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41.青年の剣

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「お待ちしておりました。おかけください」
店に入ると、出迎えてくれたのはラオル。
昨日とは違い、どことなく疲れた顔をしている。

「ラオルさん、なんか顔疲れてね?」
「いやぁ、昨日ね、珍しく4本も武器の注文が入ってしまって。徹夜で作ってたんですよ」
「そうだったんですか!そんな時に注文しちゃってごめんなさい」
奏人が謝ると、ラオルはいやいや、と焦りながら手を振る。

「あ、剣持ってきますから。少し待っていてくださいね」
ラオルはパタパタと軽い足取りでバックヤードへ入っていく。
その後ろ姿を見送りながら、奏人はワクワクがとまらなかった。


「こちらになります」
ラオルは大きな包みを持ってきて、奏人の目の前にある机に置く。
「これ、開けていいんですか?」
「もちろん。どうぞ」
奏人はそわそわしながら包み紙に手を伸ばす。
開けるとそこには、ルリールの物よりも少し小さめだが、
それでも十分な存在感のある大きな剣が横たわっていた。

「わぁ・・・!すごい・・・」
「お~・・・すげぇじゃん」
シュビルとルリールは、一緒になって剣をまじまじと見つめる。
「すげぇな、奏人」
「うん・・・!すごい!ありがとうラオルさん!」

剣の持ち手には、レーバルが作った魔法石が埋め込まれている。
奏人がそろそろと手を伸ばし剣を掴むと、それはますます多きな輝きを放った。
「虹色の魔法石で武器が作れるなんて、こんな経験きっとこれきりですよ」
ラオルは心底嬉しそうな顔で言うと、奏人は少し照れながら笑った。


「あ、それで代金は・・・」
奏人は、自分のポケットに入っている金貨を探りながら言う。
今までは二人に頼ってばかりであまりお金を使う場面がなく、
贅沢な悩みだがお金を持て余していた。
「あぁ、それでは・・・」






「ラオルさん、ありがとう!」
「いえいえ。武器の手直しや修理ならいつでも来てくださいね」

代金も払い終え、ついに剣が自分の物になる。
奏人はその大きな剣を背負い店を出ると、なんだか本当の冒険者になった気分だった。

「今の僕、すごくかっこいい気がする」
「子どもみてぇだな。剣で喜んで」
シュビルがからかいながら言うと、ルリールはむっとした顔で言う。

「自分の始めての武器なんだからテンションはあがるよ。ね、奏人!」
「うん。だって元の世界では、銃を持つのにも免許が必要だったからすごい嬉しいんだ」
「お前がいた世界って、何かと窮屈だな」

そうかなあ、と奏人がのんびり答えると、ルリールが急に立ち止まる。

「・・・待って、誰かつけてる気がする」
「そうか?俺は分かんなかったけど」
「僕はそういうのには鋭いんだってば」

きょろきょろと三人は辺りを見回すが、そこを歩く人々は誰も奏人らを気にする様子はない。
「・・・ごめん、気のせい」
「ほらな。さっさとアルさんとこ行こうぜ」
シュビルはさっさと歩いていき、奏人は自分の剣を愛でることで頭がいっぱいだ。
ルリールは釈然としない顔で頷き、二人のあとを追った。

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