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れっつとらい星光祭!
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ついに学園祭がやって来た。ここのところ多忙に多忙を重ねてようやく昨日疲れたままで学園祭を迎えても楽しめないだろうってことで休んだ。もう萌え漁りもする気力も無く、一日中寝てたよ。あれ?飯って食ったっけ…………?
ま、まあいいや。今日朝飯食ったし、今まで気づいてないことから大丈夫だろう。
『それでは、星光祭を開始します。ルールをしっかりと守り、楽しみましょう』
今の放送は副会長。わざわざ開会式など開くのも面倒なので放送で終わらした。まあ、注意事項とかごく基本的なことしか言っていないから別にいいけどな。
学園祭は全三日。一日目は学園関係者のみ。二日目は家族、護衛のみに限って開放。三日目はまた戻って学園関係者のみとなる。
「準備はいいか?」
「ばっちり」
「ああ」
「「おっけーだよー!」」
会長の問いかけに返す。俺たちは全員執事服を着ていた。会長は少し着崩した感じに、ワンコは蝶ネクタイをつけて、双子はベスト姿で。俺?ホストみたいにひらひらとしたシャツのボタンを開けていつもとは違う前髪を上げたような髪型にしている。なんで俺ホスト先生みたいな格好にならなきゃいけねぇんだ?執事って…………なんだろ…………
「じゃあ、開けるぞ」
「おう」
服装よし、室内の飾りつけよし、設備よし!扉に手を当てて押し出すと既に扉の前では並んでいる生徒たちがいた。普段はこの生徒会専用の階には来れないのだが、学園祭の特例で公開している。
俺は姿には合わないが左手を前にして腹部に当て、右手は後ろに回して礼をする。重心の移動、指先から髪の一本一本まで意識して動く。
「只今より、生徒会主催、執事喫茶を開店いたします。ご主人様、それでは中へどうぞ」
言い切ると一瞬の静寂の後に歓声が広がった。どうやら何時にない俺の振る舞いに興奮したらしい。執事なんて見飽きるほどに見てきた彼らだが生徒会に羨望や恋慕を送っていた彼らにとっては俺たちがフリだけでも仕える立場になったのは新鮮らしい。中に入った後でもきゃーきゃー話し合っている姿をしばしば見かけられた。
俺は裏に回って入ってきた注文に応える。このメニューのなかには会長たちの食べたいスイーツも入っている。全体的にスイーツの割合が多くなっているのは偶然ではないだろう。
みんな甘党だからなー
と考えながらスポンジにクリームをきれいに盛り付けていると厨房に入ってきた副会長が呆れた声を出した。
「よく、その量を並行して捌けますね」
「おっ、帰ってきたのか。あー、これは慣れだな」
「慣れって……慣れで済ませられる量ではないと思うのですが…?」
「そうか…………?」
ちなみに副会長の執事姿は正統派である。王子様みたいな甘いマスクにあっている。
ま、まあいいや。今日朝飯食ったし、今まで気づいてないことから大丈夫だろう。
『それでは、星光祭を開始します。ルールをしっかりと守り、楽しみましょう』
今の放送は副会長。わざわざ開会式など開くのも面倒なので放送で終わらした。まあ、注意事項とかごく基本的なことしか言っていないから別にいいけどな。
学園祭は全三日。一日目は学園関係者のみ。二日目は家族、護衛のみに限って開放。三日目はまた戻って学園関係者のみとなる。
「準備はいいか?」
「ばっちり」
「ああ」
「「おっけーだよー!」」
会長の問いかけに返す。俺たちは全員執事服を着ていた。会長は少し着崩した感じに、ワンコは蝶ネクタイをつけて、双子はベスト姿で。俺?ホストみたいにひらひらとしたシャツのボタンを開けていつもとは違う前髪を上げたような髪型にしている。なんで俺ホスト先生みたいな格好にならなきゃいけねぇんだ?執事って…………なんだろ…………
「じゃあ、開けるぞ」
「おう」
服装よし、室内の飾りつけよし、設備よし!扉に手を当てて押し出すと既に扉の前では並んでいる生徒たちがいた。普段はこの生徒会専用の階には来れないのだが、学園祭の特例で公開している。
俺は姿には合わないが左手を前にして腹部に当て、右手は後ろに回して礼をする。重心の移動、指先から髪の一本一本まで意識して動く。
「只今より、生徒会主催、執事喫茶を開店いたします。ご主人様、それでは中へどうぞ」
言い切ると一瞬の静寂の後に歓声が広がった。どうやら何時にない俺の振る舞いに興奮したらしい。執事なんて見飽きるほどに見てきた彼らだが生徒会に羨望や恋慕を送っていた彼らにとっては俺たちがフリだけでも仕える立場になったのは新鮮らしい。中に入った後でもきゃーきゃー話し合っている姿をしばしば見かけられた。
俺は裏に回って入ってきた注文に応える。このメニューのなかには会長たちの食べたいスイーツも入っている。全体的にスイーツの割合が多くなっているのは偶然ではないだろう。
みんな甘党だからなー
と考えながらスポンジにクリームをきれいに盛り付けていると厨房に入ってきた副会長が呆れた声を出した。
「よく、その量を並行して捌けますね」
「おっ、帰ってきたのか。あー、これは慣れだな」
「慣れって……慣れで済ませられる量ではないと思うのですが…?」
「そうか…………?」
ちなみに副会長の執事姿は正統派である。王子様みたいな甘いマスクにあっている。
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