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第一章
9.「.....多分。」
しおりを挟む「行きますか。」
朝食を取り終え、マリの目の前に座るリンとジンに声を掛ける。声を掛けられた二人は勢いよく立ち上がり返事をする。
「そんな気負わず気楽にやろう。大変なのは勘弁だ。」
「「はいっ!」」
「分かってない......。」
マリは二人の反応を見て肩を落とす。子供故の無邪気さと諦めそれ以上は何も言わず黙っていた。
「そう言えば二人はギルドには登録してるのか?」
「子供で力量が無さそうと判断されて追い返されて、」
「出来ませんでした。」
「まあ、妥当っちゃ妥当な判断か。危険も付き物だし。」
マリは小声でぼやきながら言ったつもりがリンとジンの二人に聞こえた様で見るからにしょんぼりとしてしまったので慌てて繕う。
「要は力を付ければ良いって事だ。」
誤魔化す様に言ったその言葉で幼い二人には納得させるものだったらしくマリはこっそりと息を吐く。
そんな話をしているとリジンが出てきてニコニコしながらマリに耳打ちする。
「二人の事頼んだよ、マーリさん。」
それに頷く事で答えるとリジンは安心したような表情を浮かべた。出会って数日なのにこれほど信頼されているとなると怪我なく返さねばならないだろうと思うマリであった。
「ちょっと寄りたい所が有るから其処に行ってからでも良いか?」
「「はい!」」
宿を出て今日はギルドに向かわずに外に出ようという話になったがマリは街の外には出ずに教会に向かって歩いて行った。その理由だが自分のこのチート能力の数々の習得のし易さを〝想像の力〟という安易な言葉で片付け、教えても良いか聞こうと思っていた為だった。自由にしていいとは言われても自分の異端な力を露呈させたりするのは良くないので、広めない方が安全に暮らせるのではないかとマリは考えていた。
「二人は此処で。」
教会に入って直ぐの椅子に二人を座らせ待たせ、マリは奥へと歩き呼びかける。
「神様? いますか。」
″......。 どうしたのー? マーリちゃん!″
「止めて下さい、その言い方は。」
″冷たいなー。 段々と君が僕をぞんざいに扱っていく未来が見える気がするよ。″
「そんなこと無いと.......思います、多分。」
″視線を逸らしてそんな事言うと全然説得力無いよ。″
「こんな雑談しに来たわけじゃなかったんだ、そう言えば。私の力は明らかに強すぎると思うんですがやり方、というかきっかけを教えても大丈夫ですか?」
″良いよ。でも、全員が全員、その方法で上手く行くとは限らないよ。″
「え、どういう。教えるなんて考えて無かったから気にしてませんでしたけど。」
″うーん、簡単には説明が難しいんだけどね。この世界での技の概念、考え方を教えて貰ったら僕の言った意味が分かると思うよ。まあ、あの子たち位だったら君の教え方でも習得すると思うけどあまり子供に強大な力は与える事はお勧めしないよ。君の元いた世界よりもこっちは物騒だからね。物騒 がこの世界の普通だから君が慣れるにはまだまだ時間が掛かると思うけどね。″
「要はこの世界の知識が少ないから学んでから行動を起こした方が良いってことですよね。安易な行動はこの世界の情勢を一変しかねないといった処でしょうか。」
″其処まで厳しく言うつもりは無いよ。僕に其処までいう権利は無いからね。″
「話を聞いておいて良かったです。ちょっと浮かれていた気持ちが引き締まった感じがしますし。」
″そう、落ち込まなくてよかったよ。ちょっときつい言い方しちゃったしね。″
「いえ、はっきり言ってくれた方が分かりやすいですし良いです。きつく、押しつけがましく言われるのは嫌いですけど。」
″フフフ、そろそろ出発した方が良さそうだよ? あの子たち飽きてきてるみたいだしね。″
「え? 本当だ。では神様失礼します。」
″うん、行ってらっしゃい。″
マリが踵を返した瞬間にラツリューンの気配が消え失せた感じがしてマリは何となく後ろを見た。特に変わりない神聖な雰囲気、空気に「神様の気配なんて感じられる訳ないよね。」と一人でに納得しリンとジンに声を掛けて街の外に向かう。
″マリ、君にそこまでの力を与えたつもりは無かったんだけど。加護がどうやら強く作用し過ぎてるみたいだ。いつか迎えが来るかもしれない。自由とは程遠い事に巻き込まれちゃうかもしれないね。″
街の外に出てきたマリとリンとジンの3人は森の入口付近の安全な場所で座って話していた。
「そう言えば聞くのを忘れていた私も悪いんだが、何をして強くなりたいんだ?」
「マーリさんの様な、」
「カッコいいの!」
「それはそれで難しいな。」
マリはうーんと唸ってから聞き方を変える。
「そもそも魔法が使いたいのか?」
「「はい!」」
「それじゃあ属性決めようか。」
「「?」」
リンとジンの二人は首を傾げたのでその行動にマリも疑問に思い首を傾げる。
「属性って、」
「何ですか?」
「そこからか。」とちょっと先行きが怪しい事に何度目か分からないがマリは頭を抱えるのだった。
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