Lara

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告白

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「それで、何の用なんだ…………?」

ついに来た。

俺はカップをテーブルに置いて姿勢を正す。そして一回深呼吸をした。

「椿が…何を抱えているのか、知りたいからだ」

普通は踏み込まないだろうがな―――

「だが、きくんだ。お前がどんな思いをして、どんな状況に身を置いているのか」
「…………」

口をうっすらと開けて俺を見つめる。何を考えているのか、わからない。

「だから、教えてくれないか。なにか、助けになれるかもしれない」

どうしてこんなに胸が痛むのだろうか。昼間も椿のことばかり気になって仕事もうまくできなかった。その答えを求めるためにも俺は椿にきく。

「たすけなんて…………なれるわけない」

返ってきたのは絶望と諦念に打ちひしがれた感情だった。力なく、零れたかのように出てきた言葉は椿の置かれた状況を痛いほど示していた。

それでもじっと見つめていると目が合い、椿は動揺したように体を揺らして目を下げた。

「…………わかったよ、教えてあげる。どうせ知っても意味ないものだと思うけどな…………」

そうやって語られたのは彼の異常性を示すもの。

「俺は、教団…………【白の祝福】にいたんだ…………それ以前の記憶はない。捨てたから…………」

捨てたとはなんだ、疑問に思ったがそれはひとまず置いておくことにした。
椿はあまり減っていないコーヒーを見たまま口を開く。

「俺は…な、そこで【白】をやっていたんだよ…………かいちょうはさ、この世ならざる者って、信じてるか……?」

その問いかけに俺はしばし腕を組んで考える。この世ならざる者…………

「信じてる…………と言えば嘘になっていただろう。だが、今は…………」

と、椿を見ると意外にしっかりと頷いた。

「いるんだよ…………特に、会長の家系は身近だな…」
「なぜ?」
「その会長の名前…龍って、名乗るのを許されているんだろ…………?しかも、わざわざお前の父親の夢にまで出てな」

…………神龍か。その存在を信じることができたのもあの合宿の肝試しの時からだった。それまでは、神龍について聞かされたりしたが御伽噺の域を出なかったから信じることもなかった。

「俺も、そのたぐいなんだよ。まあ、その役割から逃げたならず者だけどな」

皮肉気に言うが、その役割が今の椿を追い詰めている一因だろう。なぜだか、彼に雁字搦めに巻き付く白い鎖が見えた気がした。

「役割は…………」




―――ひトごロシ




「この世に巣食う害虫どもを潰し、花に昇華させ、浄化する。そうして世界を白く、清く変えて浄化するんだ」


だから、ごめんな…………人殺しがこんな近くにいて怖いだろ?

そう、震えた声を出して無理矢理笑う。


―――助けて


そんな声が聞えた―――――――――



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