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13.青年の案と、変身魔法と
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話を聞き終えた二人は、腕を組み眉をひそめた。
「もしそれが本当だったら、それバレたら結構危ないよな」
「危ない。さっきのレイプみたいなことも普通に起こるだろうし」
さらっととんでもない発言をする。奏人は改めて自分の能力の高さとその代償の大きさについてを考えた。
「二人は信頼できると思って話したんだ。申し訳ないけど、このことは黙っていてくれないかな」
「もちろん。それは誰にも言わないよ」
「うん、神に誓って」
二人は奏人を見て笑う。奏人はその表情を見て安心した。
「ありがとう。本当に出会ったのが二人でよかった」
「そうそう、さっきの話なんだけど」
奏人は思い出したように話す。
「ルリールの話?」
「うん、この街一番のモンスターを倒す話」
奏人は少し気になっていることがあった。
レーバルの言っていた通り自分のフェロモンで魔力補充すると魔力が増幅するのが本当だったとしたら、この二人も自分のフェロモンで強くなれるのではないか。
「僕、この世界に来て誰も知り合いもいなくて右も左もわからない状態で。そんな時に、レーバルさんとシュビルとルリールに出会えて居場所を貰って、すごく感謝してる」
奏人がいつになく真剣に話出す。二人はからかわずその話をじっと聞いた。
「僕は冒険者じゃないから結局、僕の衣食住の世話は二人にしてもらってるし、何も返せてない。だから、せめて僕のフェロモンを使ってくれないかな・・・って話なんだけど・・・」
チラリと奏人は二人の顔を見る。
奏人が今できる最大のお礼といえば、自分のフェロモンを使って魔力を増幅させることくらいしか思い浮かばなかったのだ。
「申し出は嬉しいんだけど」
先に声を出したのはシュビルだった。
「すごく嬉しいんだけど、俺、やっぱ友達とヤるのは無理~・・・」
へなへなとベッドに寝そべり泣くフリをする。ルリールも、困った顔をしながら控え目にうなずいた。
「ごめんね。僕たちは正直友達に興奮できないし、そう言ってくれたのは嬉しいけど、そもそも奏人を興奮させられる程気持ちも入り込めないっていうか・・・」
奏人は分かり切った答えに肩を落とした。
「・・・だよね。少しでも力になれたらって思ったけど・・・見知った顔じゃだめだ・・・あ・・・・」
奏人は何かを思い出したかのように呟く。
「ねぇ!ほら、前に言ってたじゃん!」
奏人はベッドに寝そべるシュビルの身体を揺する。
「??」
「ほら、変身魔法!この世界には変身魔法があるんだろ?それ使えばいいんだよ!」
ゆさゆさと身体を揺さぶられ、シュビルはあわわと言いながら起き上がる。
「あー・・・たしかに・・・女に変身させるってやつだよな・・・覚えてたんだ」
「そうそう!僕のこと、二人の好みの女の子にすればいいんだよ。そしたら気兼ねなくヤれるし僕だって恩返しできる!ウィンウィンすぎじゃん?」
ルリールは、申し訳なさそうに口を開く。
「それでもいいんだけど、変身魔法が使えるの、僕だけなんだ・・・シュビルはその魔法は使えない」
「え、そうなの」
「おう。俺は使えん。だからやるならルリールだけ、かな」
奏人はルリールを見た。ルリールは奏人を見るが、釈然としない表情だった。
「やっぱ、姿が変わったとしても僕とするのは無理?」
「奏人が嫌いとか、そういうことじゃないんだ。それは分かって」
「大丈夫、分かってるよ。僕も相当変な事を言っている自覚はあるしね」
「でも、別のパーティでは仲間同士、そのままの姿でヤりまくってる訳だし、俺らもそれはいつかしなきゃなって思ってた訳だしさ。いい機会じゃね?」
シュビルは自分が当事者ではなくなったためか饒舌だ。
ルリールはそんなシュビルを見てはぁ、とため息をつく。
「自分はしないからって・・・まぁいいや。せっかくだもんね。僕もお金は欲しいし、奏人もこうやって言ってくれてるし、やってみようかな」
「まじか!ありがとう、ルリール!」
「お礼を言うのは僕の方だよ、奏人。緊張するなぁ・・・」
ルリールは苦笑いしながら、奏人が差し出した手を握って固く握手を交わした。
「もしそれが本当だったら、それバレたら結構危ないよな」
「危ない。さっきのレイプみたいなことも普通に起こるだろうし」
さらっととんでもない発言をする。奏人は改めて自分の能力の高さとその代償の大きさについてを考えた。
「二人は信頼できると思って話したんだ。申し訳ないけど、このことは黙っていてくれないかな」
「もちろん。それは誰にも言わないよ」
「うん、神に誓って」
二人は奏人を見て笑う。奏人はその表情を見て安心した。
「ありがとう。本当に出会ったのが二人でよかった」
「そうそう、さっきの話なんだけど」
奏人は思い出したように話す。
「ルリールの話?」
「うん、この街一番のモンスターを倒す話」
奏人は少し気になっていることがあった。
レーバルの言っていた通り自分のフェロモンで魔力補充すると魔力が増幅するのが本当だったとしたら、この二人も自分のフェロモンで強くなれるのではないか。
「僕、この世界に来て誰も知り合いもいなくて右も左もわからない状態で。そんな時に、レーバルさんとシュビルとルリールに出会えて居場所を貰って、すごく感謝してる」
奏人がいつになく真剣に話出す。二人はからかわずその話をじっと聞いた。
「僕は冒険者じゃないから結局、僕の衣食住の世話は二人にしてもらってるし、何も返せてない。だから、せめて僕のフェロモンを使ってくれないかな・・・って話なんだけど・・・」
チラリと奏人は二人の顔を見る。
奏人が今できる最大のお礼といえば、自分のフェロモンを使って魔力を増幅させることくらいしか思い浮かばなかったのだ。
「申し出は嬉しいんだけど」
先に声を出したのはシュビルだった。
「すごく嬉しいんだけど、俺、やっぱ友達とヤるのは無理~・・・」
へなへなとベッドに寝そべり泣くフリをする。ルリールも、困った顔をしながら控え目にうなずいた。
「ごめんね。僕たちは正直友達に興奮できないし、そう言ってくれたのは嬉しいけど、そもそも奏人を興奮させられる程気持ちも入り込めないっていうか・・・」
奏人は分かり切った答えに肩を落とした。
「・・・だよね。少しでも力になれたらって思ったけど・・・見知った顔じゃだめだ・・・あ・・・・」
奏人は何かを思い出したかのように呟く。
「ねぇ!ほら、前に言ってたじゃん!」
奏人はベッドに寝そべるシュビルの身体を揺する。
「??」
「ほら、変身魔法!この世界には変身魔法があるんだろ?それ使えばいいんだよ!」
ゆさゆさと身体を揺さぶられ、シュビルはあわわと言いながら起き上がる。
「あー・・・たしかに・・・女に変身させるってやつだよな・・・覚えてたんだ」
「そうそう!僕のこと、二人の好みの女の子にすればいいんだよ。そしたら気兼ねなくヤれるし僕だって恩返しできる!ウィンウィンすぎじゃん?」
ルリールは、申し訳なさそうに口を開く。
「それでもいいんだけど、変身魔法が使えるの、僕だけなんだ・・・シュビルはその魔法は使えない」
「え、そうなの」
「おう。俺は使えん。だからやるならルリールだけ、かな」
奏人はルリールを見た。ルリールは奏人を見るが、釈然としない表情だった。
「やっぱ、姿が変わったとしても僕とするのは無理?」
「奏人が嫌いとか、そういうことじゃないんだ。それは分かって」
「大丈夫、分かってるよ。僕も相当変な事を言っている自覚はあるしね」
「でも、別のパーティでは仲間同士、そのままの姿でヤりまくってる訳だし、俺らもそれはいつかしなきゃなって思ってた訳だしさ。いい機会じゃね?」
シュビルは自分が当事者ではなくなったためか饒舌だ。
ルリールはそんなシュビルを見てはぁ、とため息をつく。
「自分はしないからって・・・まぁいいや。せっかくだもんね。僕もお金は欲しいし、奏人もこうやって言ってくれてるし、やってみようかな」
「まじか!ありがとう、ルリール!」
「お礼を言うのは僕の方だよ、奏人。緊張するなぁ・・・」
ルリールは苦笑いしながら、奏人が差し出した手を握って固く握手を交わした。
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