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42.兄弟の家にて
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「お兄ちゃんたちが来たぁ!」
アルたち兄弟の家に着き、玄関で出迎えてくれたのは一番下のエル。
どうやら庭で一人、砂遊びをしていたようだ。
エルは奏人に飛びつくと、すぐさま新しい剣に興味を示した。
「あ!奏人お兄ちゃん剣持ってたの?」
「ううん、昨日作ってもらって、今日が初お披露目なんだ」
奏人が嬉しそうに言うと、エルも口元を抑えてふふふ、と笑った。
「すっごいね!僕もいつか奏人お兄ちゃんみたいな剣でいっぱいモンスター倒したいの」
「エルならなれるよ。そしたら僕と一緒にダンジョンに行こうよ」
「行きたい!連れて行ってね!絶対だよ!」
「エル?誰か来たの?」
エルの話し声が聞こえたのか、アルが外へ出てくる。
三人が来ていることに気が付くと、納得したような表情で挨拶をした。
「奏人さんたちでしたか!おはようございます。今日は来てくださって本当にありがとうございます」
今まで宿と店にしか行ったことがない奏人にとって、
異世界で、誰か住民の家に入るのは初めてだった。
「ひっろ・・・アメリカの家みたい・・・」
「あめりか?」
「あっ、いや、なんでもない・・・」
思わずつぶやいた独り言をルリールに拾われ、奏人は焦る。
そんな奏人を見ていたシュビルは、後ろから言った。
「この世界だと、このくらいの家みんな普通に住んでるぞ。俺ん家もこんくらい」
「僕もこのくらいかなぁ。あと僕と弟用の別宅もあるよ」
ルリールも続けてのんびりとした口調で答える。
「スケールが違う・・・」
異世界の土地の広さを思い知り、奏人はあっけに取られる。
自分の住む世界の狭さを知り、なんとなくへこんでしまった。
「ま、広くても持て余すだけだし狭い方が俺は好きだぞ」
あからさまにへこむ奏人にシュビルがシュビルなりのフォローを入れてくれた。
「あんまりフォローになってないけど・・・ありがとう」
「この部屋にナルがいます。ちなみにレーバルさんももう来ているので」
「レーバルが?」
ルリールが聞く。
アルは、あれ?という顔をして三人へ話した。
「ご存じなかったですか?レーバルさんがナルの主治医なんですよ。奏人さんの魔力を使って直してくださるのも、レーバルさんなんです」
「あのおっさん、こんなこともしてたのか」
「レーバルさんに会うの久しぶりだなぁ、僕」
「たしかに。最近は奏人がケガ治してくれるから病院行かなくなったしな」
ドアを開けると、そこにはレーバルとベッドで上半身を起こした状態のナルがいた。
「奏人さん、お久しぶりですね」
「レーバルさん!」
レーバルが奏人を見てひょいと手をあげた。
「君が奏人さん?」
「あっ、はい!奏人です。はじめまして・・・!」
レーバルの横で、にっこりと微笑む青年がナルだ。
奏人たちよりも少し年上だろうか、
今は病的な白さではかなげな見た目だが
もし健康体であればどう考えてもイケメンそのもの。
イケメンを具現化したようなその容姿に奏人は圧倒された。
「三人そろって、こうもイケメンだと、圧巻ですね・・・」
奏人の後ろで突っ立ったままのシュビルが口を開くと、ナルは笑う。
「あはは、ありがとうございます。ナルは兄弟一の美男ですよ」
「やめてくれよ、アル」
「お水持ってきたよ」
エルが両手にコップいっぱい注がれた水を両手持って歩いてくる。
「はいどぉぞ」
並々と注がれた水をレーバルと奏人に渡す。
「シュビルお兄ちゃんたちのも持ってくるね」
「ん、サンキュ」
エルがかけていく後ろ姿に向かって、アルはこぼさないでね、と声をかける。
エルははぁい、と笑いながらリビングへ走って行った。
その辺の兄弟となんら変わらない風景。
奏人は心底、ナルの病気が治ってほしいと願っていた。
アルたち兄弟の家に着き、玄関で出迎えてくれたのは一番下のエル。
どうやら庭で一人、砂遊びをしていたようだ。
エルは奏人に飛びつくと、すぐさま新しい剣に興味を示した。
「あ!奏人お兄ちゃん剣持ってたの?」
「ううん、昨日作ってもらって、今日が初お披露目なんだ」
奏人が嬉しそうに言うと、エルも口元を抑えてふふふ、と笑った。
「すっごいね!僕もいつか奏人お兄ちゃんみたいな剣でいっぱいモンスター倒したいの」
「エルならなれるよ。そしたら僕と一緒にダンジョンに行こうよ」
「行きたい!連れて行ってね!絶対だよ!」
「エル?誰か来たの?」
エルの話し声が聞こえたのか、アルが外へ出てくる。
三人が来ていることに気が付くと、納得したような表情で挨拶をした。
「奏人さんたちでしたか!おはようございます。今日は来てくださって本当にありがとうございます」
今まで宿と店にしか行ったことがない奏人にとって、
異世界で、誰か住民の家に入るのは初めてだった。
「ひっろ・・・アメリカの家みたい・・・」
「あめりか?」
「あっ、いや、なんでもない・・・」
思わずつぶやいた独り言をルリールに拾われ、奏人は焦る。
そんな奏人を見ていたシュビルは、後ろから言った。
「この世界だと、このくらいの家みんな普通に住んでるぞ。俺ん家もこんくらい」
「僕もこのくらいかなぁ。あと僕と弟用の別宅もあるよ」
ルリールも続けてのんびりとした口調で答える。
「スケールが違う・・・」
異世界の土地の広さを思い知り、奏人はあっけに取られる。
自分の住む世界の狭さを知り、なんとなくへこんでしまった。
「ま、広くても持て余すだけだし狭い方が俺は好きだぞ」
あからさまにへこむ奏人にシュビルがシュビルなりのフォローを入れてくれた。
「あんまりフォローになってないけど・・・ありがとう」
「この部屋にナルがいます。ちなみにレーバルさんももう来ているので」
「レーバルが?」
ルリールが聞く。
アルは、あれ?という顔をして三人へ話した。
「ご存じなかったですか?レーバルさんがナルの主治医なんですよ。奏人さんの魔力を使って直してくださるのも、レーバルさんなんです」
「あのおっさん、こんなこともしてたのか」
「レーバルさんに会うの久しぶりだなぁ、僕」
「たしかに。最近は奏人がケガ治してくれるから病院行かなくなったしな」
ドアを開けると、そこにはレーバルとベッドで上半身を起こした状態のナルがいた。
「奏人さん、お久しぶりですね」
「レーバルさん!」
レーバルが奏人を見てひょいと手をあげた。
「君が奏人さん?」
「あっ、はい!奏人です。はじめまして・・・!」
レーバルの横で、にっこりと微笑む青年がナルだ。
奏人たちよりも少し年上だろうか、
今は病的な白さではかなげな見た目だが
もし健康体であればどう考えてもイケメンそのもの。
イケメンを具現化したようなその容姿に奏人は圧倒された。
「三人そろって、こうもイケメンだと、圧巻ですね・・・」
奏人の後ろで突っ立ったままのシュビルが口を開くと、ナルは笑う。
「あはは、ありがとうございます。ナルは兄弟一の美男ですよ」
「やめてくれよ、アル」
「お水持ってきたよ」
エルが両手にコップいっぱい注がれた水を両手持って歩いてくる。
「はいどぉぞ」
並々と注がれた水をレーバルと奏人に渡す。
「シュビルお兄ちゃんたちのも持ってくるね」
「ん、サンキュ」
エルがかけていく後ろ姿に向かって、アルはこぼさないでね、と声をかける。
エルははぁい、と笑いながらリビングへ走って行った。
その辺の兄弟となんら変わらない風景。
奏人は心底、ナルの病気が治ってほしいと願っていた。
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