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Lost Memories Ⅱ
I want you to love me.
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真っ赤な夕焼けが空を覆う。
「さあ、○○帰りましょ。」
「うん!」
「今日は楽しかったか?」
「楽しかった!メリーゴーランドでくるくるしたの!」
「そうかそうか。それはよかった。」
手をつないで歩く三人の家族。どうやら遊園地から帰ってきたようだ。
空ではカーカーと烏が飛んで、電線にとまった。
【 あいして 】
子供はよほど機嫌がいいのか繋いだ両手をブンブンと振っている。
「おかーさん、今日の夜ご飯はなーにー?」
「ふふ、なんだろうね」
子供の問いに母親は問い返す。
「んーオムレツ!」
「ぶぶー違います」
残念ながら子供の答えは違ったようだ
【 あいし 】
「わかったぞ!ホッケに枝豆、焼き鳥だ!」
「それはあなたが飲みたいだけじゃない!」
「あっはっはっは!」
大人とはこうもくだらない。
【 あ 】
「ったく…で、○○わかった?」
「うーわかんない…」
「うふふふ…今日は○○のだーい好きな、ハンバーグです!」
【 あい あいしsssss 】
「やったー!」
「よかったじゃないか」
「うん!おかーさんだーい好き!」
【 い し あい あい あい 】
「うふふ、私も○○のことが大好きよ、愛してるのだもの。」
「おい、それなら俺にも負けないぞ!俺だって○○のこと愛してるぞ!」
「あら、私に勝るとでも?」
「ああ、もちろん!」
「…いいえ、私のほうが愛してるわ」
【 して し shi? 】
どうやら親バカのようでどっちの愛情が大きいのか競い始める
「もーこんなところでそんなこと争わないでよー!それだって僕のほうがおとーさんとおかーさんを愛してるもん!」
【 】
「そう!」
「うれしいこと言うな~このこの~」
「も、もう!やめてよ!周りの人が見てるじゃない…か…」
赤く染まった街並みには気づけば人っ子一人いなくなっていて、周りを見渡した子供はその異様な光景に何も言えなくなっていた。
「あなた…なにこれ…いつもは数人人がいるのに…」
「誰もいねえ…なんだよこれ…おい、いそいで帰るぞ!なんかおかしい!」
「うん!」
と、三人が駆けだそうとしたとき
「我らが神の祝福を」
「「「我らが神の祝福を」」」
周りに白い、全身真っ白な服を着た人々が現れ三人を囲った
「な、なんだ!」
「「「神に望め、神は答えてくださる」」」
「俺らを囲んで何をする気だ!」
「「「神は求めていらっしゃる、世界の救いを」」」
「こいつら、頭おかしいんじゃないか…」
「「「神は与えてくださる、我らに偉大な愛を」」」
全くかみ合わない会話いや、会話とも言えない一方的な言葉の投げかけ
「あなた…逃げましょう、この子が怯えているわ…」
「おとーさん…」
抑揚のない言葉の羅列はとても聞く人にとっては不気味で
「「「我らが神に忠誠を」」」
ザッ ザッ ザッ
「「「我らが神に誓いを」」」
白服たちが一歩一歩近づいてきて
「「「世界に救いを」」」
「…っ、走るぞ!どけっ!!」
三人は周りから逃げようとするがそれもかなわず
「「「世界を照いし神にすべてをかけましょう」」」
「うあっ!おとーさっ!!」
「やめてっ!離してっ!」
「離せっ!このっ!」
「我らが神に…捧げよ」
白服の一人がなにか尖った鋭いものを取り出す
杭だ、白い白い杭だ
それを子供の父親の胸に突き立て、刺す
「ぐふっ…っぁ…?」
「あ…え…?」
「あ、あ、いやぁぁぁぁぁ!!!」
「捧げよ」
父親の胸が赤黒く染まる。目から光が消える。体が一瞬痙攣して、崩れ落ちる。そして子の目に赤が焼きついて
「いやっ!いやっ!離して!あなたっ、あなたっ!」
「捧げよ」
「あっ…ああ……」
やがて母親の胸にも突き刺さる。子供の頭ではそのことに理解しきれなくて
「おとーさん?おかーさん?赤い…なんで?なんで寝てるの?だめだよふたりとも、風邪ひいちゃうよ。いつも言ってたじゃ…」
「「「捧げよ」」」
こどもの目は白い布で覆い隠され、どこかに運ばれる。ただ、子供の脳裏には夕焼けとは言い切れない赤が張り付いていて、それに追いついてしまったとき
これは、失った記憶。長い長いその後に訪れた地獄に不要と切り捨てられたもの。故に、残らない。その子供への愛は、確かにあった愛と犠牲が
【 ねえ 】
【 愛 し て く れ る ? 】
残らない
……―――
「さあ、○○帰りましょ。」
「うん!」
「今日は楽しかったか?」
「楽しかった!メリーゴーランドでくるくるしたの!」
「そうかそうか。それはよかった。」
手をつないで歩く三人の家族。どうやら遊園地から帰ってきたようだ。
空ではカーカーと烏が飛んで、電線にとまった。
【 あいして 】
子供はよほど機嫌がいいのか繋いだ両手をブンブンと振っている。
「おかーさん、今日の夜ご飯はなーにー?」
「ふふ、なんだろうね」
子供の問いに母親は問い返す。
「んーオムレツ!」
「ぶぶー違います」
残念ながら子供の答えは違ったようだ
【 あいし 】
「わかったぞ!ホッケに枝豆、焼き鳥だ!」
「それはあなたが飲みたいだけじゃない!」
「あっはっはっは!」
大人とはこうもくだらない。
【 あ 】
「ったく…で、○○わかった?」
「うーわかんない…」
「うふふふ…今日は○○のだーい好きな、ハンバーグです!」
【 あい あいしsssss 】
「やったー!」
「よかったじゃないか」
「うん!おかーさんだーい好き!」
【 い し あい あい あい 】
「うふふ、私も○○のことが大好きよ、愛してるのだもの。」
「おい、それなら俺にも負けないぞ!俺だって○○のこと愛してるぞ!」
「あら、私に勝るとでも?」
「ああ、もちろん!」
「…いいえ、私のほうが愛してるわ」
【 して し shi? 】
どうやら親バカのようでどっちの愛情が大きいのか競い始める
「もーこんなところでそんなこと争わないでよー!それだって僕のほうがおとーさんとおかーさんを愛してるもん!」
【 】
「そう!」
「うれしいこと言うな~このこの~」
「も、もう!やめてよ!周りの人が見てるじゃない…か…」
赤く染まった街並みには気づけば人っ子一人いなくなっていて、周りを見渡した子供はその異様な光景に何も言えなくなっていた。
「あなた…なにこれ…いつもは数人人がいるのに…」
「誰もいねえ…なんだよこれ…おい、いそいで帰るぞ!なんかおかしい!」
「うん!」
と、三人が駆けだそうとしたとき
「我らが神の祝福を」
「「「我らが神の祝福を」」」
周りに白い、全身真っ白な服を着た人々が現れ三人を囲った
「な、なんだ!」
「「「神に望め、神は答えてくださる」」」
「俺らを囲んで何をする気だ!」
「「「神は求めていらっしゃる、世界の救いを」」」
「こいつら、頭おかしいんじゃないか…」
「「「神は与えてくださる、我らに偉大な愛を」」」
全くかみ合わない会話いや、会話とも言えない一方的な言葉の投げかけ
「あなた…逃げましょう、この子が怯えているわ…」
「おとーさん…」
抑揚のない言葉の羅列はとても聞く人にとっては不気味で
「「「我らが神に忠誠を」」」
ザッ ザッ ザッ
「「「我らが神に誓いを」」」
白服たちが一歩一歩近づいてきて
「「「世界に救いを」」」
「…っ、走るぞ!どけっ!!」
三人は周りから逃げようとするがそれもかなわず
「「「世界を照いし神にすべてをかけましょう」」」
「うあっ!おとーさっ!!」
「やめてっ!離してっ!」
「離せっ!このっ!」
「我らが神に…捧げよ」
白服の一人がなにか尖った鋭いものを取り出す
杭だ、白い白い杭だ
それを子供の父親の胸に突き立て、刺す
「ぐふっ…っぁ…?」
「あ…え…?」
「あ、あ、いやぁぁぁぁぁ!!!」
「捧げよ」
父親の胸が赤黒く染まる。目から光が消える。体が一瞬痙攣して、崩れ落ちる。そして子の目に赤が焼きついて
「いやっ!いやっ!離して!あなたっ、あなたっ!」
「捧げよ」
「あっ…ああ……」
やがて母親の胸にも突き刺さる。子供の頭ではそのことに理解しきれなくて
「おとーさん?おかーさん?赤い…なんで?なんで寝てるの?だめだよふたりとも、風邪ひいちゃうよ。いつも言ってたじゃ…」
「「「捧げよ」」」
こどもの目は白い布で覆い隠され、どこかに運ばれる。ただ、子供の脳裏には夕焼けとは言い切れない赤が張り付いていて、それに追いついてしまったとき
これは、失った記憶。長い長いその後に訪れた地獄に不要と切り捨てられたもの。故に、残らない。その子供への愛は、確かにあった愛と犠牲が
【 ねえ 】
【 愛 し て く れ る ? 】
残らない
……―――
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