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フリーターと唐揚げ弁当
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魔法学園《アルス・エテルニタス》は、世界でも屈指の名門校でありながら、厳格な掟により男子しか入学を許されない伝統を持つ。
しかし、その由緒正しい学院の片隅に――なぜか日本のコンビニが突然現れたのだった。
青年の名前は桜木渚。
21歳、職業はコンビニ店員。フリーターである。
高卒で働き始めた会社がどうやらブラック企業で、なけなしの貯金をはたいて退職代行を使って仕事を退職。
次の仕事が見つかるまで、と一旦コンビニ店員を始めたところ、意外と自分に合っていたようで、なんだかんだ楽しく仕事をしていた。
はずだった。
「残りの分も品出しするかー」
小さく鼻歌を歌う渚の機嫌はとても良い。
それもそのはず、明日は給料日なのである。
「今月は鬼のように出勤したからいくら稼げてんのか気になるな」
ルンルンと品出しを進めていると、渚はふと気が付いた。
「あれ…そういえば今日出勤してから誰も接客してなくないか…?」
時計を見ると、時刻は日付が変わる少し前。
夜中ならまだしも、渚が出勤してからこの時間まで誰一人として客が来ない状況は、どこか奇妙だ。
と、その瞬間、渚にめまいが襲い掛かった。
「…っ!?」
ぐにゃり、と視界がゆがむ。
思わずふらつき地面にへたり込むと、次の瞬間にはめまいは収まっていた。
「びっくりしたぁ…」
渚は少し驚きはしたが、さほど気には留めず再び品出しに戻る。
すると、また奇妙なことが起こった。
「…ちょっと待てよ…?あれ…?この弁当さっき品出ししたような…」
隣に置いた品出し用の箱の中には、唐揚げ弁当が2つのみ入っている。
そして視線の先の商品棚には、唐揚げ弁当が4つあった。
渚は弁当を手に取り全ての賞味期限を確認すると、その全ての賞味期限が同じであることを確認した。
「発注ミスしてんじゃねぇかよー。誰だっけ、この弁当発注したの」
はぁ、とため息をつくとバックヤードへ戻り、パソコンを立ち上げる。
発注の履歴を見ると、そこには”唐揚げ弁当4個”と記載があった。
「4つ発注になってる…発注ミスじゃねぇわ。じゃあ業者が個数間違えてんのか?2個多いぞ」
渚は不思議に思いながら再び品出しに戻ると、思わず声をあげた。
「はぁ!?ちょっと待って…」
品出し用の箱の中には、さっき並べたはずの唐揚げ弁当が4つ入っていたのである。
「さっきの弁当2つでもう箱はカラだったよな…?おかしい!キモイって!なんで!?」
渚は商品棚に並べられた6つの弁当と、箱の中の4つの弁当を交互に見る。
全ての消費期限は一緒だ。
「やばいやばいやばい…なんで増えてんの?は?なに!?」
渚は全身に鳥肌が立つのを感じた。
そしてバックヤードへと走り出すと、スマホを取り出し店長へ電話をかけようとする。
が、渚は絶望した。
スマホは圏外になっており、電話が繋がらなかったのだった。
「なんなの…見間違いじゃないよな!?」
渚は再びおそるおそる箱を覗くと、4つだったはずの弁当は、さらに個数が増えて7つになっていた。
「ギャッ!?」
渚は小さく悲鳴を上げ、訳も分からないままコンビニの外へと飛び出す。
その瞬間だった。
渚の目の前には、唐揚げ弁当などよりも遥かに奇妙で、とんでもない世界が広がっていたのであった。
しかし、その由緒正しい学院の片隅に――なぜか日本のコンビニが突然現れたのだった。
青年の名前は桜木渚。
21歳、職業はコンビニ店員。フリーターである。
高卒で働き始めた会社がどうやらブラック企業で、なけなしの貯金をはたいて退職代行を使って仕事を退職。
次の仕事が見つかるまで、と一旦コンビニ店員を始めたところ、意外と自分に合っていたようで、なんだかんだ楽しく仕事をしていた。
はずだった。
「残りの分も品出しするかー」
小さく鼻歌を歌う渚の機嫌はとても良い。
それもそのはず、明日は給料日なのである。
「今月は鬼のように出勤したからいくら稼げてんのか気になるな」
ルンルンと品出しを進めていると、渚はふと気が付いた。
「あれ…そういえば今日出勤してから誰も接客してなくないか…?」
時計を見ると、時刻は日付が変わる少し前。
夜中ならまだしも、渚が出勤してからこの時間まで誰一人として客が来ない状況は、どこか奇妙だ。
と、その瞬間、渚にめまいが襲い掛かった。
「…っ!?」
ぐにゃり、と視界がゆがむ。
思わずふらつき地面にへたり込むと、次の瞬間にはめまいは収まっていた。
「びっくりしたぁ…」
渚は少し驚きはしたが、さほど気には留めず再び品出しに戻る。
すると、また奇妙なことが起こった。
「…ちょっと待てよ…?あれ…?この弁当さっき品出ししたような…」
隣に置いた品出し用の箱の中には、唐揚げ弁当が2つのみ入っている。
そして視線の先の商品棚には、唐揚げ弁当が4つあった。
渚は弁当を手に取り全ての賞味期限を確認すると、その全ての賞味期限が同じであることを確認した。
「発注ミスしてんじゃねぇかよー。誰だっけ、この弁当発注したの」
はぁ、とため息をつくとバックヤードへ戻り、パソコンを立ち上げる。
発注の履歴を見ると、そこには”唐揚げ弁当4個”と記載があった。
「4つ発注になってる…発注ミスじゃねぇわ。じゃあ業者が個数間違えてんのか?2個多いぞ」
渚は不思議に思いながら再び品出しに戻ると、思わず声をあげた。
「はぁ!?ちょっと待って…」
品出し用の箱の中には、さっき並べたはずの唐揚げ弁当が4つ入っていたのである。
「さっきの弁当2つでもう箱はカラだったよな…?おかしい!キモイって!なんで!?」
渚は商品棚に並べられた6つの弁当と、箱の中の4つの弁当を交互に見る。
全ての消費期限は一緒だ。
「やばいやばいやばい…なんで増えてんの?は?なに!?」
渚は全身に鳥肌が立つのを感じた。
そしてバックヤードへと走り出すと、スマホを取り出し店長へ電話をかけようとする。
が、渚は絶望した。
スマホは圏外になっており、電話が繋がらなかったのだった。
「なんなの…見間違いじゃないよな!?」
渚は再びおそるおそる箱を覗くと、4つだったはずの弁当は、さらに個数が増えて7つになっていた。
「ギャッ!?」
渚は小さく悲鳴を上げ、訳も分からないままコンビニの外へと飛び出す。
その瞬間だった。
渚の目の前には、唐揚げ弁当などよりも遥かに奇妙で、とんでもない世界が広がっていたのであった。
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