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最終章 白神編 薄氷の上
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「っ、っ…………!!」
目が覚めると、まだ少し、こう、気持ち良くなって射精感と共に崩れ落ちた。え、まじ?
「ぁ、ああ゛…………喉は、治って来たかな、まだ少し違和感があるが」
んんっ、とりあえずこの快感も収まれ。望んでもいない力だったが、使って体の調子を戻す。寝る前もすぐにこれを使えばよかったんじゃないか…………?
まあ、それは気にしてもしょうがない。とりあえず今は…………五時か。なら時間は大丈夫だな、というか寝すぎじゃねぇか?十二時間以上寝てるぞ?
立ち上がろうと動いたら下着の中が気持ち悪かった。そういえば、昨日のあれから洗ってねぇんだよな…………着替えるか。どのみち今の時間じゃ町に降りても意味ねぇし。
人格が交ざりあって快感を感じたのは何故か、前に一か月間別人格を育てて、受け入れてと遊ん…………実験したときに考えた。
当っているかはわからない。ただの人間の人格についてもわからないことばかりなのに、この力とかが絡まっている時点でわかったらやばい。
だからこれは推測だ。
人間の精神構造は俺にはもうわからないが、今の俺は人格と力が大いに関わっている。力が人格に影響し、歪ませているのだ。力を持つ者のあるべき形へと、嫌でも、変えられていく。
そして、力は身体とも密接に関わっている。
急速に人格が交ざりあうのは本来在り得ないこと。人格に深くかかわっていた力は人格を歪ませるが、時に歪ませられることがある。というか、歪みを伝えるというかな。
それが身体に伝わって快感に成り代わったという感じだろう。なんでそこで快楽なんだって思うけど、この力が十分に流れるようになってから痛みが感じねぇんだよな。おかげで手首を包丁で中までぶっ刺しても痛くねぇし。まあ、それでもやめねぇけど。落ち着くし。
それで、どこぞの道から仕入れた情報だが、人格とかそういうの交ざるとすっげぇ痛ぇんだと。そりゃあもう、廃人になりかけるほどの痛みが。
俺の場合、それがカットされたから痛み以下のものを受け入れてああなったんじゃねぇか?
それなら痛いままでよかったんだが。廃人云々言うより精神はとっくに壊れてるしな。力が関わっている分余計質が悪い。
「はぁ…………とりあえず、あのことはもう思い出さないでおこう。それがいい」
きっと今の俺は死んだ魚の目をしているだろう。
俺はあの後何もすることがないし、BL小説とかも読む気になれなかったからそのまま仕事をやりに生徒会室に来ていた。そして今日の分は終わらせて、持参していたカッターで腕をザクザクと切り裂いているところだった。
痛くもなんともねぇからなこれ。どうにかして実感できるようにならねぇかな、どうにもすっきりできずに胸の内に澱んだものが沈殿していく。
さて、そろそろやめて、どこかへ行くか。まだ早い時間だけどあいつらのことだしいつ来るかわからねぇから―――
ガチャ
―――あー、タヒね。
「…………っ、椿……って、またやってんのか!…白い?」
なんでこう、ここぞとばかりにやってくるのかねぇ。
腕にぶっ刺さってるカッターを見て怒鳴った会長だったが流れ出る血の色を見て戸惑う。…………もう既に俺の血の色は白くなっていたからだ。何故か肌の色は変わってねぇんだけどな。不思議と。
でも、また会長に見つかったな。あの頃は立派に情緒がぐちゃぐちゃになってたっけ、ははは、今の俺は全く崩れてないけどな。元から壊れている状態だし、全然やべぇとか、見つかってしまった、とかの感情を感じねぇ。
ああ、冷たく感じたのは身体だけじゃねぇな。心も冷えてるわ。
「ああ、会長、そうだよ白いんだ。だって俺は&()'%"―――――白だからな」
「お前は、何を言ってるんだ…………」
目線を腕にぶっ刺さったままのカッターに固定する。どうしてだろう、彼を見ることができない。
「ははっ、びっくりだろう?こんな化け物みたいに血の色が白いなんて、ヘモグロビンは何処に行ったんだって感じだろう?」
何で俺はこんな口を動かしてるんだ?言い訳みたいに。話しかけるなって言ったのは俺なのに。
カッターを抜くと新たに血があふれ出てきた。会長が眉を顰めたような気がした。
腕に包帯を巻きつけてバンドを着ける。下に敷いていたタオルを乱暴にバッグの中に押し込んで立ち上がった。
「それじゃあ俺はもう行くから。じゃあな」
俺は目も合わせずに俯いて会長の横を通る。
「っ、椿ッ!」
「―――!!?」
が、それも叶わずに腕を強く掴まれた。
「なんだよ」
なんだよ
みっともなく目の前が滲む。それを認めたくなくて、会長から顔だけ背ける。
目が覚めると、まだ少し、こう、気持ち良くなって射精感と共に崩れ落ちた。え、まじ?
「ぁ、ああ゛…………喉は、治って来たかな、まだ少し違和感があるが」
んんっ、とりあえずこの快感も収まれ。望んでもいない力だったが、使って体の調子を戻す。寝る前もすぐにこれを使えばよかったんじゃないか…………?
まあ、それは気にしてもしょうがない。とりあえず今は…………五時か。なら時間は大丈夫だな、というか寝すぎじゃねぇか?十二時間以上寝てるぞ?
立ち上がろうと動いたら下着の中が気持ち悪かった。そういえば、昨日のあれから洗ってねぇんだよな…………着替えるか。どのみち今の時間じゃ町に降りても意味ねぇし。
人格が交ざりあって快感を感じたのは何故か、前に一か月間別人格を育てて、受け入れてと遊ん…………実験したときに考えた。
当っているかはわからない。ただの人間の人格についてもわからないことばかりなのに、この力とかが絡まっている時点でわかったらやばい。
だからこれは推測だ。
人間の精神構造は俺にはもうわからないが、今の俺は人格と力が大いに関わっている。力が人格に影響し、歪ませているのだ。力を持つ者のあるべき形へと、嫌でも、変えられていく。
そして、力は身体とも密接に関わっている。
急速に人格が交ざりあうのは本来在り得ないこと。人格に深くかかわっていた力は人格を歪ませるが、時に歪ませられることがある。というか、歪みを伝えるというかな。
それが身体に伝わって快感に成り代わったという感じだろう。なんでそこで快楽なんだって思うけど、この力が十分に流れるようになってから痛みが感じねぇんだよな。おかげで手首を包丁で中までぶっ刺しても痛くねぇし。まあ、それでもやめねぇけど。落ち着くし。
それで、どこぞの道から仕入れた情報だが、人格とかそういうの交ざるとすっげぇ痛ぇんだと。そりゃあもう、廃人になりかけるほどの痛みが。
俺の場合、それがカットされたから痛み以下のものを受け入れてああなったんじゃねぇか?
それなら痛いままでよかったんだが。廃人云々言うより精神はとっくに壊れてるしな。力が関わっている分余計質が悪い。
「はぁ…………とりあえず、あのことはもう思い出さないでおこう。それがいい」
きっと今の俺は死んだ魚の目をしているだろう。
俺はあの後何もすることがないし、BL小説とかも読む気になれなかったからそのまま仕事をやりに生徒会室に来ていた。そして今日の分は終わらせて、持参していたカッターで腕をザクザクと切り裂いているところだった。
痛くもなんともねぇからなこれ。どうにかして実感できるようにならねぇかな、どうにもすっきりできずに胸の内に澱んだものが沈殿していく。
さて、そろそろやめて、どこかへ行くか。まだ早い時間だけどあいつらのことだしいつ来るかわからねぇから―――
ガチャ
―――あー、タヒね。
「…………っ、椿……って、またやってんのか!…白い?」
なんでこう、ここぞとばかりにやってくるのかねぇ。
腕にぶっ刺さってるカッターを見て怒鳴った会長だったが流れ出る血の色を見て戸惑う。…………もう既に俺の血の色は白くなっていたからだ。何故か肌の色は変わってねぇんだけどな。不思議と。
でも、また会長に見つかったな。あの頃は立派に情緒がぐちゃぐちゃになってたっけ、ははは、今の俺は全く崩れてないけどな。元から壊れている状態だし、全然やべぇとか、見つかってしまった、とかの感情を感じねぇ。
ああ、冷たく感じたのは身体だけじゃねぇな。心も冷えてるわ。
「ああ、会長、そうだよ白いんだ。だって俺は&()'%"―――――白だからな」
「お前は、何を言ってるんだ…………」
目線を腕にぶっ刺さったままのカッターに固定する。どうしてだろう、彼を見ることができない。
「ははっ、びっくりだろう?こんな化け物みたいに血の色が白いなんて、ヘモグロビンは何処に行ったんだって感じだろう?」
何で俺はこんな口を動かしてるんだ?言い訳みたいに。話しかけるなって言ったのは俺なのに。
カッターを抜くと新たに血があふれ出てきた。会長が眉を顰めたような気がした。
腕に包帯を巻きつけてバンドを着ける。下に敷いていたタオルを乱暴にバッグの中に押し込んで立ち上がった。
「それじゃあ俺はもう行くから。じゃあな」
俺は目も合わせずに俯いて会長の横を通る。
「っ、椿ッ!」
「―――!!?」
が、それも叶わずに腕を強く掴まれた。
「なんだよ」
なんだよ
みっともなく目の前が滲む。それを認めたくなくて、会長から顔だけ背ける。
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