Lara

文字の大きさ
上 下
198 / 280
準備に整備に大忙し~!!

12

しおりを挟む
広げた衣装を見てみると、それは見慣れたものではなく、異国風の衣装だった。あくまでも風、だが。一番近いのはBL小説漁りをしているとたまに見かけるラノベの登場キャラクターの服だろうか。
大体異世界ものだからなー服にしても元になった文化もあるだろうが、色々と混ざっているから結果奇抜なものになったりするんだよな。

と思いつつ制服を脱いで渡された衣装を着ていく。それは白く滑らかで肌触りが良い。ぴっちりとした膝下までの長さの上衣には腰の部分からスリットが入っている。その下には八分丈のゆったりとした黒いズボン。そして上からショールを被る。後は…長細い布があるが何処に着ければいいのかわからなかった。とりあえず手袋を着けるか。

鏡を見てみると…………うん、まあまあかな。まだ彼らの横にアクセサリーらしきものが置いてあったからこれから“飾り付け”を行うのだろう。

部屋を出るとパッと目を輝かせたファッション部の子たちとうんざりした顔で椅子に座っているホストとうきうきした顔で宝石を手に取っている宝石狂がいた。

どうやらホストの飾りつけは終わったらしい。金キラしてる。…………成金?
いやまあ、それは言葉が悪いか。彼は金細工で象ったアクセサリーを多々身に着けていた。服は…王族?まあ、いっか。

「おお…………着れましたか。…それは?」
「あ~、これ~?何処に着けるものなのかぁわからなかったからさ~」
「そうですか。それはショールの下で首から前に下げるものです。ほら、貸してください」

宝石狂に布を手渡してショールを一旦脱ぐと彼は腕を伸ばして俺の首に布を取り付けた。

「いい感じですね。ほらどうですか皆さん」

宝石狂がファッション部の子たちに問いかけると肯定し口々に褒めだした。俺はこう…白が多い服だから落ち着かない。出来るだけ服が視界の中に入らないようにしていた。

俺のその様子に気づかないまま宝石狂はアクセサリーを手に取る。いろいろとあるな…………

「それではこれとこれを腕に、このチョーカーは首に」
「はいは~い」
「あ、靴と靴下は脱いでくださいね」
「え゛ッ」

虚を突かれて濁った声が出てきたが大人しく靴と靴下を脱いだ。するとこれを足に通せと靴下に似た形状のものを渡されたので履く。手首にリングを取り付け、チョーカーを身に着ける。けっこう豪華だな。

それから足首、ショール、ショールの下と飾りをつける。耳飾りだけは持ってきた馬鹿…義父に貰ったオニキスのイヤリングにしてもらった。そこでファッション部の子たちが俺の前に出てきた。

「お化粧と、髪を…………」

断る理由もないので許可する。というか宝石狂のご意向なら従うしかないな。よっぽどのものではない限り。

椅子に座り、目をつぶって顔の表面を走る感覚を追い続ける。けど頭に触れる手の感触に鬘が外れないかひやひやしていた。

「…………できました」
「こっちも、できましたよ」
「どうぞ、鏡です」

目を開けて目の前に出された鏡を受け取るとそこにはすっかり変わった俺が現れた。

「これは…すごいね~」

危ない危ない。危うく口調が崩れたままでしゃべるところだった。あ、ベールが側頭部についてる。
完成したのを感じ取ったのか部屋の向こうで会話していた宝石狂とホストがやって来て目を見開いた。

「うわ…………すげぇな。これ他の生徒たちに見せたら絶対騒ぎ出すぞ」
「すごい、ですね…ここまでとは、これは売りに出せますね」

おい、今売りに出せるとか何とか言ってなかったか!?

「よろしければですが…………」

説明されたのはこうだ、学園祭ではクラスも部活も生徒会も委員会も何か出し物を出す。そこに風紀も逃れることはない。だが見回りをするので少人数でできるものを出すのだ。だからこの宝石狂が風紀の顧問になったのは去年。去年から数々の宝石で彩られた少年たちの写真を売りに出していた。これかー……

まあ、いっか。別に俺の写真なんてしょっちゅう生徒間で出回っているからな。ちゃんと許可されたものから盗撮まで…………だからこれくらいで嫌がることはない。だけどな

「モデル代くらいは頂戴ね~?売り物にするならさ~」

タダで金を手に入れようと思うんじゃねぇよ?あ、許可されたものは売りに出すなら二割貰うという契約を交わし、盗撮には親衛隊諸君が取り立ててしっかりと貰っている。

しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

もういいや

ちゃんちゃん
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが…… まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん! しかも男子校かよ……… ーーーーーーーー 亀更新です☆期待しないでください☆

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

処理中です...