証

崩壊の訪れと次への兆し

１７

その理事長はその後は何故か声が引きつっていたけど、どうしたんだろうなぁ？

とにかく、そういうことだ。

「よぉ～し！できた～！」

作った料理をカートに乗せて持っていく。

「いえ～い！会長た・ち・～！ご飯で来たよ～！」
「……椿！助かっ…た……」
「……」

実は、少し前からワンコが来たのはわかっていた。さっき教えたしな。
それで、二人ともどうすればいいのかわからなくなって気まずい雰囲気だったのも知ってる。できれば、このまま話し合ってほしかったんだがな。まだ、こいつらでは無理だったようだ。
ところで、今何も言わなくなったんだがどうしたんだ？

「かいちょ～たち、そんな黙ってどうしたの～？」
「椿、それ、なんだ？」
「え～？なにって……鯛の姿造りだけど～？」
「……つ、ばき…それ、つく…った？」
「そうだよ～！どうせだからパーッとやろうと思って作ったんだ～夜はね～鯛の煮つけだよん。」
「こいつ……ほんとどうなってるんだ……」
「椿だか、ら……しか、た……ない。」

なんか呆れたかのような目で見られているような気がするんだけど……やるのか？アアん？

「で、会長達は～ちゃんと話せたの～？」
「それ…は……」
「……」
「はぁ～もう、何のために二人っきりにさせたと思ってんのさ～」
「！つ、…き、おれ、が…来た…気づ…」
「いや～わんわんなら来るでしょ？責任感も強いし～」
「椿……！」

うわーもの凄くきらきらした目で見つめてくる。イケメンだから200割増しで眩しい。

「で、どうすんの～？このまま気まずいままは良くないでしょ～？」
「だ、だが、どうしたらいいのか…」
「……う」
「…甘ったれたこと言ってんじゃねぇぞ。」
「なっ!!?」
「ここまでお膳立てされて、どうしたらいいなんて甘ったれたことを言ってんじゃねぇぞって言ってんだよ！」
「…ッ」
「テメーもいい加減にしろ！うだうだうだうだ、もじもじしやがって、話すのが下手がなんだ、怖いってか？男なら度胸を見せろやオラ！」

あー、駄目だ駄目だ。ついてねえ、イライラしすぎて思わず素でしゃべっちまった。はぁ…
だが、俺の言葉を聞いた二人は覚悟を決めた顔をして向き合う。

「そう…だな。薙刀、お前は何故成香のところにいたんだ？」
「え…」
「少し、考えてみたんだ。お前のことを、椿が薙刀が仕事に復帰するって言ってきて。」
「…」
「薙刀が大きな音が苦手なのは知っている。だが、どうしてかお前は声の大きい成香の傍にいるのか」
「かい、ちょ―――」

「俺たちに、成香を近づかせないためだな？」

「…――っ」
「思い返してみると俺たちに近づいてきたあいつの気を逸らしているように思う。」