コンビニごと異世界転生したフリーター、魔法学園で今日もみんなに溺愛されます

はるはう

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渚とレオン

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「学園長が、空いてるに住まわせろって言うから…今から案内するね」
レオンはそう言うと、渚に学園を案内した。
「ありがとうございます…捕まった時はどうしようと思ったけど、学園長がいい人で安心っす…」
「無愛想に見えたかもしれないけど、あの人はすごく優しい方だよ。僕たち生徒にも、外部の人達にも優しい」
そう言うと、レオンは「こっちだよ」と何もない壁を指さす。

「壁…」
「もしかして、扉が見えないの?」
「扉?」
渚が見つめる先にはただの壁。
しかしレオンが言うには、どうやらそこには扉があるらしい。
「学園長が結界でも張ってるのかな…僕の魔力を分けるから、手、借りてもいい?」
そう言うとレオンは渚の手を握る。
手のひらが暖かくなると同時に、渚の目の前には巨大な扉が現れた。
「うわぁ…見えた…」
「よかった。さ、行こ!」


レオンと廊下を歩く。
その学園にはどうやら女性はいないらしい。
由緒正しいこの学園は、それなりの身分を持ち、そして能力に優れた男性しか入学が許されないようだった。

それにしても異常だ。
渚は思う。
廊下を行き交う生徒がみな男というのもすでに異様な光景ではあるが、それ以上に異様なのは、その全員がイケメンであること。
渚自身、自分はどちらかと言えば、低く見積もっても中の上くらいの容姿である自信があった。
しかしながら、ここで出会う生徒も教師も含め全員が渚と同等、いや、それ以上の容姿を持っていたのである。
もちろん隣を歩くレオンも、その中の一人だ。
「なんというか…みんな、カッコイイっすね…」
「かっこいい?そうなのかなぁ?毎日いるから分からないや」
レオンはさらっと流す。
イケメンは言うことが違うな、と、一人心が傷つく渚であった。



「ここが渚くんが使う部屋だよ」
そう紹介され扉を開けると、そこはベッドと机があるだけのシンプルな一室だった。
「おぉ…ちゃんとした部屋だ…いいんすか、こんな場所使っちゃって」
「今のところ空いてる部屋もあまりないし、この部屋だと僕の部屋とも近いんだ」
そう言うと、レオンはちょっと来て、と手招きする。
階段を挟んで少し歩くと、そこがレオンの住む部屋だった。
全寮制のこの学園では、基本的には二人一組で部屋が与えられ、レオンも同級生と共にその部屋で暮らしているらしい。
「僕と同じ階なら、何か困りごとがあっても相談しに来やすいだろうし、どうかなって思ってさ」
レオンはにこっと笑う。
この笑顔に落ちない女はいないだろう。
そんなことを考えつつ、渚はありがとうと礼を言った。

「この階は、僕と同じ8年生が住む階なんだ」
「8年生?」
「そうだよ。渚くんの世界には学園ってないの?」
「いや、あるんだけど小学校ですら6年生までだったからな…」
「小学校…?」
「俺のいた世界の学園みたいな感じで…小さい子が通う学校…的な?」
「なるほど!この世界で言う、初等学校みたいなところかな」

レオンが言うにはこの魔法学園は1年生から15年生まであるようで、基本的には14歳で入学し、24歳ごろ卒業する生徒が多いらしい。
しかしより深く魔法について研究したり勉強する場合は、24歳以降も学園に残り、仕事をしつつ勉学と研究に励むものも少なくないようだった。

「ん?ってことは、レオンさんは21歳…?」
「そうだね、僕は21歳だよ」
「同い年っす!まじっすか!?嬉しい!」
「渚くんも21歳なの?」
「そうっす!俺も21なんすよ!」

渚が手を差し出すと、レオンは握手に応じた。
「…俺のこと、渚”くん”じゃなくて、渚でいいっすよ」
「なら僕のことも、レオンでいいよ。それに、敬語じゃなくてもっと気楽に話してよ」
「あー…そうだな。レオン、改めてよろしく」
「こちらこそ!」




レオンが自室へ戻り、渚は部屋に一人になる。

「いやいや…そもそもこれって夢なんだよな…現実なはずがねぇもんな…」

渚は頭を掻きむしり、あぁぁ~、と情けない声を出してベッドへ倒れ込んだ。

頬をつねる。
痛みが渚自身に伝わる。
夢ではない可能性があることを、渚は痛いほど感じるのであった。

「次に起きたらきっとコンビニにいるよな…コンビニでうたた寝してるだけだよな…」

そう考えていると、今日の疲れがどっと来たのか渚はそのまま深い眠りについた。


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