239 / 280
消失
3
しおりを挟む
親衛隊からの連絡は見つからないとのことだった。
睦月の親衛隊以外にも龍や、大樹、薙刀…………果てには椿の親衛隊とも連携をとって隙なくさがしたが、いなかったそうだ。
特権…………授業を受けなくてもいい生徒はその代りに必ず校舎で登校確認届を出さなければいけない。だが、確認してみたがそれは届け出されておらず、休みの扱いになっていた。
ちょうどその次の日が土曜日と、休日だったから僕と睦月は家に戻り父さんに【白の祝福】という教団?を聞いてみることにした。
門まで行くと、黒塗りの高級外車が停まっていて中から運転士が出てきた。
「皐月様、睦月様、どうぞこちらに」
扉を開けてくれるが僕らは何も言わずに中に入り座る。
家に着き、自分たちの部屋に通される。
僕と睦月はソファーに座ってため息をついた。
「「やっぱ家はつまんなーい」」
小さい頃から悪戯ばかりしていて、従者側からすればあまり関わりたくない相手と認識されている。
父さんと母さんは企業の進出で僕たちのことなんてどうでもいいらしいし、家出の関係は冷えている。
「やっぱ、学園の方が良ーねー!」
「そうだね!………でも」
睦月はすぐに顔を曇らせて俯く。双子だからか、睦月から感情が伝わってくる。僕も悲しくなって俯いた。
その時、ノックが聞こえた。
『皐月様、睦月様、旦那様がお呼びです』
「…………いこっかー!」
「…………そうだね!」
その声に少し皴になってしまった服を直して、手を繋いで父さんのいる部屋に行く。
コンコン、とノックをする。
『……入れ』
「「しつれーします」」
僕たちはこくん、と頷いて中に入った。
「皐月と睦月か、とりあえずそこに座れ」
「「はい」」
父さんは顔も上げずに書類に向き合っていた。
何時見ても冷たいやつ…………
僕らはソファーに座り、出されたコーヒーを飲んで待っていた。コーヒー苦い……
数分してようやく父さんは顔を上げた。目元に指を当ててほぐしている。
あれ………?父さんっていつの間にこんな年を取ったの……?
…………ずっと、父さんの顔を見ていなかったから、その時間の流れに愕然とした。
「ハァ……で、話があるんだろう?」
僕らは顔を見合わせる。
「「父上」」
「ああ……」
「「【白の祝福】って何?」」
その名を聞いた父さんが固まった。当たりだ、父さんは知っている。
「それを何故知っている」
父さんは顔を険しく歪めて僕らを射抜いた。その威圧感に僕は顔が引きつる。
手に、温かさを感じて見てみると、睦月が僕の手を握っていた。大丈夫、僕らは一人じゃない。
「「ねぇ教えて?」」
合わせたわけではないのに言葉が重なる。
父さんはそんな僕たちをじっと見つめて、ため息を吐いた。
「ハァ…………なら仕方がない、教えてやる」
「「やった!」」
観念したように肩を落とす父さんを他所に、僕たちはハイタッチをした。
睦月の親衛隊以外にも龍や、大樹、薙刀…………果てには椿の親衛隊とも連携をとって隙なくさがしたが、いなかったそうだ。
特権…………授業を受けなくてもいい生徒はその代りに必ず校舎で登校確認届を出さなければいけない。だが、確認してみたがそれは届け出されておらず、休みの扱いになっていた。
ちょうどその次の日が土曜日と、休日だったから僕と睦月は家に戻り父さんに【白の祝福】という教団?を聞いてみることにした。
門まで行くと、黒塗りの高級外車が停まっていて中から運転士が出てきた。
「皐月様、睦月様、どうぞこちらに」
扉を開けてくれるが僕らは何も言わずに中に入り座る。
家に着き、自分たちの部屋に通される。
僕と睦月はソファーに座ってため息をついた。
「「やっぱ家はつまんなーい」」
小さい頃から悪戯ばかりしていて、従者側からすればあまり関わりたくない相手と認識されている。
父さんと母さんは企業の進出で僕たちのことなんてどうでもいいらしいし、家出の関係は冷えている。
「やっぱ、学園の方が良ーねー!」
「そうだね!………でも」
睦月はすぐに顔を曇らせて俯く。双子だからか、睦月から感情が伝わってくる。僕も悲しくなって俯いた。
その時、ノックが聞こえた。
『皐月様、睦月様、旦那様がお呼びです』
「…………いこっかー!」
「…………そうだね!」
その声に少し皴になってしまった服を直して、手を繋いで父さんのいる部屋に行く。
コンコン、とノックをする。
『……入れ』
「「しつれーします」」
僕たちはこくん、と頷いて中に入った。
「皐月と睦月か、とりあえずそこに座れ」
「「はい」」
父さんは顔も上げずに書類に向き合っていた。
何時見ても冷たいやつ…………
僕らはソファーに座り、出されたコーヒーを飲んで待っていた。コーヒー苦い……
数分してようやく父さんは顔を上げた。目元に指を当ててほぐしている。
あれ………?父さんっていつの間にこんな年を取ったの……?
…………ずっと、父さんの顔を見ていなかったから、その時間の流れに愕然とした。
「ハァ……で、話があるんだろう?」
僕らは顔を見合わせる。
「「父上」」
「ああ……」
「「【白の祝福】って何?」」
その名を聞いた父さんが固まった。当たりだ、父さんは知っている。
「それを何故知っている」
父さんは顔を険しく歪めて僕らを射抜いた。その威圧感に僕は顔が引きつる。
手に、温かさを感じて見てみると、睦月が僕の手を握っていた。大丈夫、僕らは一人じゃない。
「「ねぇ教えて?」」
合わせたわけではないのに言葉が重なる。
父さんはそんな僕たちをじっと見つめて、ため息を吐いた。
「ハァ…………なら仕方がない、教えてやる」
「「やった!」」
観念したように肩を落とす父さんを他所に、僕たちはハイタッチをした。
10
お気に入りに追加
297
あなたにおすすめの小説
もういいや
senri
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが……
まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん!
しかも男子校かよ………
ーーーーーーーー
亀更新です☆期待しないでください☆
地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。
気づいて欲しいんだけど、バレたくはない!
甘蜜 蜜華
BL
僕は、平凡で、平穏な学園生活を送って........................居たかった、でも無理だよね。だって昔の仲間が目の前にいるんだよ?そりゃぁ喋りたくて、気づいてほしくてメール送りますよね??突然失踪した族の総長として!!
※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。
父が腐男子で困ってます!
あさみ
BL
父子家庭に育った尾崎リョウは16歳の誕生日に、若くてイケメンの父、宗親(ムネチカ)に腐男子である事をカミングアウトされる。
趣味に文句は言わないと思うリョウだったが、宗親のBL妄想はリョウの友人×リョウだった。
いつでも誰といても、友人×リョウで妄想されては聞かされるリョウは大迷惑。
しかも学校にいる美少年をチェックしては勧めてくる始末。
どう見ても自分と釣り合わない優等生や、芸能人の美少年まで攻キャラとして推してくる。
宗親本人は腐男子であるだけで、恋愛対象は美女だという事で、自分勝手にリョウだけを振り回す毎日。
友人達はみんな心が広く、宗親の趣味を受け入れたり、面白がったりで、今までよりもリョウの家に集まるようになる。
そんな中、宗親に感化されたかのように、自分も腐男子かもしれないと言いだす友人や、リョウの事を好きになったとストレートに伝えてくる友達まで現れてしまう。
宗親の思い通りにはなりたくないと思うリョウだが、友人達の事も気になりだして……。
腐男子の父親に振り回される、突っ込み系主人公総受けBLラブコメ。
俺の事嫌ってたよね?元メンバーよ、何で唇を奪うのさ!?〜嵌められたアイドルは時をやり直しマネージャーとして溺愛される〜
ゆきぶた
BL
時をやり直したアイドルが、嫌われていた筈の弟やメンバーに溺愛される話。R15のエロなしアイドル×マネージャーのハーレム物。
※タイトル変更中
ー ー ー ー ー
あらすじ
子役時代に一世を風靡した風間直(かざまなお)は現在、人気アイドルグループに所属していた。
しかし身に覚えのないスキャンダルで落ちぶれていた直は、ある日事故でマンションの11階から落ちてしまう。
そして何故かアイドルグループに所属する直前まで時間が戻った直は、あんな人生はもう嫌だと芸能界をやめる事にしたのだった。
月日が経ち大学生になった直は突然弟に拉致られ、弟の所属するアイドルグループ(直が元いたグループ)のマネージャーにされてしまう。
そしてやり直す前の世界で嫌われていた直は、弟だけでなくメンバーにも何故か溺愛されるのだった。
しかしマネージャーとして芸能界に戻って来てしまった直は、スキャンダル地獄に再び陥らないかという不安があった。
そんな中、直を嵌めた人間がメンバーの中にいるかもしれない事を知ってしまい───。
ー ー ー ー ー
直のお相手になるアイドルグループには
クール、オレ様、ワンコ、根暗がいます。
ハーレムでイチャイチャ、チュッチュとほんのりとした謎を楽しんでもらえば良いと思ってます。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる