42 / 57
41.青年の剣
しおりを挟む
「お待ちしておりました。おかけください」
店に入ると、出迎えてくれたのはラオル。
昨日とは違い、どことなく疲れた顔をしている。
「ラオルさん、なんか顔疲れてね?」
「いやぁ、昨日ね、珍しく4本も武器の注文が入ってしまって。徹夜で作ってたんですよ」
「そうだったんですか!そんな時に注文しちゃってごめんなさい」
奏人が謝ると、ラオルはいやいや、と焦りながら手を振る。
「あ、剣持ってきますから。少し待っていてくださいね」
ラオルはパタパタと軽い足取りでバックヤードへ入っていく。
その後ろ姿を見送りながら、奏人はワクワクがとまらなかった。
「こちらになります」
ラオルは大きな包みを持ってきて、奏人の目の前にある机に置く。
「これ、開けていいんですか?」
「もちろん。どうぞ」
奏人はそわそわしながら包み紙に手を伸ばす。
開けるとそこには、ルリールの物よりも少し小さめだが、
それでも十分な存在感のある大きな剣が横たわっていた。
「わぁ・・・!すごい・・・」
「お~・・・すげぇじゃん」
シュビルとルリールは、一緒になって剣をまじまじと見つめる。
「すげぇな、奏人」
「うん・・・!すごい!ありがとうラオルさん!」
剣の持ち手には、レーバルが作った魔法石が埋め込まれている。
奏人がそろそろと手を伸ばし剣を掴むと、それはますます多きな輝きを放った。
「虹色の魔法石で武器が作れるなんて、こんな経験きっとこれきりですよ」
ラオルは心底嬉しそうな顔で言うと、奏人は少し照れながら笑った。
「あ、それで代金は・・・」
奏人は、自分のポケットに入っている金貨を探りながら言う。
今までは二人に頼ってばかりであまりお金を使う場面がなく、
贅沢な悩みだがお金を持て余していた。
「あぁ、それでは・・・」
「ラオルさん、ありがとう!」
「いえいえ。武器の手直しや修理ならいつでも来てくださいね」
代金も払い終え、ついに剣が自分の物になる。
奏人はその大きな剣を背負い店を出ると、なんだか本当の冒険者になった気分だった。
「今の僕、すごくかっこいい気がする」
「子どもみてぇだな。剣で喜んで」
シュビルがからかいながら言うと、ルリールはむっとした顔で言う。
「自分の始めての武器なんだからテンションはあがるよ。ね、奏人!」
「うん。だって元の世界では、銃を持つのにも免許が必要だったからすごい嬉しいんだ」
「お前がいた世界って、何かと窮屈だな」
そうかなあ、と奏人がのんびり答えると、ルリールが急に立ち止まる。
「・・・待って、誰かつけてる気がする」
「そうか?俺は分かんなかったけど」
「僕はそういうのには鋭いんだってば」
きょろきょろと三人は辺りを見回すが、そこを歩く人々は誰も奏人らを気にする様子はない。
「・・・ごめん、気のせい」
「ほらな。さっさとアルさんとこ行こうぜ」
シュビルはさっさと歩いていき、奏人は自分の剣を愛でることで頭がいっぱいだ。
ルリールは釈然としない顔で頷き、二人のあとを追った。
店に入ると、出迎えてくれたのはラオル。
昨日とは違い、どことなく疲れた顔をしている。
「ラオルさん、なんか顔疲れてね?」
「いやぁ、昨日ね、珍しく4本も武器の注文が入ってしまって。徹夜で作ってたんですよ」
「そうだったんですか!そんな時に注文しちゃってごめんなさい」
奏人が謝ると、ラオルはいやいや、と焦りながら手を振る。
「あ、剣持ってきますから。少し待っていてくださいね」
ラオルはパタパタと軽い足取りでバックヤードへ入っていく。
その後ろ姿を見送りながら、奏人はワクワクがとまらなかった。
「こちらになります」
ラオルは大きな包みを持ってきて、奏人の目の前にある机に置く。
「これ、開けていいんですか?」
「もちろん。どうぞ」
奏人はそわそわしながら包み紙に手を伸ばす。
開けるとそこには、ルリールの物よりも少し小さめだが、
それでも十分な存在感のある大きな剣が横たわっていた。
「わぁ・・・!すごい・・・」
「お~・・・すげぇじゃん」
シュビルとルリールは、一緒になって剣をまじまじと見つめる。
「すげぇな、奏人」
「うん・・・!すごい!ありがとうラオルさん!」
剣の持ち手には、レーバルが作った魔法石が埋め込まれている。
奏人がそろそろと手を伸ばし剣を掴むと、それはますます多きな輝きを放った。
「虹色の魔法石で武器が作れるなんて、こんな経験きっとこれきりですよ」
ラオルは心底嬉しそうな顔で言うと、奏人は少し照れながら笑った。
「あ、それで代金は・・・」
奏人は、自分のポケットに入っている金貨を探りながら言う。
今までは二人に頼ってばかりであまりお金を使う場面がなく、
贅沢な悩みだがお金を持て余していた。
「あぁ、それでは・・・」
「ラオルさん、ありがとう!」
「いえいえ。武器の手直しや修理ならいつでも来てくださいね」
代金も払い終え、ついに剣が自分の物になる。
奏人はその大きな剣を背負い店を出ると、なんだか本当の冒険者になった気分だった。
「今の僕、すごくかっこいい気がする」
「子どもみてぇだな。剣で喜んで」
シュビルがからかいながら言うと、ルリールはむっとした顔で言う。
「自分の始めての武器なんだからテンションはあがるよ。ね、奏人!」
「うん。だって元の世界では、銃を持つのにも免許が必要だったからすごい嬉しいんだ」
「お前がいた世界って、何かと窮屈だな」
そうかなあ、と奏人がのんびり答えると、ルリールが急に立ち止まる。
「・・・待って、誰かつけてる気がする」
「そうか?俺は分かんなかったけど」
「僕はそういうのには鋭いんだってば」
きょろきょろと三人は辺りを見回すが、そこを歩く人々は誰も奏人らを気にする様子はない。
「・・・ごめん、気のせい」
「ほらな。さっさとアルさんとこ行こうぜ」
シュビルはさっさと歩いていき、奏人は自分の剣を愛でることで頭がいっぱいだ。
ルリールは釈然としない顔で頷き、二人のあとを追った。
1
お気に入りに追加
771
あなたにおすすめの小説
褐色ショタを犯しても宇宙人なら合法だよな?
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
多忙で有休が取れないので役所に行けない。そうボヤいたときに、代わりに行くよという褐色少年が現れた。
誰よ? と聞くと宇宙人だと言うが、どう見ても普通の日本人。でも本人は宇宙人と言い張る。
宇宙人なのであれば、犯しても合法という気がしないでもないが……。
おっさん部隊長のマッサージ係になってしまった新米騎士は好奇心でやらかした
きよひ
BL
新米騎士×ベテランのおっさん騎士
ある国の新米騎士フリシェスは、直属の上司である第一部隊長アルターのマッサージ係として毎日部屋に通っている。
どうして毎日おっさんのマッサージなんてしなければならないんだろうとゲンナリしていたある日、男同士の性欲処理の話を聞いたフリシェスはどうしても試したくなってしまい......?
高い声で喘いでいる若い騎士の方が攻め。
カエルが潰れたような声を出して余裕があるおっさんの方が受けです。
※全三話
超絶美形だらけの異世界に普通な俺が送り込まれた訳だが。
篠崎笙
BL
斎藤一は平均的日本人顔、ごく普通の高校生だったが、神の戯れで超絶美形だらけの異世界に送られてしまった。その世界でイチは「カワイイ」存在として扱われてしまう。”夏の国”で保護され、国王から寵愛を受け、想いを通じ合ったが、春、冬、秋の国へと飛ばされ、それぞれの王から寵愛を受けることに……。
※子供は出来ますが、妊娠・出産シーンはありません。自然発生。
※複数の攻めと関係あります。(3Pとかはなく、個別イベント)
※「黒の王とスキーに行く」は最後まではしませんが、ザラーム×アブヤドな話になります。
【R18】魔王様は勇者に倒されて早く魔界に帰りたいのに勇者が勝手に黒騎士になって護衛してくる
くろなが
BL
【第8回BL大賞にて奨励賞頂きました!!投票本当にありがとうございました!】
2022/02/03ユタカ×リスドォルの番外編を追加開始です。全3話17時頃更新予定です。
~内容紹介~
勇者に倒されないと魔界に帰れない魔王様が、異世界転移の高校生勇者に一目惚れされてしまった。しかも黒騎士となって護ると言われ、勝手に護衛を始めてしまう。
新しく投入される勇者を次々に倒して仲間にし、誰も魔王様を倒してくれない。魔王様は無事に魔界に帰ることができるのか!?高校生勇者×苦労人魔王
三章まで健全。四章からR18になります。ほのぼの大団円ハッピーエンドです。【本編完結済】
表紙は(@wrogig8)はゆるふ様から頂きました。
小説家になろう(R15)・ムーンライトノベルズ(R18)に掲載しています。
嫁ぎ先は青髭鬼元帥といわれた大公って、なぜに?
猫桜
BL
はた迷惑な先の帝のせいで性別の差なく子が残せるそんな国で成人を前に王家から来栖 淡雪(くるす あわゆき)に縁談が届く。なんと嫁ぎ先は世間から鬼元帥とも青髭公とも言われてる西蓮寺家当主。既に3人の花嫁が行方不明となっており、次は自分が犠牲?誰が犠牲になるもんか!実家から共に西蓮寺家へとやってきた侍従と侍女と力を合わせ、速攻、円満離縁で絶対に生きて帰ってやるっ!!
赤い糸の先
丹葉 菟ニ
BL
地味な俺の趣味はじいちゃんに教えて貰った将棋と釣り 後は婆ちゃんに教わった編み物と料理。
共働きの両親。お互い 新たにパートナーが見つかったからとさっさと離婚。
俺は育てられないからと父親の祖父母に預けられたまま 両親の顔を見ないまま20年。
大学卒業しても就職できない事も無いが そのまま大学院に進んだ。
会いにこないが金だけは出してる両親に今更ながらの反抗期。
そんな俺が 晴天の中 岩場で釣りをしてたら 一気に雷雨に見舞われ 俺は波に去られた。ライフジャケットも着てるがなぜか沈んで行く俺。。。。
転生×召喚
135
BL
大加賀秋都は生徒会メンバーに断罪されている最中に生徒会メンバーたちと異世界召喚されてしまった。
周りは生徒会メンバーの愛し子を聖女だとはやし立てている。
これはオマケの子イベント?!
既に転生して自分の立ち位置をぼんやり把握していた秋都はその場から逃げて、悠々自適な農村ライフを送ることにした―…。
主人公総受けです、ご注意ください。
『回復魔法店ジュン~主に男の下半身のお悩みを解決します~』
綾里 ハスミ
BL
異世界転移してしまった主人公は、魔道士に拾われて魔法を教えて貰った。しかし何故か主人公の使う魔法は、男の下半身を強く反応させるのだった……。
ED治療の店を開いていたら、噂を聞きつけた宰相に、年下の王様の治療をお願いされてしまい!?
二七歳回復士×一七歳王様 のカップリングです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる