240 / 280
消失
4
しおりを挟む
その後、家で一夜明かして学園に戻った。
僕と皐月は父上からもらった情報にぼんやりとしていた。
日曜だけどだいたいみんな来るので気兼ねなく生徒会室の扉を開ける。ほら、いた。
だけど、その中の雰囲気は暗く、ああ聞けたんだねと思った。
「ああ、来ましたか…………早速ですがそちらのソファーに座ってください」
「「はーい」」
僕たちがソファーに座ると龍が腕を組みながら話を切り出した。
「それで、どうだった?この様子を見ると大方話を聞けたと思うがな」
龍は疲れた様子で話す。目の下には隈ができていてよく眠れていないようだ。
一口紅茶を口に含んだ。珍しい、いつもはコーヒーを選んだ理由を聞きたくなるぐらいに砂糖とミルクを入れたやつを飲むのに。
「【白の祝福】…………それは宗教団体、【白神】という神を崇拝し、狂信している」
「彼らの目的は救済…………という名の殺戮。全てを白く染め上げ、人のいない世界にする……らしいです」
大樹が息を吐いて目を瞑る。
「その教団の力は強大で、世界各地に広がっています。国の中枢まで食い込んで、白の教団が営んでいる国もあるぐらいです」
「だが、三十二年前、何故かここ日本に教団の幹部らしき人物が集まるようになった。それはなんでだろうな?」
部屋中に沈黙のカーテンが下りる。
その言葉が答えを表しているようなものだからだ。だがそれを考えると話は通じない。だけど、
「ねぇ、龍」
「なんだ」
「神ってさ、年、とるかな」
「…………俺の家系はあちら側のものと少し関りが深いから言えることだが…………年は、とらない。それ故に、老衰とかそういうので死ぬこともない」
「そ、っか」
そう言えば聞いたことがある。龍の家の話。神龍が元となっているって。
そう言うことなんだろう。そしてあの風紀の副委員長に後から聞いたんだけどあの夏、肝試しの時に神社には誰かがいたらしい。僕は思うけど恐らくその人物は神龍なんだと思ってる。
しばらく椿は帰ってこなかったらしいし、僕たちもけっこう待ってた。だから椿はその神龍と何かあったりしたんだろう。…………わからないけど。
「…………俺、その時期に現人神が誕生したっ、て独自の筋から情報を手に入れたって伯父さ、んから……きいた」
「そうか…………」
龍が目を覆って椅子に背中を預ける。
彼も今情報を整理しているのだろう。
「「【白神】」」
「それは触れてはならない世界の禁忌」
「世界の忘却機構であり、リセッターである」
「「世界に絶望した者たちが集まり、その禁忌に触れてしまった。そうしてできたのが、【白の祝福】」」
…………椿はそこに持ち上げられたのだろう。神として、世界を全て塗り潰さんとする者たちに。
僕と皐月は父上からもらった情報にぼんやりとしていた。
日曜だけどだいたいみんな来るので気兼ねなく生徒会室の扉を開ける。ほら、いた。
だけど、その中の雰囲気は暗く、ああ聞けたんだねと思った。
「ああ、来ましたか…………早速ですがそちらのソファーに座ってください」
「「はーい」」
僕たちがソファーに座ると龍が腕を組みながら話を切り出した。
「それで、どうだった?この様子を見ると大方話を聞けたと思うがな」
龍は疲れた様子で話す。目の下には隈ができていてよく眠れていないようだ。
一口紅茶を口に含んだ。珍しい、いつもはコーヒーを選んだ理由を聞きたくなるぐらいに砂糖とミルクを入れたやつを飲むのに。
「【白の祝福】…………それは宗教団体、【白神】という神を崇拝し、狂信している」
「彼らの目的は救済…………という名の殺戮。全てを白く染め上げ、人のいない世界にする……らしいです」
大樹が息を吐いて目を瞑る。
「その教団の力は強大で、世界各地に広がっています。国の中枢まで食い込んで、白の教団が営んでいる国もあるぐらいです」
「だが、三十二年前、何故かここ日本に教団の幹部らしき人物が集まるようになった。それはなんでだろうな?」
部屋中に沈黙のカーテンが下りる。
その言葉が答えを表しているようなものだからだ。だがそれを考えると話は通じない。だけど、
「ねぇ、龍」
「なんだ」
「神ってさ、年、とるかな」
「…………俺の家系はあちら側のものと少し関りが深いから言えることだが…………年は、とらない。それ故に、老衰とかそういうので死ぬこともない」
「そ、っか」
そう言えば聞いたことがある。龍の家の話。神龍が元となっているって。
そう言うことなんだろう。そしてあの風紀の副委員長に後から聞いたんだけどあの夏、肝試しの時に神社には誰かがいたらしい。僕は思うけど恐らくその人物は神龍なんだと思ってる。
しばらく椿は帰ってこなかったらしいし、僕たちもけっこう待ってた。だから椿はその神龍と何かあったりしたんだろう。…………わからないけど。
「…………俺、その時期に現人神が誕生したっ、て独自の筋から情報を手に入れたって伯父さ、んから……きいた」
「そうか…………」
龍が目を覆って椅子に背中を預ける。
彼も今情報を整理しているのだろう。
「「【白神】」」
「それは触れてはならない世界の禁忌」
「世界の忘却機構であり、リセッターである」
「「世界に絶望した者たちが集まり、その禁忌に触れてしまった。そうしてできたのが、【白の祝福】」」
…………椿はそこに持ち上げられたのだろう。神として、世界を全て塗り潰さんとする者たちに。
10
お気に入りに追加
297
あなたにおすすめの小説
もういいや
senri
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが……
まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん!
しかも男子校かよ………
ーーーーーーーー
亀更新です☆期待しないでください☆
地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。
気づいて欲しいんだけど、バレたくはない!
甘蜜 蜜華
BL
僕は、平凡で、平穏な学園生活を送って........................居たかった、でも無理だよね。だって昔の仲間が目の前にいるんだよ?そりゃぁ喋りたくて、気づいてほしくてメール送りますよね??突然失踪した族の総長として!!
※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。
父が腐男子で困ってます!
あさみ
BL
父子家庭に育った尾崎リョウは16歳の誕生日に、若くてイケメンの父、宗親(ムネチカ)に腐男子である事をカミングアウトされる。
趣味に文句は言わないと思うリョウだったが、宗親のBL妄想はリョウの友人×リョウだった。
いつでも誰といても、友人×リョウで妄想されては聞かされるリョウは大迷惑。
しかも学校にいる美少年をチェックしては勧めてくる始末。
どう見ても自分と釣り合わない優等生や、芸能人の美少年まで攻キャラとして推してくる。
宗親本人は腐男子であるだけで、恋愛対象は美女だという事で、自分勝手にリョウだけを振り回す毎日。
友人達はみんな心が広く、宗親の趣味を受け入れたり、面白がったりで、今までよりもリョウの家に集まるようになる。
そんな中、宗親に感化されたかのように、自分も腐男子かもしれないと言いだす友人や、リョウの事を好きになったとストレートに伝えてくる友達まで現れてしまう。
宗親の思い通りにはなりたくないと思うリョウだが、友人達の事も気になりだして……。
腐男子の父親に振り回される、突っ込み系主人公総受けBLラブコメ。
俺の事嫌ってたよね?元メンバーよ、何で唇を奪うのさ!?〜嵌められたアイドルは時をやり直しマネージャーとして溺愛される〜
ゆきぶた
BL
時をやり直したアイドルが、嫌われていた筈の弟やメンバーに溺愛される話。R15のエロなしアイドル×マネージャーのハーレム物。
※タイトル変更中
ー ー ー ー ー
あらすじ
子役時代に一世を風靡した風間直(かざまなお)は現在、人気アイドルグループに所属していた。
しかし身に覚えのないスキャンダルで落ちぶれていた直は、ある日事故でマンションの11階から落ちてしまう。
そして何故かアイドルグループに所属する直前まで時間が戻った直は、あんな人生はもう嫌だと芸能界をやめる事にしたのだった。
月日が経ち大学生になった直は突然弟に拉致られ、弟の所属するアイドルグループ(直が元いたグループ)のマネージャーにされてしまう。
そしてやり直す前の世界で嫌われていた直は、弟だけでなくメンバーにも何故か溺愛されるのだった。
しかしマネージャーとして芸能界に戻って来てしまった直は、スキャンダル地獄に再び陥らないかという不安があった。
そんな中、直を嵌めた人間がメンバーの中にいるかもしれない事を知ってしまい───。
ー ー ー ー ー
直のお相手になるアイドルグループには
クール、オレ様、ワンコ、根暗がいます。
ハーレムでイチャイチャ、チュッチュとほんのりとした謎を楽しんでもらえば良いと思ってます。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる