キラワレモノノ学園

Lara

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九月五日 1

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うっすらとしか明かりをつけていない部屋で咲弥は黒い服を身に着け、同じように黒い狐面を装着した。

「………フッ」

コンタクトを外した瞳の色は金色。それが狐面の下から覗いていた。

長い髪はいつもとは違い、後ろに流している。これは気分によってその日の髪形を変えている。

抜けが無いか、一度鏡で確認する。

こうして見ると、全身真っ黒だ。狐面の塗料の色ぐらいしか他の色がない。

「………さて、行くとするか」

不気味に光る金色の瞳を夜闇に向け、歩き出す。向かうは秘密の経路。代々生徒会が人知れずに抜け出すために引き継いだ場所だ。役職によって経路も別々であるため、それぞれかち合う心配はない。

コツコツとブーツの固い音が響く。

今日はやけに静かである。人の騒めきも、気配もない。

ふと、彼は顔を上げた。

「……あいつらは、もう行ったのか」

―――俺も急ぐとしよう

いつまでも待たせると灰色のやつが煩いからなと考える。あれはハイテンションだからこそ小言も五月蠅い。

外に出ると、そこは前に黄桜と話をしたガゼボだった。

彼はそのまままっすぐ歩いて目的の地へと向かう。その道中に少々小蝿が五月蠅かったが叩いて潰すと静かになった。

特別棟に入り、白のやつが借りた部屋に入る。そこには二人の狐面を被った男がいた。

「来たぞ」
「あー!やっと来た!」
「遅いぞ、途中でやられたりしてなかったか心配していたところだ」
「少々小蝿が五月蠅かったから潰しただけだ」

元気に喚くのは灰色の服を着た、灰色の狐面を被った小柄な少年だ。その手には暇つぶしの為かゲーム機が握られていた。灰狐と呼ばれている。
次に机に腰掛け、待ちくたびれていたと言いたげな男。彼は白い服に白い狐面を被った長身の男である。こちらは白狐と呼ばれていた。

「で、今夜はどうする予定だ?」
「………最近ストレスが溜まっているからな、一思いに二大に喧嘩を吹っ掛ける」
「うっわ、面白そうだね!」

二大とは、この夜の学園で大きく組織された二つの組織を呼んでいる。それぞれ、トップは学園の有名人が張っており、厄介さも一塩だ。

「フン、余程溜まっているようだな?黒よ」
「当たり前だ。あんな毬藻……目障りすぎて誰かに燃やしてほしいぐらいだ」
「自分がやるとは言わないんだな?」
「相手するだけでも面倒そうだ」
「言えてるな」

今日もまた問題を起こしてくれたそいつの名前を呼ぶ価値もないと蔑称で言う黒。冷笑をかます黒に賛同するように白も笑った。
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