証

NEXT！食堂イベント

３

「…ん……」
「んおっ!!!!誰だ!!」

あらま、次はわんこが挑戦するのか。俺の背後から出てきて王道クンの前に立った。うーんあまりわんこは王道クンに懐かないといいなー。俺の癒しだし…

「や、雲……き…………し…き………よ………し」
「薙刀って言うんだなっ！よろしくなっ!!!」
「！お……いう……………わ、か……る？」
「ん？たり前だろ？!!何言ってんだ!!!!」
「お、れ…………律の…こ、と………す、き!!!!」

絶望

ああ、腐神よなんてことをしてくれたんだ。我らが癒しのわんこが王道クンに懐いてしまった。どうしてくれるんだ。この王道通りに進んでいるのが喜ばしい思いと、わんこが王道クンに夢中になってしまう寂しさがせめぎ合って俺のLifeがもうゼロだ。

見てみろ、副会長や双子に続いてワンコが王道クン好き好き宣言！みんなの口から魂が出ているほどだ。ほら「そんな、書記様まで…この世の終わりだ…せめてあのもじゃもじゃを抹殺しないと…」…ちょっとまてそれはダメだろ。とどまれ。

そして腐男子たちは違う意味で死屍累々としている。あーあ、真っ赤じゃないか。制服が…もう遅いか、あれはもう汚れ、落ちねえだろ。そして、隣のイケメン男子が腐男子たちを介護する様子がちらほら…ム腐腐…
俺？俺はもちろんケチャップなど出してないぞ。出したらそれだけで会計として終わる。そして腐男子だって気づかれる。そして更なる妄想の犠牲にっ!?絶対これ以上の被害を受けるもんか。俺はみんなを騙して欺いて、王道イベントを見守るんだ！騙すことの罪悪感？…はっ(嘲笑)、そんなもの……


　――――――――…………。


まあ、いいか。別に今はそんなこと関係ねえし。と、ここまで考えていたところで、そろそろ逝くか。あの大声の真正面に。絶対耳が痛くなるよな…耳栓外さないでつけておこうか…いや、何が起こるかわからない。外しておこう。というか、わんこは大きな音とか苦手なのにどうして王道クンのところへ行ったんだろうか…んー王道だからいっか。

「んんー？ほんと、珍し～ね！双子ちゃんとわんわんを手懐けるなんて～もじゃらこの癖にぃ～」
「…きれー……って!!!俺はもじゃ…なんとかじゃないぞっ!!!成香 律って名前がちゃんとあるんだ!!!律って呼べよ!!!」

ん？なんか、きれーって言葉がキコエタヨウナ……気のせいだ、きっと。うん、変なフラグらしきものは立ってない！そう！絶対に！

「あはー、ごめんねぇ～？律、律だねぇ～分かったぁー」
「おうっ！ところで、お前の名前はなんだっ!!!?」
「僕ぅ～？神崎 椿っていうんだよぉ～？ちなみに会計を担当してるんだー」
「そうか！椿っていうんだな！よろしくな!!!」

と、王道クンが俺に近づこうとして…

「だめです律、それ以上近づいてはいけませんよ。孕んでしまいます。椿は誰でも構わず抱きまくる下半身ユルユルなんです。律が穢れてしまいます。」

王道クンに抱き着いてそう言った。

いや、えー、俺そんな風に思われてたのかよ。地味に心に刺さる。一年弱同じ生徒会にいたのだが、そんな素振り少しも見せなかっただろ。王道だからっていえばそれで片付いてしまうと思うが、チャラ男＝下半身緩いっていう式になるのもどうなんだ？どこまでピンク色に頭が占拠されているんだ？


……そこまで、俺は信用がなかったのか？