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第一章
2.「け、ケモ耳!?」
しおりを挟むふわふわとした感覚がなくなり、目を開けた感覚を感じ取る。
「ん?」
起き上がると広大な草原の中にいた。遠くの景色までよく見える。いつもの癖で鼻辺りに手を持って行ってその手を下に下げる。眼鏡無しでこんなに遠くの景色がきれいに見えるなんてもう無いと思っていた。
「綺麗。今までの嫌なことがどうでもよく感じる程に。」
そう呟いた後違和感を感じて首を傾げる。遠くの山に飛んでいく大きな鳥を眺めながら違和感の正体を突き止める為考え込む。そうして何故、だだっ広い草原に一人でいるのか、どういう経緯だったかを思い出そうとする。
「確か、この記憶は.....。でも、覚えて無い筈じゃないのかな。此れが特典というかボーナスとかって言ってた内容なのか。だけど、何をしたら良いんだろう?」
"...お困りの様だね!! 君がしたようにして良いんだよ! その為の第二の人生なんだからね!!"
「....神様、ですか? お早い再会で。」
"またね、と言ったじゃないか。その世界で困らない様にしてあるんだから楽しく過ごしてよ。"
「は、はあ。」
"もし、嫌ならその記憶は消去してあげるよ? 辛い記憶だし消した方が良かったかもしれないね。"
「いえ。このままで大丈夫です.....今までの私を捨てて別人の様に振舞っても良いのですか?」
"勿論! 僕からは特に規制したりできないもの。したい様に生きると良いよ。街ごとには教会が有るだろうから何か困ったことがあるならそこでお祈りというか声を掛けてくれればまた話してあげるよ。此処の場所じゃ安定して話すのは難しそうだから。という事で、便利な『アイテムボックス』のスキルが有るから持ち物を確認しながら手近な街に向かうと良いよー。その辺の確認は『ステータス』で解決するからね。それじゃあねえ。"
「ええ、ありがとうございます。」
フフフという笑い声を最後に声は途切れる。《スキル》と『アイテムボックス』という二つは聞きなれない。恐る恐る言葉を口にする。
「......『ステータス』」
ブゥンという音がなり(そう聞こえた感じがしただけではある)所謂、自分の情報が目の前に表示される。
~~~~~
マリ=ユズキリー 17歳 女 ?人
レベル1
スキル
・『アイテムボックス』
・『鑑定』
・『算術』
特殊スキル
・言語理解
・不老不死
・ラツリューンの加護
~~~~~
「.....名前は、そんなに変わってない。歳は若返ってるけど。それに人の前にハテナが付いてるのは何でだろう。普通後ろに付くものでは? スキルも詳しく見てみる必要があるかな。」
『ステータス』は万人が出来るものならこの『鑑定』は持っている人のみの能力になると考え詳しく見てみる事にした。出てきたステータス画面に触れると自動的に『鑑定』が発動されスキルの詳細を見れるようだったので確認を進めていく。
「『アイテムボックス』は、物を収納できる、と。入れている物は時間が停止される。.........この能力はこの世界に持っている者はいない.......なんてモノをくれるんだ......。で、『鑑定』はそのままスキルの詳細、フィールドに存在するアイテムの名前、能力などを知れる。『鑑定』は持っている者は存在するが、この世界の人口の数%、ね.......。まあ、いるだけマシか。」
『算術』に関しては日本に住んでいた時に培った技術がスキルとして現れたという事だろうか。スキルは他に3つあるが特殊スキルと分類されているせいか、常時発動されるタイプの物らしいので詳しく確認しておく。
「言語理解はこの世界の言語を理解出来る。不老不死は言ってた特典のやつ。どっちも意味はそのまま。最後の奴は。」
※ラツリューンの加護
『鑑定』スキルによって確認できない。この加護は、jajafenfaodclkksmdoiiasirhfancoaweufhwa
「.....分からないって事....? だけどこの隠し方は酷くない? まあ悪いモノでは無いだろうしあんまり気にしなくていいか。」
と、分からない時はいつも頭を掻く癖が出てしまい、手を頭に持って行くと慣れない感触があった。
「え?」
先程『アイテムボックス』に手鏡なるものが入っていたので何だろうと疑問に思っていた。
「まさか、こんな事が起きるとは。嬉しいやら複雑やら。」
私の頭の上にはピンと立っている耳が二つ。人間だった時の耳も見えるには見えるが、実際に音を感じ取っているのは明らかに獣の耳をしている方。
「け、ケモ耳!?」
狐っぽい耳があった。そこから全身触って確認すると御丁寧に尻尾まで付いていた。
「自由に生きていいとは言われたけどまさか、ラノベでしか読んで、見た事が無い”獣人”になれるとは。まさかっ、『ステータス』」
~~~~~
マリ=ユズキリー 17歳 女 獣人
レベル1
スキル
・『アイテムボックス』
・『鑑定』
・『算術』
特殊スキル
・言語理解
・不老不死
・ラツリューンの加護
~~~~~
「分からなかったのはこのせいなのかな。」
本当に異世界に来たという感覚が実感として伴ってきてワクワクしている自分がいた。立ち上がり声を大にして叫ぶ。
「今度こそー! 楽しく生きてやる---!!!」
異世界での第一歩を踏み出す。
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