男子かもしれないと言いだす友人や、リョウの事を好きになったとストレートに伝えてくる友達まで現れてしまう。 宗親の思い通りにはなりたくないと思うリョウだが、友人達の事も気になりだして……。 腐男子の父親に振り回される、突っ込み系主人公総受けBLラブコメ。

管理委員長なんてさっさと辞めたい

白鳩 唯斗
BL
王道転校生のせいでストレス爆発寸前の主人公のお話

俺の事嫌ってたよね?元メンバーよ、何で唇を奪うのさ!?〜嵌められたアイドルは時をやり直しマネージャーとして溺愛される〜

ゆきぶた
BL
時をやり直したアイドルが、嫌われていた筈の弟やメンバーに溺愛される話。R15のエロなしアイドル×マネージャーのハーレム物。 ※タイトル変更中 ー  ー  ー  ー  ー  あらすじ 子役時代に一世を風靡した風間直(かざまなお)は現在、人気アイドルグループに所属していた。 しかし身に覚えのないスキャンダルで落ちぶれていた直は、ある日事故でマンションの11階から落ちてしまう。 そして何故かアイドルグループに所属する直前まで時間が戻った直は、あんな人生はもう嫌だと芸能界をやめる事にしたのだった。 月日が経ち大学生になった直は突然弟に拉致られ、弟の所属するアイドルグループ(直が元いたグループ)のマネージャーにされてしまう。 そしてやり直す前の世界で嫌われていた直は、弟だけでなくメンバーにも何故か溺愛されるのだった。 しかしマネージャーとして芸能界に戻って来てしまった直は、スキャンダル地獄に再び陥らないかという不安があった。 そんな中、直を嵌めた人間がメンバーの中にいるかもしれない事を知ってしまい───。 ー  ー  ー  ー  ー  直のお相手になるアイドルグループには クール、オレ様、ワンコ、根暗がいます。 ハーレムでイチャイチャ、チュッチュとほんのりとした謎を楽しんでもらえば良いと思ってます。

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

処理中です...